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「出張」に強烈な憧れがあります

龍馬さんへ

小さいときの私には、将来の夢がたくさんあったそうです。けれど今も覚えているのは3つしかないので、他は忘れたか、ただ言いたかっただけかもしれません。

覚えている3つの夢はこちらです。

「出張する」「いつまでも美味しいごはんを食べる」「海外で働く」

出張に興味をもったのは、父がきっかけでした。

父の言う「出張」という言葉に幼い頃から強烈な憧れを抱いていた私は、出張で広島に、大阪に、秋田に、中国に行く父に向かって「いいなあパパ!飛行機!」「まどかも新幹線乗るー!」と叫んでいたそう。

私はいつも出張から帰宅する父に会うのが楽しみでした。

そして、父が持ち帰ったお土産のお菓子やお漬物を丁寧に開けて、お茶を淹れていた母の姿も覚えています。

私のお気に入りだったのは、広島土産の定番「もみじまんじゅう」。

一度、それをバクバク頬張っていた私と妹を見て母は言いました。

「あのね、こういうものは、お茶を淹れてゆっくりいただくものだと思うよ。はい、お茶を淹れましょう」

と。

それからしばらくして、お土産というものは会話のきっかけになるものだと教わりました。

でも「出張」に憧れたのは、お土産が理由ではなくて、父が必要とされてどこかの現場に赴く、ということがカッコイイと思ったからです。

「一緒に広島行くー!」「新幹線乗るー!」という私に、父は「これは出張だから、遊びじゃないから」「まどかは自分で行きなさい」と返しました。そしてこのやりとりが続くうちに、いつしか私は父の発する言葉を同じように言ってみたいと思うようになりました。

そのときだったと思います、母に向かって「ねえねえ『出張行ってくる』って私も言いたい」と言ったのは。これが私が初めて具体的に思い描いた夢です。

そしてそれ以来、出張できる職業に就こうと思いながら20年近く生きてきました。龍馬さんも出張多かったでしょう?だから、龍馬さんみたいになれば出張できる!なんていうふうにも思っていました。

つまりは、商社マンになればたくさん出張できると思っていました。

どんな思考回路なのだと言われそうですが、父と龍馬さんに憧れた結果として出た答えがこれでした。感違いも甚だしいと一喝されそう(笑)面白いのうって笑われるのかな。

商社勤めでなくても出張する機会はあると思いますが、やはり多いイメージはあったから。

龍馬さんにとって、海外ってなんだったのでしょう。きっと行くことが目的ではなかったはず。行った先で何かをするのが目的だったはず。だから道中のことなんかより、その先のことをあなたは考えていたのではないですか。

ずっと出張に憧れてきたけれど、もしかしたら数年後の私にとってはごく普通のことになっているかもしれません。そうなっていたいです。

見ててつかあさい、龍馬さん。

まどか

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