【セルフインタビュー Vol.26】5年前の私、5年後の私を考える
娘の高校留学をきっかけに、2023年2月からnoteをはじめました。50歳からの初海外移住(メルボルン)のあれこれを随時更新しています。2023年8月より不定期として、自分自身を俯瞰で見るために“セルフインタビュー”として、スピン記事をしています。
5年前の私、何してた?
―― 夏目さん、お久しぶりです。少しお会いしていない間に雰囲気が何だか変わりましたね。髪が伸びたせいでしょうか。
夏目 ずっとショートでしたからね。ボブにする予定はないんですけど、この中途半端な長さがわりと気に入っていまして。でも来月には髪切る予定です。
―― このセルフインタビューは、夏目さんがお話したいことがある時だけに取材することになっていますから、何かありましたか?
夏目 そんなたいしたことはないんですけど、ジェーン・スーさんと堀井美香さんのラジオ番組『over the sun』ってご存知ですか?
―― 本はよく読みますが、ラジオには疎くて……。その番組が何か?
夏目 今年になってからポッドキャストでリスナーになりまして、晩ごはん作りながらとか洗濯ものをたたみながらとか1日の隙間時間に聞いています。お二人とも私と同じ50代ということもあって共感できる内容が多くて楽しいんですよ。今日も晩ごはん作りながら聞いてたんですけどね、番組テーマが『5年前の私』だったんです。そしたら、ぜひ私もお話したいなぁと思ったんです。
コロナで夫婦ともに仕事ゼロ
―― 『5年前の私』。確かにおもしろいテーマですね。では、2019年の10月にさかのぼってお話を聞かせてください。
夏目 5年前は私が46歳、娘は小学校6年生ですね。言葉で“5年”と言うと短いように感じますが、今、高校2年生になっている娘の姿を見ると、だいぶ時が経っていることを実感しています。当時の私は、とにかく仕事に追われていて、レギュラーの雑誌は4本、その他にもウェブ記事の連載もあったので、人生の8割は仕事に捧げていました。
―― 夏目さんは、仕事がお好きだから。
夏目 フリーランスだからか、仕事の依頼を断ることがなかなかできないんですよ。ぐいぐいスケジュールを押し込んで、結局休みがないという状況が続いていました。相当追い込まれてはいましたけど、それはそれで楽しかったですよ。
―― その楽しい仕事に大きな変化があったのは、翌年の2020年。コロナが始まった年でしたね。
夏目 今でもはっきり覚えているんですけど、2020年の3月に香港で取材をする仕事があったんです。でもすでにコロナのニュースがじわじわ増え始めている時期で、出版社と取材をするかどうかかなり話し合ったんですよね。ただ航空券やホテルの手配などもろもろしていたので、結局行来ましたけど。それから2カ月も経たないうちに、仕事がほぼゼロになりました。フリーランスになってちょうど20年の節目に仕事ゼロ…‥‥、あの時はツラかったですね。少しずつ再開したものの、大口の広告の仕事などは軒並みキャンセルになり、結局コロナが始まって1年くらいは仕事が不安定で、私の気持ちもグラグラしていました。それにもっとひどかったのは夫です。イタリア料理店をやっていますから、店を開けられないんですよ。私以上に仕事が好きな人ですから、ホントにしんどそうでした。
風の時代だから、軽やかに生きたい
―― その頃ですよね、メルボルンの移住を考えはじめたのは。
夏目 娘の高校留学をリサーチしているとき、保護者も同行できるビザ(ガーディアンビザ)があることを知ったんです。コロナがきっかけで今まで対面だった仕事もオンラインになり、やり方が変わったことで”場所にとらわれず、自由に働く環境を作れるかも”って思いました。それに当時、“風の時代の生きるには……”というテーマの特集記事をよく目にしていたこともあって、心がざわざわしていたんです。
―― 『今まで物質的な豊かさがよしとされた“土の時代”から、200年ぶりに“風の時代”に移行したことで、既存のやり方や価値観にとらわれない自由な生き方を重視する』という、占星術でのお話ですよね。
夏目 “風の時代”について知れば知るほど、これからはフットワークを軽くして生きていったほうがいいかなって直感的に思ったんです。ずっとそこに踏ん張っているよりも、違う場所で新しいことにチャレンジしてみようかなって。まもなく50歳という年齢も見えていましたが“もう50歳”っていうよりも、“まだ50歳”って思えたんですよ。そしたら、一気に視界がクリアになったというか、『人生1回しかないから悔いのないようにやってみよう』って。その気持ちを誰よりも夫がわかってくれて、後押ししてくれたことで決心できました。
―― 夏目さんの5年間はかなりの変化がありましたね。
夏目 まさか自分が50歳で海外移住するとは……。”人生何が起こるかわらかない”ってまさにことのことです。日本にいた頃より仕事量は減りましたが、移住したからこそ得られることもたくさんありましたから。新しい友だちができましたし、30年ぶりに英語を勉強していますし、時間ができたことで自分と向き合えました。今読んでいる本の一節に、『5年後になりたい自分をイメージしながら毎日を生きる』という言葉を見つけて、今、考えているところです。
一生は一瞬の積み重ねでできている
―― 5年後というと、57歳ですね。
夏目 そうですよ、人生も中盤を過ぎています。娘も22歳ですから、巣立っているはずです。具体的なことはまだはっきりしていませんが、今よりももっと軽やかに生きたいですね。年を重ねると受け身になり、固定観念に囚われたり、億劫になりがちですが、それを取っ払ってスキップして生きられるぐらいにフットワークが軽くなりたいです。“こうしなくっちゃ”って思わないで、“こうしようかな”って自分の人生をデザインしたい。そのために必要な知識やスキルを磨くための5年間にしたいですね。
―― どんな5年後が待っているか、楽しみですね。
夏目 5年後にこのセルフインタビューをどんな気持ちで読み返しているかを想像するだけワクワクしてきます。そのためにも、1日1日を大切に、目標を持って生きたいです。何歳になっても目標や夢を持つことってすごく大切なことですから。
―― 1日24時間は誰しも平等ですが、それをどう使うかによって人生って変わりますからね。
「一瞬も 一生も 美しく」って言う、資生堂の広告コピーをご存知ですか? これは一瞬の美しさの丁寧な積み重ねが、一生の美しさに繋がることを表現しています。この言葉って美容だけでなく、人生そのものを表現していると思いませんか? 一生は一瞬の積み重ねできていますから。
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