寺川國秀博士の記事 2
<2010年12月3日の記事より>
寺川先生は理想の入れ歯を求めて世界中のすばらしい先生を探し回ったといいます。その好奇心は、時間や場所を超越したものであったと記事では紹介されています。
先生の中で、弘法大師の言った「命は血脈にあり」と生物学者ガストン・ネサンの「人の血液中には極小の生命体が存在する」が結びつきます。ネサンはその生命体をソマチットと名付けていました。
ネサンが3万倍の光学顕微鏡で採取した一滴の血液を見ると、まるで夜空にきらめくような無数の生命体(ソマチット)がうごめいていたのです。
ソマチットはがんなどの病気になったり死を迎えると尿と共に流れ出てしまうという仮説をもとに、ネサンは多数のがん患者を治療します。しかし医師免許を持っていないために医師会や製薬会社から告訴されてしまいますが、彼に救済された人々の請願によって無罪を勝ち取りました。
強い関心に導かれて当時19時間の距離を超え、寺川先生はカナダのネサンに会いに行きます。
赤い薔薇の飾られた部屋で対面したネサンは、まるで高僧のような印象でした。
一心不乱にその講義を聞いて、先生は次のようなことを理解しました。
●ソマチットが活性化している時は健康なときである
●心が豊かで精神的にも肉体的にも満足しているとき、ソマチットは1000度の高温でもマイナス60度の低温でも死滅しない
●ソマチットは人間の免疫力の元として存在し、免疫力を上げるとソマチットも増大する
寺川先生は、これは気功による調身・調息を行った結果、免疫力を上げると病が治ることの証明であると全日本少林寺気功協会会長の奏先生を思い出します。
中国3000年の歴史で鍛え上げられた気の原理と現代医学の最先端の発想が一致したのでした。
そして日本でも弘法大師が「血脈」を使ったように、精神的な力が免疫を上げることは、東洋ではすでに認識されていたのだと悟ります。
あるとき、体も歯も状態が悪く、一切の西洋的な治療を拒み、麻酔さえも拒否した患者さんがいて、奏先生に気功で麻酔をかけることができないか相談します。奏先生は快諾してそれに成功し、寺川先生は全く痛みを感じさせずに治療を終えることができました。(この様子は録画され日本やNYの学会で発表されました)
寺川先生は気功の素晴らしさを広めるのが日本の役割だと痛感したと言います。やがてこれが世界気功フォーラムでの講演へとつながるのです。
先生がたどり着いた思いとは、
●東洋医学の真髄に触れていけばさまざまな病の治療ができる。
●心と体が健康で美しく、長生きするためには予防医学が重要である。
●西洋医学と東洋医学はまるでオーケストラが命のシンフォニーを奏でるように病める人を癒す。これが『和合医療』である。
●『和合医療』『心の医療』の本質は、和をもって尊しとするさまざまな医療分野の専門家が団結して患者さんの病に立ち向かうことである。
これらのことを次世代に伝えていきたいとインタビューでは語っています。
私はこの連載記事を読んで、寺川先生は人間の幸福、社会全体の幸福を追求し、愛に溢れた方だと感銘を受けました。
そして、数年前にトヨタ産業技術記念館に行った時のことを思い出しました。
館内にはトヨタグループの創始者豊田佐吉さんのコーナーがあり、彼の社会貢献の姿勢が分かります。佐吉さんは単なる企業利益の追求ではなく社員やその家族を大切にされていました。
偉大なことを成し遂げる人はこのような人格者なのだと私の中で強く印象に残りました。
人間として完全な活(い)き方をするには心を積極的にせよと説いた中村天風さんもそうですね。また、ネサンと同様に気の力について独自の解説をしています。
寺川先生は歯科医の立場から広い視野で学び研究し次世代を育てて行きました。
その意志を継いだ先生方にお世話になり、感謝しています。
ありがとうございます。
科学技術は進めども心の医療を忘れない。それが伝わってくるセイントアルプス歯科でした。