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エッセイ:スカートの魔法

教師の出勤時の服装と言えばスーツである。普段はオフィスカジュアルの時もある。

しかし、小学校の教師というのは体育もやるし、子どもたちと遊ぶし、動き回る。なのでジャージで過ごすことが多い。

おしゃれな同僚はオフィスカジュアルでもセンスのいい着こなしをしているのだが、ファッションセンスに自信のない私はいつも黒いパンツスーツ、またはジャージという無難な格好をしていた。

学級担任の時なんかはほぼ毎日ジャージで過ごしていた。そのため、子ども達もジャージ姿の私=いつもの先生の姿だと思っていた。

そんな私も年に何回かスカートをはくことがある。それは終業式などで校歌のピアノ伴奏をする時である。
幼少期からピアノのレッスンの時はワンピースやスカートできちんとした服装をすると教えられて育ってきたので、さすがに舞台でピアノを弾く時はスカートだよなぁ…と思い、毎回クローゼットの奥からスカートを取り出す。

とはいえ、ごく普通の黒いスカートにジャケットという格好である。大人からすれば地味な格好であるが、それでも子ども達には新鮮に見えるらしい。

スカートをはいた日には朝からおしゃれに敏感な女子達が「先生、今日スカートはいてる!!」とさっそく気がつく。
そして口々に「かわいい。」と言ってくれる。スカート以外は化粧も髪型も何も変わっていないのに。

男子ですら「先生、なんか今日違うね。」なんて言ってくる。
私が「どう?かわいい?」と聞くと、恥ずかしそうに「うん、かわいい。」なんて言ってくれる。
まぁちょっと言わせているのもあるけど。

今はコロナの影響でなかなか全校児童が集まって校歌を歌うこともなくなってしまっているので、ピアノ伴奏もすることがなく、寂しい。

年に数回、スカートをはくと魔法がかかったようにかわいいと言われるので、ちょっと気分よくいられるのである。

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窓際ピアニストなお@起業女子
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