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拍手と歓声で感じる海外生活
娘の高校留学を機に2023年4月、メルボルンに移住しました。高校卒業までの期間限定の海外暮らし、残り420日のあれこれをnoteに綴ります。
メルボルンで辻井伸行さんのコンサート開催!
先週のことです。
ピアニストの辻井伸行さんのコンサートがメルボルンで開かれ、娘と一緒に行ってきました。
場所はシティにある『Melbourne Recital Centre』で、収容人数は1000人ほど。じつはこのホールに訪れたのは2回目で、前回は今年3月に坂本龍一さんの最後のピアノ・ソロ演奏を記録した長編コンサート映画『Ryuichi Sakamoto Opus』に行きました。
その坂本龍一さんのコンサートに行ったとき、たまたま辻井さんの告知をロビーの掲示板で見かけまして、娘に「行ってみようか?」と誘ってみたところ、二つ返事でしたので早々にチケットを購入しました。
こう書いていると、私たち親子は音楽に精通にしていると思われそうなので、念のため言っておきます。私は楽譜も読めませんし、ピアノも習ったことがありません。娘は小学校3年生ぐらいの頃に半年ぐらい通いましたがまったく興味が持てず、すぐに辞めました。
そんな私ですが、原稿を書くときによく坂本龍一さんのピアノを流しています。静かな旋律がとても心地よく、頭の中に不思議なぐらい言葉が次から次へと浮かび、しかもものすごく集中できます。ぜひ、試してみてください。
最前列を陣取り、その時を待つ
コンサートは平日の夜開催でした。夕方、娘が学校から帰宅してすぐに食事をとり、アパートから会場まではトラムで30分もかからない距離でしたが、余裕を持って早めに出かけました。
会場についたのは7時少し前。ロビーにはすでにたくさんのお客さんが入っていて、奥にあるバーカウンターでワインを飲んでいたり、アイスを食べている人も。印象としては日本人が半数ぐらいでしょうか、中には美しい着物でいらしている方もいて、見惚れてしまいました。もちろんオーストラリア人もあちこちで見かけ、品のいいスーツやシックなブラックドレスを着て開演前のひとときをワイン片手に楽しんでいる様子はとても絵になっていました。
開園10分前になったころでしょうか、私たちはいちばん前の座席に座りました。舞台には大きなグランドピアノが一台。最前列ですから、ピアノがとても大きく感じます。
生演奏、やっぱすごいわ
7時30分。辻井さんが舞台袖から登場すると、会場は大きな拍手が鳴り響きます。辻井さんは2回ほど観客に深々とお辞儀をされてピアノの前の椅子に座り、30秒ほどでしょうか、両手を太ももの上に置いていました。そして、演奏が華やかに始まりました。
私も娘もまったく辻井さんの予備知識がないまま当日を迎えてしまい楽曲もほぼわかりませんでしたが、ただただ圧倒されっぱなしの1時間50分でした。音楽の知識がまったくないのでうまい表現が見つかりませんが、とにかくダイナミックで躍動感があり、心臓の奥のほうがぎゅんぎゅんしました。
海外で感じる歓声の表現力
最後の曲を弾き終えて辻井さんが観客に向かって深々とお辞儀をすると、会場から割れんばかりの大きな拍手が挙がりました。それは、コンサートが始まるときよりもはるかに大きな拍手で、しかもウェーブのように音の強弱がつけられていて、それを聞いているだけで私は鳥肌がゾワっと立ちました。さらにその拍手とともに、大歓声が続いています。
隣に座る娘も大きな拍手をしていましたが、私は娘のある行動に驚きを隠せませんでした。
「Woo hoo!」
そうです、盛り上がったときに言う「フーっ!」っていうアレです。娘はかなり慣れた調子で、「Woo hoo、Woo hoo ~!」と言っていました。で、私にも“言ってみな”というサインをしたので、私も恥ずかしながら「ふぅーっ」とひとつ、ふたつ……。
娘の「Woo hoo!」は違和感なくメルボルンに溶け込んでいますが、私のそれは何だかぎこちないというか、やらされている感じの「ふぅーっ」。年齢もあるかも知れませんし、性格かも知れません。または、海外の雰囲気にまだなじんでいないからかも知れませんね。
移住して1年半になりますが、娘の「Woo hoo!」の掛け声、なかなか様になっていたなぁと思います。高校留学って勉強だけではなく、その国の文化や雰囲気にフィットしていくものだと感じた夜でした。
今度は辻井さんの曲を聴きながら、仕事をしようと思います。辻井さん、素敵な演奏をありがとうございました。
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