USHL/NAHLって?そしてNCAA1部へ辿り着くには。
みなさんお久しぶりです!
日本アイスホッケー連盟から発表があった通り、今回の日本代表エドモントン合宿に参加していました。
初めてのエドモントン(というか実はカナダ8年目にしてオンタリオ州外は初)でしたが、割とオタワと似たような雰囲気なのが印象的。そして何と言ってもNHLチーム・エドモントンオイラーズのリンクが桁違いに立派でした。こんな建物がホームリンクだったら。。。と思うとまた頑張れます💪
日本帰国組は今朝空港に向けて出発しましたが、僕は深夜の便なので未だホテルで暇している最中。
そんなわけで今回はタイトル通り、アイスホッケーNCAA1部リーグ(通常 D1)にたどり着くまでどのような過程を通るのかを説明していきたいと思います。
今回はNCAAを目指すにあたって主流とされている道のりをいくつか紹介し、海外挑戦にあたりNCAAを目指すならばどのようなことを知っておくと便利かできる限り情報をシェアしていきます。カナダのジュニアホッケー事情に限らず、アメリカのジュニア制度もこれまたなかなか複雑なんです。アメリカだけでも数多くのリーグが存在する中、今回は圧倒的にNCAAへの進学数が多いUnited States Hockey League (USHL)とNorth American Hockey League(NAHL)に集中し、僕自身が辿ったカナダJr.A(ジュニア2部)からの進め方なども含めて書いていきます。
今までの記事ではアメリカのジュニアに関してほとんど触れていないので、まずはアメリカジュニア名門リーグ二つの説明から↓
USHL/NAHLとは?
まずはUSHL。
USHLとはカナダでいうCHLと同格扱いで、アメリカ唯一のジュニア1部リーグ。とてもレベルが高く、USHLでプレーできればNCAA D1に行けることはほぼ間違いないほどです。CHLに比べてNHLへドラフトされる選手は少ないですが、トップレベルの選手はすぐに大学へ入学し、そこからドラフトされることが多いのが大きな理由の一つ。16歳でリーグに入れればすぐに大学からオファーがくるのが普通なので、まずはこのリーグに入ることを目指すのが一番の早道。
USHLに入るまでの過程としては: USHLドラフト→トライアウト→入団
という流れが一般的です。
USHLドラフトには「Phase」が1と2あり、Phase 1では16歳以下が対象、そしてPhase 2は16−20歳で尚且つUSHLチームと契約を交わしていない選手が対象となっています。ドラフトはPhase 1が10巡、Phase 2が20巡の合計30巡。ここでドラフトされるとチームのProtected Listというカテゴリーに入り、チームがその選手との交渉権を得ることになります。
ドラフトされない選手でも2部(NAHL)からコールアップされたり、フリー契約を交わして入団することもあります。さらに細かい制度も多々ありますが、基本的な流れとしてはこんな感じ。
USHLに入れれば1部の大学へ進める可能性はグンと上がりますが、そうは言ってもとても過酷な世界。2部に落とされたりすることも多々あるのでここら辺はカナダのCHLと変わりありません。
そのアメリカジュニア2部リーグがNAHL。
USHLに劣るとはいえどかなりレベルが高いのが現実。むしろ平均年齢もUSHLより高く、選手によってはよりハードなリーグと感じることも。
ちなみに平均年齢が高いのはオーバーエイジ選手の登録人数制限の違いにあります。「オーバーエイジ」とはジュニア最後の年を迎える選手のことを指し、USHLではマックス四人しか登録できないのに比べ、NAHLにはこの制限がありません。カナダのジュニアリーグにもこのルールは存在します。CHLでは登録制限が3人、僕が最初にプレーしていたOJHLでは9人、そして移籍先のCCHLでは6人でした。
話を戻します。
NAHLはカナダのトップJr.Aリーグと似たようなレベルで、毎年数多くの D1選手を排出しているリーグ。ここで活躍すればオファーをもらえる可能性が高いのは間違いありません!
NAHLに入るには実はUSHLと似たような制度も。NAHLドラフト→トライアウト→入団 というパターンはここでも同じ。
違うのはこのドラフトではジュニアでプレーできる年齢であり、NAHLチームと契約を交わしていない選手であれば誰でもドラフトにかかれること。USHLのPhase 2と似たような感じですね。
ただしNAHLは全体的にフリー契約の方が多く、トライアウトやスカウティングを経て契約するケースも多いです。
仮に D1が目指せるリーグに入れたとしましょう。次はココからどうしたらオファーまで辿り着けるのか↓
ジュニア→NCAA
さて、次のステップはオファーに至り大学にコミットする(入学を決める)こと。
まず第一前提として、どのリーグでも成績をおさめないと話は来ません。USHLのようなトップレベルのリーグでもプレーで自分の価値を証明できないと下に落とされて終わり。下に落とされてからも結果を残せないと D1へ進むのはかなり難しいです。単純にポイント数などで考えると、リーグのレベルが下がれば下がるほどポイント数が多くないとオファーは来づらくなります。このようにまず大切なのが所属リーグで生き残り、結果を残すこと。
仮に大学から目を引くような選手であるとします。
ココからの流れとしては: コーチ陣と話す→キャンパスツアー→オファー→コミット
というのが理想のパターン。僕自身こんなにスムーズに話しは進みませんでしたが、トップの選手はザッとこんな感じ。
僕の場合はカナダの2部だったので、USHLの選手とはだいぶ違った流れでした。シーズン中にNCAAのコーチ陣にメールを書いたり、ツアーを自分から積極的にお願いしたり、オファーが来ても奨学金が少なかったりと。。。
リクルートされる過程においてまず最初に(ほとんどの場合)コーチから話が来ます。試合の後だったり、突然の電話やテキストであったりさまざまな方法で連絡をしてきます。そこから大学側は選手の性格のリサーチをしたり所属チームのコーチから評価などを聞いて、本気で取りたい選手にはキャンパスツアーの招待を送ります。
このツアーではキャンパスの訪問はもちろん、リンクの中を紹介してくれたり試合を見せてくれたり。最後は通常コーチ陣とミーティング(面接的な)をし、その場でオファーを受けることも多いです。
オファーを受けてからは奨学金の内容や、いつから入学してほしいのかなど色々な要素を考慮した上でコミットに至ります。
ちなみに僕がロングアイランド大学からオファーを受けたのはシーズンが終わった後の5月。いきなりテキストが来て、そこから電話で少し話し、翌日にはオファーが。コロナ禍だったためツアーなどはありませんでしたが、多くのことを考えた上でコミットすることに。
他にもオファー寸前まで行って、中々連絡が来ないと思っていたらその監督がクビになっていたなど。。。こんなこともありました。
ココで一つ注意点が。
仮にコミットしたとはいえど、実はこれ口約束に過ぎないんです。正式に書類をサインするまではいつde-commit (切られること)されても何もできず、また一から始めなくてはなりません。逆に選手がde-commitすることも可能です。
そして書類をサインしても奨学金の配布は一年契約なので、一年プレーして「やっぱり来年は金出さない」なんてことも。僕はこのようにして転校することになりました。
さいごに。
北米では多くの子供が夢見るNCAA D1。実際レベルとしては大学リーグ世界一を誇り、NHLも本気で目指せる最高の環境。防具の支給や施設へのアクセスなども世界トップクラス。ただしレベルが上がれば上がるほど競争も激しくなり、多くの理不尽と向き合わなければならなくなることも。
簡単な道のりではありませんが、日本人にも必ず目指せるリーグ。実際すでに3人このリーグでプレーしていて、今後入学が決まっている選手もいるので夢の世界では決してありません。
今回はUSHL、NAHL、そしてカナダJr.Aをメインに説明しましたが、Sacred Heart University(NCAA D1)に入学が決まっている榛澤選手がプレーしていたNCDCなど他にも D1が目指せるリーグは存在します。上を目指して結果を残していればスカウトは見つけてくれるので、今回説明に使ったリーグはあくまでも主流のパターン程度と思って参考にしてみてください。
選手各々に合ったリーグがあり、NCAAが向いていない可能性も。ただし一つの目指すオプションとしては必ず持っておきたいリーグ。少しでも役に立てたら光栄です🙇🏻♂️
それでは僕はオタワへ戻る準備を進めるのでみなさん良い一週間を〜👋
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