トラムで鳴り響く、不穏な着信音
娘の高校留学を機に、2023年4月、メルボルンに移住しました。高校卒業までの期間限定の海外暮らし、残り319日のあれこれをnoteに綴ります。
先日のことです。
娘を学校に送り出した後、SNSで見つけたカフェにひとりでいきました。自宅からトラムで40分ぐらいのちょうどいい距離、さほど暑くもない、まさしくお出かけ日和。
店に着いたのは10時を過ぎた頃で、朝の混雑も終わっているせいか、お客さんもまばら。店内に入ると居心地のよさそうなソファ席に案内してくれました。メニューを開くと豆の種類が豊富で、いろんなコーヒーがあります。よく読みましたが、コレと言ってピンとくるものがなかったので、他のカフェでもよくオーダーする『アーモンドラテ』にしました。ひと口飲んで、「うん、好き」。メルボルンは基本的にどこの店のコーヒーもおいしいのです。
不穏な着信の正体は……
30分ほどカフェで過ごした後はアパートに戻るつもりでしたが、娘のお弁当で使う保冷剤が必要だったのを思い出したので、シティにあるダイソーに寄りました。100円の品物は300円と割高ですが、品数も豊富ですし、欲しいものがすぐに見つかるのでわりとお世話になっています。
そのままランチでもしようかと思いましたが、昨日の夕食の残りがあるので、アパートに戻りました。
トラムに乗り、携帯電話をいじっていると、着信音が勢いよく鳴りました。ショートメールやLINEではなく電話。めったにかかってこないので、誰だろうと表示を見ると、アパートの管理人、Harryでした。その表示を見た瞬間、何となく不穏な気持ちになり、嫌な予感が……。出ようか出まいかモタモタしていると、着信音はプツッと切れてしまいました。しかし、すぐにショートメールが彼から届きました。
「This is harry, call me urgently.」
“urgently”だと！ これはただごとではありません。私の不安は的中し、すぐに彼に電話をしました。
「もしもし、MADOKAです。どうしました？」
「今どこにいるの？」
「トラムに乗ってます。あと20分ぐらいでアパートに戻ります」
「MADOKAの住んでる下の部屋で水漏れしてるんだよ。今日、洗濯機を使った？」
「いやいや、今朝は使いません」
「わかった。とりあえず帰ったらすぐに俺に電話をしてくれ。じゃ」
水漏れ?！ もしかして、水を出しっぱなしにして家を出た？ いやいや、それはありません。１ＬＤＫの小さなアパートですし、水回りといってもキッチン、トイレ、シャワー、洗濯機の４つしかありませんから。仮にいずれかの水が出しっぱなしだったとしたら、出かけるときに音で気づくはずです。
なんだ、なんだ、何が起きた！
トラムの停留所からアパートまでは歩いて1分もかかりませんが、私は小走りで戻りました。エントランスに入りエレベーターに入ると、Harryと居合わせました。
「MADOKA、ちょうどよかった。一緒に部屋に行こう」
「あ、はい」
問題となっている洗濯機は入り口のドアを開いてすぐ横にあります。予想通り、洗濯機はもちろんのこと、どこも水は出しっぱなしになっていませんでした。そしてHarryは私にもう一度、今日洗濯機を使っていないことを確認しました。
「普段は毎朝してますが、今日はたまたま洗い物が少なかったからしてません。下の階の部屋はこの洗濯機が置いてある天井が雨漏りしてるんですか？」
「そうだよ、コレ見てみて」
Harryは雨漏りしている天井の写真を見せてくれました。びしょ濡れではありませんが、確かに天井が濡れています。それから彼は洗濯機の蛇口やホースを確認しましたが、おかしいところは何も見つかりませんでした。
「ありがとう。MADOKAの部屋の問題じゃないな。いま、アパートの業者も呼んでるから、状況がわかったからまた連絡する。それまで、洗濯機を使わないでくれる？」
「いいですよ。今日はもう洗濯しませんから」
成長した自分を褒めようじゃないか
とりあえず私の問題ではなかったことにほっとしました。だいぶ遅くなりましたが、昨日の残りのキーマカレーを温め、パンを焼きました。何だかお腹も空いてなくて、無理して食べました。
1時間ぐらい経ったころでしょうか、Harryからショートメールが届きました。
「You can use the washing machine no problem. Sorry for the trouble. The leak is coming from somewhere else. Thank you」
原因はよくわかりませんでしたが、とりあえず問題解決。明日から洗濯機も使っていいとのこと。そういえば、半年ぐらい前に食洗器が調子悪くなって、契約している不動産屋に連絡をした時も飛んできました。どうやら、水漏れというのは、かなりやっかいなことになるようです。もうしばらくこのアパートにお世話になりますから、どうかトラブルが起きませんように。にしても、慣れない英語で問題解決できた自分を褒めることにします！
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