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素敵なイタリア人ご夫婦の話

娘の高校留学を機に、2023年4月、メルボルンに移住しました。高校卒業までの期間限定の海外暮らし、残り329日のあれこれをnoteに綴ります。


移住して半年が経った頃から、近所のコミュニティセンターで”英語を第一言語としない外国人のための”英語教室に週2回通っています。もともと英語が好きでしたが、英検2級をとったのははるか遠い遠い昔、30年以上前のこと。とはいえ、せっかく50歳にして海外移住できたワケですから、何もしないでのほほんと過ごすのはあまりにももったいなさすぎます。この恵まれた環境をいかに有効活用するのかを考え、壮大すぎる学び直しに絶賛取り組んでいます。

学び直しにも制限がある厳しいビザ

私は“ガーディアンビザ”という、やや特殊なビザで移住しました。このビザは、“保護者ビザ”(帯同ビザ)とも言われていまして、簡単に言うとオーストラリアで学生として生活する子どもの面倒を見ることを条件として発行されます。私のように親でもいいですし、子供の親が委任すれば他人でも構いません。
ただしこのビザ、オーストラリアで生活するにはかなり厳しい条件がそろっています。細かいことを言えばいろいろあるのですが、いちばんツラいのは、『3か月以上、学校に通うことができない』こと。当然、語学学校も3か月以上通えないのです。確かに、保護者が朝から夕方までびっちり学校に通っていては、子どもの面倒がおろそかになるかもしれませんね……。

ようこそ。教室に一歩入れば、そこはダイバーシティ

ということで、私が通っているのはいわゆるガチガチの語学学校ではありません。かといって、ゆるいワケでもなくて、1回のレッスンは4時間ほどあります。しかも私、わりと努力家なものですから、中級クラスと上級クラスの2コマをとっています。授業も楽しいですが、何より愉快なのがそこに集まってくる受講生たち。
先週から新学期が始まりまして、新しい人たちがわんさかやってきました。フランス、ベルギー、タイ、中国、ウクライナ、ブラジル、イタリア、ウルグアイ、そして、日本。先生はオーストラリア人ですから、小さな教室に10か国が集まっているのです。教室に一歩入れば、そこはダイバーシティ。メルボルンって、ホントにおもしろい!

仲良く帰る後ろ姿に、きゅん

新しい受講生で、とても気になっている人がいます。推定年齢は60代中ごろ、イタリアからやって来たご夫妻です。はじめてお見かけしたのは、先週の木曜日のこと。上級クラスに奥さんがいらして、自己紹介をしてくれました。聞けばメルボルンにはトラベルビザで来ていて、2月下旬には帰国するそうです。英語をずっと勉強しているので、旅の思い出として受講していると言っていました。イタリア語のアクセントがやや強いので、聞き取るのが少し難しいのですが、とにかく明るい方なのでこちらも話しかけやすいです。
授業が終わり教室から出ると、ドアの入口付近のソファに旦那さんが腰かけていて、仲良く二人で帰っていきました。私はその後ろ姿をみて、なんだか気持ちがあったくなり、“あんな風に夫婦で年を重ねていきたいなぁ”としみじみ。

メルボルンを選んだ理由にまた、きゅん

そして、翌週の月曜日、つまり今日のこと。中級クラスの初回だったんですが、なんと、今度は旦那さんがひょっこり教室に座っているのです。同じように自己紹介をしてくれて、母国では長年、裁判官をしていたそうです。引退をきっかけに、今回の旅を計画したとか。そして、なぜメルボルンを選んだのかが、とてもドラマティックでした。
奥さんはメルボルンで生まれて4歳まで育ち、そこからイタリアに家族で引っ越して、以来、一度もメルボルンを訪れたことがなかったそう。そこで、奥さんの生まれ故郷を二人で旅することにしたそうなんです。
旦那さんが授業をしている間、奥さんはずっと教室の外にあるソファでずっと待っていました。中級クラスは上級クラスよりも30分長いので、4時間30分ひたすら待つことになるのです。
授業が終わり教室を出ると、奥さんは待ちくたびれたのかストレッチをしていました。私がニコッと笑うと、お茶目な顔をして笑い返してくれました。

散らかる英語でお茶したい!

愛しいご夫婦と会えるのも、あとひと月足らずです。私の主人は日本でイタリア料理店をしているので、これもご縁かも知れません。3人ともに流暢な英語は話せませんが、何しろ私はこのご夫婦のことが気になって仕方がないのです。
とりあえず来週あたり、お茶でも誘ってみることにします。
その時のお話は、また次の機会に!


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