エッセイ:Y先生のこと
これは私が正規の教員を辞め、非常勤講師になってからの話である。
Y先生は非常勤講師の指導者として週に1回教育委員会から学校に指導に来ていた。
Y先生は国語が専門で校長も経験した先生だ。
管理職を経験した先生というのは、上から目線で威圧的という人が多いイメージなのだが、Y先生はそんなことはなく、穏やかで物腰やわらかな先生だった。
Y先生は今までの教員人生でこんなにほめられたことはない、というぐらい私のことをほめてくれた。
黒板の字がきれい、声が聞き取りやすい、子ども達をよく見ている…そのひとつひとつが正規の教員を心身ともにボロボロになって辞めたばかりの私にとってとても嬉しかった。
私は初任者研修を特別支援学校で受けたので、小学校の教科指導にずっと自信がなかった。
そんな私にY先生は教科指導についても丁寧に教えてくださった。
当時私は算数専科の非常勤講師であったので、算数についてはかなり詳しく教えていただいた。
指導の悩みや愚痴までも…Y先生には何でも話していた。
Y先生はいつも学級通信のようなお便りを用意していた。
毎回そこには指導のちょっとしたコツや学校での日常の気づきなどが書かれていていた。そのお便りは今でも大切に持っている。
もっと早く、できれば正規の教員の時にY先生と出会いたかったなぁと思った。
Y先生に出会えたことで私は教師としての自信を取り戻し、非常勤講師として約3年間同じ小学校で働くこととなった。そしてその間ずっとY先生は指導者としてあたたかく見守ってくださったのである。
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