【MTGアリーナ】MDFCのBo1初期土地手札補正
|ω・`)ノ ヤァ
こんにちは。はじめまどかです。
私は「マジック:ザ・ギャザリング」のプレイヤーのひとりです。最近は[一般TCG理論]についてよく記事を書いています。
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2024年6月12日にはMTGアリーナに『モダンホライゾン3』が実装されることになりました。『モダンホライゾン3』にはモードを持つ両面土地であるMDFC(Modal Double-Faced Card)が多数収録されています。MDFCのカード自体は『ゼンディカーの夜明け』にて登場したメカニズムです。
MDFCは土地でも呪文でもあるカードなので、これを採用したデッキにおいて初期手札補正がどのように行われるのかは気になるところですよね。
この記事ではBo1の初期手札補正のMDFCの影響について検証していきたいと思います。
以下の記事は下記の内容及び結論となっています。
先行研究の紹介
先行研究として2つの記事をあげておきます。
辻川さんの記事は有料になっています。そのため、せっかくの機会なので自分でテストしてみようと思ったことが今回の記事を書くに至った経緯です。
恐らくこれらの先行研究と重複する部分があるかと思いますがお付き合い頂ければ幸いです。
そもそも初期土地手札補正とは何か
MTGアリーナの「Bo1」においては初期の手札にはゲームが潤滑に進められるように土地枚数について補正のアルゴリズムが存在します。
以下の2つの引用は公式にて公表されている「初期土地手札補正」に関する記事の一部です。
簡単に説明するならば、Bo1の初期手札は3つの候補からデッキの土地枚数の期待値に近い手札を選択する傾向があるということです。これはマリガン後にも影響します。
これはBo3と比較してBo1は試行回数が少ないためゲーム開始時点で勝敗が決定されることをできるだけ避けるためのメカニズムです。
ここでは詳細は省きますが「傾向」というものを簡単に説明します。これが非常に重要な言葉になっています。例えば期待値が「2.4」であれば初期手札の土地枚数は2枚が優先される、「2.5」枚であれば初期手札の土地枚数は3枚が優先されるというように完全な補正であれば、期待値の閾値の前後で極端な初期手札の土地枚数となってしまうでしょう。このような結果になるのであれば土地枚数次第である種の悪用ができてしまいます。そうならないように完全に期待値による補正が適用されるのではなく「傾向」となっていて、ある程度なだらかに初期手札の土地枚数が分散するようになっています。(これについても実験したことがあるのですがまた別の機会とします。)
実験方法の概要
実験方法はMTGアリーナのアプリ上で初期手札の確認を繰り返し、実際に初手に引き込んだ土地枚数を100回カウントするという手法を取りました。回数については10万回くらいできればいいのですが手動で行うのは無理であるため、MTGアリーナにおいて手動で行う範囲であれば回数的に確実性に欠けると思ったため100回とやや少な目としました。そのため、この実験はある程度の傾向が分かるといった参考値の範囲を出ない内容となっています。
そもそも初期手札土地補正はどれくらいなのか
まず前提としてMTGアリーナの初期手札の土地補正がどれくらいの強さなのか確認してみましょう。MTGアリーナの通常の土地のみを採用した場合と、テーブルトップでの確率を比較してみます。テーブルトップでの初期手札の土地枚数はシャッフルによる無作為化が完璧であれば確率計算によって求めることができます。
以下からは実際に実験してみたデータを載せていきます。
棒グラフと近似曲線にした場合を示すとこんな感じになります。好きな見やすい方で見てください。青が補正無し、赤が補正ありです。
デッキ枚数60枚、土地24枚の期待値は2.8枚です。そのため、補正有の場合は土地3枚の場合が多く選択されることが予想されます。予想と同様に明らかに土地3枚のときの確率が高くなってることが見て取れます。
初期手札土地枚数が2~4枚をキープの基準とするのであれば、0,1,5,6,7枚のときはマリガンという条件を仮定します。この回数は補正無しでは約22%となるので、そのまま約22%がマリガンする確率となります。補正有の場合では初期手札土地枚数が0,1,5,6,7枚のときはほぼ見られないため約22%のマリガンする確率が低減していると考えることができます。
このことからBo1においては強力に初期手札土地補正が働いていることが分かりました。
MDFCの初期手札補正はどれくらいなのか
初期手札の土地枚数補正について簡単に実験結果が分かったので本題に進みましょう。MDFC(Modal Double-Faced Card)をデッキに含めた場合にどれくらいの補正が効くのかということですね。
まずそもそも、MDFCには土地枚数補正があるかどうかを確認するために土地をMDFCのみの24枚にした場合を確認する必要があります。そして次にMDFCと通常の土地を12枚ずつの計24枚にした場合を確認します。これでおおよその傾向が掴めるかと思います。
以下からは実際に実験してみたデータを載せていきます。
実験に使用したのは《ネズミの群棲/Rat Colony》と残りがMDFC土地といったデッキ構成です。
棒グラフと近似曲線にした場合を示すとこんな感じになります。棒グラフはちょっと見辛いので近似曲線を見ると分かりやすいかと思います。
まずはMTGアリーナでのデッキ枚数60枚、MDFC24枚の実験値(補正有(M:24))を見ていきましょう。グラフでは黄色です。土地を全てMDFCとすると初期手札土地補正は働くものの分散するということが分かりました。補正の効きが弱くなるというのは面白い結果ですね。
続いてMTGアリーナでのデッキ枚数60枚、土地12枚、MDFC12枚の実験値(補正有(L:12,M:12))を見ていきましょう。グラフでは緑色です。この場合はMDFC24枚の場合と通常の土地24枚の場合のちょうど中間くらいの結果となりました。MDFC24枚のときと比較して分散が弱くなっていますね。これらのことから土地総数が同一の場合にはMDFCの枚数は相関関係があることが分かります。
具体的な数値にするのは若干難しい面もありますが、MDFC24枚のときで約20%、MDFC12枚のときで約10%程度期待値をピークとした確率が下がるという傾向が分かりました。現実的な値でみるとMDFC6枚で約5%、MDFC3枚で約2.5%程度ですね。
マリガンする場合である0,1,5,6,7枚の回数を見てみると、MDFC24枚のときとMDFC12枚の場合でもほぼ現れない数値であるため、マリガンしなければならない回数自体はほとんど変わらないと言っていいと考えます。
個人的な結論としては土地総数を変えないのであれば、MDFCの初期手札土地補正は現実的には小さいと考えています。
おまけ
興味があった他の懸念事項として、土地の色マナには補正がかかるのかどうかということです。例えば、《ネズミの群棲/Rat Colony》しか入っていない黒単に《沼/Swamp》と《山/Mountain》を入れた場合には《沼/Swamp》が多く手札に来るかどうかです。
結論としては《沼/Swamp》が優先的に初期手札に来ることはなく、《山/Mountain》と同様の枚数でした。このことから、初期手札土地補正には色マナは考慮されていないことが分かりました。
まとめ
今回の記事では「【MTGアリーナ】MDFCのBo1初期土地手札補正」をお届けしました。
かなりざっくりと自分用の備忘録としてnoteを書きましたが参考になれば幸いです。
ちなみに、筆者は統計学については素人です。今回の実験を機にちょっとだけ統計学を勉強してみましたがなかなか面白かったです。統計学の入門系の本は非常に分かりやすく書いてあるためおススメです。
それでは。
|ω・`) チラ
|彡サッ!