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時差に負けるな

娘の高校留学を機に2023年4月、メルボルンに移住しました。高校卒業までの期間限定の海外暮らし、残り434日のあれこれをnoteに綴ります。


10秒でいいから安否確認がしたい

私が結婚したのは1999年4月25日、今から25年前です。

娘の留学を機に日本に夫を残してメルボルンに移住しましたが、私たち家族は連絡を密に取り合っています。ほぼ毎日、LINEでビデオ通話をしておりまして、短いときは10秒、長いときは30分ほど画面越しの会話を楽しんでいます。

夫はイタリア料理店を営んでおり、とにかく多忙な人です。同業の方ならおわかりになるかと思いますが、ほぼ1日中、店にいます。やりとりをするタイミングは営業が終わった22時前後にしています。
「あっ、どうもどうも。今、大丈夫?」
「あっ、ごめん。まだ料理出し切っていないんだ」
プチッ、終了……。こんな日もまあまああります。

わずか10秒の短いやりとりですが、お互いの“安否確認”ができますし、お店が忙しいことは何よりうれしことですから。

わざわざ言うことでもない会話に意味があることも、なくはない

ほぼ毎日LINEでビデオ通話をしている私たちですが、何を話しているかというと、ホントにとりとめのない内容です。“今日は寒かった”だの、“朝ウォーキングしたよ”だの、“新しいパン屋を見つけて、おいしかった”だの、わざわざ言うことでもないのような、ありきたりの生活の一部を切り取っています。

私が一方的にペラペラ話すことが多いのですが、夫は1日の営業を終えて、ときに厨房の片づけをしながら、またあるときは事務仕事をしながら私が言うことをうんうんとうなづきながら、聞いてくれます。

2時間の時差が私たち家族の時間を奪う⁈

オーストラリアと日本はつい先日まで時差が1時間でしたが、10月第一週日曜日より夏時間“Daylight saving”となり、時差が2時間となりました。今までオーストラリア時間の23時ごろに連絡をとっていましたが、この日を境に深夜0時に連絡をしなければなりません。

わずか1時間、されど1時間……。

私と娘にとって、23時と深夜0時とではかなり差があります。オーストラリアで暮らすようになってから規則正しい生活になりまして、22時30分ごろになると自然とまぶたが重くなるのです。そんな状態であと1時間30分も起きていることは、もはや何かの罰ゲームのよう……。

私たちはLINEのメッセージじゃ、満足しませんから

夏時間になってからというもの、毎日のビデオ通話ができなくなってしまいました。その代わりにLINEでのメッセージはしていますが、それではどうも味気ないというか、素っ気ないというか、杓子定規な内容で臨場感がまったくありません。

そこで、新たな取り組みを実践しています。ランチが終わり、ディナーが始まる前の休憩時間を見計らってビデオ通話をする作戦です。日本時間で言うと、だいたい15時30分~16時10分の間を狙います。ただ、これはあくまでもこちらの予想であって、ランチの混雑状況、休憩時間に業者の方とやりとりしたり、アルバイトの方とのシフト調整などの打ち合わせもあったりして、なかなかゆっくり話すことはできないのです。

さらに、この休憩時間は夫にとっては“からだを休ませる時間”でもあって、お昼ごはんを食べたら少し昼寝をしています。1日中ずっと厨房に立っていますから、体力的にもココでしっかり休んでおかないといけません。

離れているからこそ、今日起きたことは今日のうちに話したい

たいした用もないのに、そうまでして毎日連絡をする必要があるのか? と言われてしまえば身も蓋もありませんが、私たち家族にとってはとても大切な時間です。離れているからこそ密に連絡を取り合い、些細なことでもタイムラグがないようにしています。日本にいる夫にとって、メルボルンのパン屋事情が重要ではないことがわかっていますが、“私と娘がおいしいパンを今日食べた”ことを、日本にいる夫に時差なく伝えたい、ただそれだけです。

離れて暮らしているからこそ、小さな、ほんの小さな日常が、家族のとても大きな、かけがえのない絆になっていますから。

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