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進むも地獄、退くも地獄

「お前みたいな奴ばっかりだったら世の中回らねぇよ!」

とてもポピュラーな罵倒である。

だがしかし

「世の中回すために生きてねぇよバーカ!!!」

という感じでもある。

多分誰しもがそうだ。

『俺は世の中を回すために生まれてきて世の中を回すために生きている、世の中が回ることこそが俺の生きる意味だ!』

そんなやつはいない。

いないはずなのになぜ、こうも世の中を回すことを重要視した発言が横行してしまうのか。

それはいつしか君の中で、世の中をしっかり回すことが当たり前になってしまったから。

日々の仕事や育児に疲れ果てて、それでもやらなければいけないことは沢山あって、疲れ果てた中で消化して、、、それを繰り返す日常が、君の心をバグらせてしまった。

「大体の人は大人になりたくて大人になった訳じゃないよ、ただ子供じゃいられなくなっただけ」
これは僕が友人と、深夜の2時くらいに行ったサウナで流れていた、名前も知らないアニメの妖精みたいなキャラクターが言っていたセリフである。

思いっきりハッとした。

君たちもそうだろう?

「高校時代、大学時代は楽しかったなぁ」

そう思ってるんじゃない?

「戻れるなら戻りたいなぁ」

そう思ってるんじゃない???

本当はこう言いたいんじゃない?

「私もやりたくないのに世の中回すために頑張ってるんだから、お前もちゃんと世の中回すために頑張れよ!」

大人になりたくなかった、世の中を回すことなんて二の次で、自由に生きていたかった。出来ることならやりたいことだけやっていたかった。そんな気持ちを押し殺して、世の中を回している君たちだから、好きに生きてる奴を見るとムカつくんじゃないだろうか。

だからこそ逆に言いたい。

「その道、お前が選んだんだろ!押し付けんなバーカ🖕」

そしてもうひとつ言いたい。

「別にお前の人生、まだ選び直せるぞ」

最後にもうひとつだけ言いたい。

「でもこっち側もこっち側で好きに生きてはいるけど、結構メンタルにくるものがあるよ」


あとがき

あまりにも遅ればせながら、「愛がなんだ」っていう映画をNetflixで見たんよな。元乃木坂46の、推しメンである深川麻衣さんが出てたから。そしたら、オカリナを痩せさせて可愛くしたみたいなおかっぱの女が、男にうつつ抜かして仕事クビになったんよ。その時、同僚に嫌味半分本心半分くらいの感じで「でもおかっぱさんはいいですよね、そんなに自分の気持ちに正直に生きられて」って言われたんよ。それに対しておかっぱの『まぁ社会回すために生きてる訳じゃないし』っていうアンサー。

どっかーん!俺の心にダイレクトアタック。

それはほんまにそう。

何のために生きてるかは知らんけど、少なくとも社会回すためには生きてない。けど生きてれば生きてるほど、社会回すくらいしか出来なくなっていくんよな。流れに飲まれて社会回すのもおもんないし、かといって逆流したらそれはそれで大変っていう。暮らしが、当たり前が、変わるからなぁ。友達みんなが土日に集まってること。行きたいライブだいたい土日にあること。まともに有給って概念が存在してないこと。好きな人に恋人が出来ること。それを悔しいと思える立場にすらいないこと。友達がみんな結婚していくこと。自分に結婚の土台すらなさすぎること。心の中では昔から何も変わらず友達やのに、人生が別ルート過ぎてあんまよく分からんくなってきてること。

けっこうキツイっちゃキツイんやけど、かといってまだ自分の人生っていう物語を、壮大な超大作から改編する気にもなられへんっていう。まぁ結局ないものねだりなんよな。今生きてる社会において、壮大な夢と一般って割と遠くにあって、一般から離れて孤独に壮大な夢を追いかけるか、身の丈にあった絵に描いたような普通の幸せを享受するか。多くのケースはふたつにひとつなんよな。

まぁでもこれは確信してるんやけど、日本人が全員俺ならほんまに世の中は回らん。みんな税金払ってくれてありがとう。俺も払えるように頑張ります。

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