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エッセイ:引率の苦労

教師になると必ず経験する仕事のひとつに「引率」がある。

遠足や社会科見学などの1日だけの場合や林間学校や修学旅行などの宿泊をするものまで、毎年何らかの引率をしてきた。

教師を経験したことのない友達からは「仕事で旅行できるなんていいね~。」なんて言われる。

でも、旅費も払うし(あとで戻ってくるが)宿泊の場合は寝られないし(子ども達の様子が心配だからほとんど寝ない)と、子ども達にとって楽しみなイベントも教師にとっては結構大変なのである。

大変ではあるが、それでも今まで博物館や水族館、美術館やお菓子工場などの見学をしたり、伝統工芸の体験をしたりロープウェイや遊覧船に乗ったりと、教師をやっていなかったら行くことのない場所で貴重な経験をすることができるので、やはり意味のあることなのだろう。

その中でも特に印象に残っているのは、日光への修学旅行だ。当時は教師1年目で担任で学級担任は持っていなっかったが、初めての引率に緊張していた。

無事に日光に着いた。がしかし、アクシデント発生!!

途中のパーキングエリアで荷物を忘れた子どもがいたという。子ども達はリュックなのでしょっていて忘れることはないのだが、バス酔いで汚れて着替えをしたため、バスに積んでいたボストンバッグを出した。そしてそのまま忘れてパーキングエリアに置いてきてしまったとのこと…そんなことってある?!と思ったがバス酔いで体調が悪かったのだろう、仕方がない。


急遽誰が取りに行くかということで会議が行われ、引率教員の中で担任を持っておらず、手が空いている教員、ということで私が取りに行くことになった。

1人タクシーに乗り、栃木から群馬へ向かう。先ほど越えたばかりの県境を戻る。無事に忘れたボストンバッグを受け取り、再びタクシーで日光へ。

その時間は1時間半ほどだっただろうか。知らない土地で一人でこんな長い時間タクシーに乗ったこともなく、またメーターはどんどん上がっていき料金は大丈夫だろうかと心配になり、時間がすごく長く感じた。

結局タクシー代は校長先生のポケットマネーで支払われた。

そんなこともあったのだが、無事に初引率の修学旅行を終えることができた。東照宮や華厳の滝など日光の名所を見学したが、私にとってはそれよりもタクシーで荷物を取りに行ったことが思い出に残った。

それ以来たくさんの引率に行ったが、いくら準備を万全にしていてもハプニングはつきものだった。そのたびに他の先生方と協力しながら臨機応変の対応をして、子ども達の学びの多いものにしていこうと努力した。

今でも修学旅行旅行シーズンになると思い出す。

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窓際ピアニストなお@起業女子
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