体力ゼロOLが憧れる山行、それは山小屋泊
青かった空が夕日のオレンジ色へ滲んでいく。聞こえてくるのは唸るような力強い風と静かなじぶんの呼吸音。今、この世界にいるのは自分だけなんじゃないか、とそんな錯覚を覚えるほどだった。喧騒な都会暮らしで日頃からパソコンと睨めっこしている自分がいる世界とは思えないような。そんな美しい光景。
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初めての登山を経験して3ヶ月あまり。色々なYouTube動画を参考にして登山のシミュレーションをしていた中ふと湧き上がる感情を無視できなかった。
「山小屋に泊まってみたい!!!!!」
正直、これまではアメニティが完備されていて整えられた寝床があるホテルで泊まった方が快適なはずじゃん、などと思っていた。けど、山を登った達成感を肌身で感じながら「そこにあるもので過ごす」スタイルに憧れを感じてしまったのだ。
山小屋に泊まるとして1月という厳冬期。どの山に登るか悩ましかった。日本アルプスなんて行ってしまったら、冬山どころかろくに高山を経験したことない初心者がどうなるかなんて想像するに容易い。加えて、免許をもってないわたしには、関東からアクセスしやすいことも必要不可欠だった。そんな都合のいい場所が果たしてあるのだろうか。
それがあるんです!!!!!
実は秋に訪れた「大山」に連なっている「塔ノ岳」に通年営業している山小屋が。
なんでも初心者におすすめと書いてある。加えて所在地は神奈川県。電車ですいすいといけてしまいそうな距離感。
見つけた瞬間にここだ!と気持ちが固まる。しかし、初心者のため山の装備は必要最低限しかない。慌てて山小屋泊に向けて必要なものをリストアップした。
ダウン(上下)
ストック
お湯をいれられる魔法瓶
ちなみにこの計画をたてたのは実行日の一週間前。残業もそこそこなOLは慌てて計画を立てていたその当日にモンベルやAmazonを駆使して山行に必要なものを取り揃えた。
モンベルで何を揃えればいいかわからなかったためダンディなおじさま店員に初めての山小屋泊であることを伝えると「どこの山でいつから登るの?」と聞かれたため答えるとバックヤードへ行ってしまった。しばらくすると戻ってくるなり「お客様がいかれる日程だと大体気温が0度でマイナスの可能性ありますね。寒さ対策はした方がいいと思いますよ」と教えてくれた。なんてあったかい。
念の為初めてということもあり山小屋へ電話し寝具かどんなものか聞いてみた方がいいというアドバイスを受け、山小屋への電話もする。「そうですねダウンは必要不可欠だと思います。初めてなんですか?そしたら楽しんで、ゆっくりきてくださいね」と山小屋の方からの声が。なんてあったかいんだ。
あたたかさに包まれながら真冬の登山計画がなんなく進んでいく。自然を大切にする人って、人をも大切にするんだなあとしみじみ思いながら、来る山小屋泊へと気持ちを固めていったのだった。
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