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子連れdeオリエンテーリング 5歳フィンランド編

  こちらはオリエンテーリング Advent Calendar 2024(裏版)12日目の記事です。
オリエンテーリング Advent Calendar 2024 - Adventar

 こんにちは。ES関東C所属の渡辺円香です。自己紹介や諸々などは過去記事をご参照くださると幸いです。
子連れdeオリエンテーリング 0~2歳編|madod

  この記事から3年がたち、息子は保育園年長となり2025年4月からは小学生です。過去記事ではドタバタ交代出走劇で盛り上がりましたが、もうそれもほぼ必要としなくなりました。・・成長早い。それで今夏は未就学時代の思い出作りとしてKと私と息子3人でフィンランド南西部のトゥルク地方へオリエンテーリングをしに行ってきました。

  Kと私は世界マスターズ選手権 (WMOC 2024 in Turku)の45歳以上クラスへ出場し、淡々粛々とトゥルクの街スプリントや深い森を堪能しました。(大人の記事は2行で終わり)
 今回は息子と共に出場した、併設のFin5大会のRRクラスについて紹介したいと思います。どのようなクラスかというと、スタートからゴールまで、いわゆるストリーマーテープが目印となってついており、それを辿っていくと各コントロールに到着するようになっています。そのため地図が読めない人でも迷うことなく全力で完走することが可能です。以前から一部の欧州でのキッズ向けOと噂に聞いていたのと、2019年に行ったラトビアで実際にストリーマーテープ辿ってオリエンしている親子を見て、いつかやってみたいと興味を持ったのがきっかけです。
 私のオリエン有史30年の中で知る限り、国内でこの形式(私は勝手に「ストリーマーO」と呼んでいます)が提供されのはおそらく2022年の伊豆大島大会のキッズコース(https://mulka2.com/lapcenter/lapcombat2/result-list.jsp?event=7350&file=1&class=12)のみでしょうか。私は運営者で、あの砂漠の樹海の中にスズランテープをかなりしっかり設置したつもりでした。しかしベテランの大きなお友達が途中でテープを見失ったり、設置した私までも子の伴走中にあれ?テープどこ??となる修羅なコースとなりました。それ故ストリーマーOの開催は難しいものだと思い知らしめられました。

 Fin5 RRクラスでは男女別に8歳,9歳,10歳クラスと伴走者可のオープンクラス(全て同コース)があり、今回は全RRクラスで85人程度が参加してました。小学4年生までの子が85人!今の日本では考えられない人数ですね。8,9歳はストリーマークラスのみ、10歳からは通常のポイントOクラスもあります。
 Fin5でのルールは以下の通りです。
1)テープは辿っても辿らなくてもどちらでも良い。
2)パンチしなかったり、順番間違えても失格にはならず、10分タイムが加算され順位がつく。(子どもにとってはすごく良いアイディア)
1)について、テープを辿ると目的地へ行けるのに、どちらでも良いとは?と謎でした。では実際どうであったのか、レポートしていきます。

Day 1 
 初日はトゥルク市内のスタジアム周辺でのスプリントです。それではストリーマーO初見の地図です!

グレーのベタはフィンランド特有の露岩(アボガリオ)

 オレンジのラインは息子のルートではなく、このライン通りにストリーマーテープが置いてあります。置いてある?・・そうです。日本のそれとは全く異なり、地面に延々延々と這わせてありました!

こんな感じ。6-7のエリア

 うん、これなら見失わないよね。また、オレンジラインはベストルートではありません。あえて寄り道しています。道だけではなく、不整地、斜面などさまざまな環境を体験できるのです。コース距離が「1.9km / 1.3km」となっているのは、前者はオレンジラインの総距離という意味なのでした。うん、2kmも延々とテープ設置したってことね。
 そして息子は周りのお兄ちゃん、お姉ちゃんがビューンとスタートしていくのを見て、最初の100mこそ勢いよく走っていましたが、道端の赤い実に目が留まった途端、実採集に没頭。飽きて進むも次に健康器具的遊具が目に留まり、10分遊ぶ。横を軽快に走るニキを見てまた走り出す。が、今度は青い実を見つけ、また採集開始・・。と、いろいろあって何とかゴールした後の一言、「順位何番だった?」、「(えっ、噓でしょ?あんだけ寄り道して順位気にしてたん?)えーっと、、ビリだよ。ダントツで。」

Day 2
 翌日はトゥルク大学と周辺の街スプリントです。

ゴール(会場)はトゥルク大聖堂。街のランドマークをオリエンティア6000人が占拠

 息子はまさかの割と順位を気にしていることがわかったので、今日は寄り道しないで走ってみようと促しました。途中歩くこともありましたが、まぁまぁ集中してゴール。結果、ビリは回避したものの、ブービーでした(笑)。

石畳を走ります

 スプリント両日とも9、10歳の速い男の子は8分台、女の子は9分台で走っていました。・・とても速いです。

Day 3
 3日目からはいよいよフォレストです。しかしながらこの日はロング兼とても暑い日で、Kはスタート時間が遅く、私はハンガーノックでレース後へもへも、息子はアイスを食べたがっている、スタートまで遠い等でお休みしました。
 期間中、会場でアイスをいくつ食べただろうか・・。1つ750円(高)。10個以上は購入したはず・・。アイス屋さん、大繁盛(祝)。

Day 4
 この日は大人はミドルで割とスッキリ終わり、スタートも近かった(重要)ので意気揚々と参加です。

左が3日目、右が4日目。会場同じのエリア違い。オレンジラインは森をくねくね。

 3日目は道辿りが全く無く、足場もよくないエリアだったので、辿るのも難しそうですが、速い子は17-20分で走ってます。参加した4日目は比較的道が多かったですが、ひとたび森へ入るとモフモフの苔やたわわに実るブルーベリー(おいしい!)、見たことのない真っ白な大きいキノコ、何らかの虫等など興味深いものがたくさんあり、息子はもちろん、私も気になって歩を緩めます。オリエンしているとスルーしてしまうキラキラの生物たちが愛おしくなり、走らずにゆっくりやることにしました。(速い子は10分程度で完走。ホント速い。)

足場の悪いオープンエリアも何のその
辿っていくとこのようにコントロールが出てきます。自然を活用したパンチ台。
森の中でもテープがあれば安心。。
ゴールレーンでは応援されたいとのこと

Day  5
 最終日は、雨が降ったり止んだりでスタートまで遠く、息子もやらないとノリ気ではなかったので心残りはあるも出走せず。地図も回収できなかった・・。しかし帰る間際に突然「オリエンテーリングやりたかったぁ~」と。「(えっ、噓でしょ?)・・もうスタート閉鎖になっちゃったよ。今度からちょとでもやりたいなら早目にやるって言ってね。(っちっ、めんどくせーな)」

まとめ
 今回はコンディション悪く結局3レースのみの体験でしたが、もっと森のストリーマーOができれば良かったです。以下は少しの経験から感じたことです。

 地図読みがままならない幼少期(実際に息子は地図を持たずにやってます・・)、でも止まらないで走るオリエンテーリングができる=オリエンテーリングは走るスポーツであると早くから認識する。競技としてのオリエンテーリングは、体力(走力)が基幹・土台であり、そこへ地図読み・ルート選択などの技術を纏っていくイメージです。読図レベルの成長に応じて、ストリーマーの使い分けもできるでしょう。ストリーマーは、カラオケにおけるガイドボーカル的存在に近いと思います。

 初心者・幼児でも道辿りオリエンだけではなく、不整地オリエンを体験できる=不整地特有の走り方やバランス力を早くから養ったり、森の中の様子やコースを頭に浸み込ませる(慣れる)ことができます。心身柔軟な幼少期から森に慣れ親しんでおくことは優位になるでしょう。加えてこの時期にはたくさんの成功体験を得て、楽しい、気分良いと感じることが、末長く継続する上で重要かと思います。

 不透明の白テープは自然に溶け込みつつも意外にとても目立ち、辿りやすかったです。蛍光色のテープも目立つとは思いますが、フィンランドには無いのか、別の理由があるのかはわかりません。スズランテープのような半透明のテープは容易に見失います。あと地面に這わせることで、視線があちこちに行かず安定します。テープ自体を探すという無駄が無くなります。

 設置・撤収が鬼。参加者が100人近くいれば需要高とみてやりがいがありますが、日本だと参加者は居ても数人レベルであり、テープ設置の労力に見合わないですよね。そもそもどうやって設置しているのか?テープはペラペラしたりせず、固定に近い感じでした。設置風景も是非見てみたいです。。

 クラス分けや周りの子どもたちの様子を見る限り、また認知能力の成長段階から、ひとりで地図を見て現地の対応ができるようになるのは平均して小学2年生以降のように思います。その前後の年齢に対して、または大人の走る系の初心者にとっても、ストリーマーOは非常に良い入門となるのではないでしょうか。実際、たくさんの名選手を排出している国のカルチャー、メソッドなので、間違いはないはずです。

 今では各大会において子守スタート時間調整は市民権を得、広く普及されたように思います。私の過去記事が一助となったのなら嬉しく思います。後進のためにも、今後も融通をきかせていただければありがたいです。
 そこで次はストリーマーOの機会捻出です。もちろん2kmテープを絶え間なく這わせろ、とは言えません。数百mで十分です。大事なのは、公園でも森でも会場の学校などの施設でも、見失わない視認性、道にとらわれず不整地などにくねくね這わす、辿ったらコントロールがある、以上です。
 大人も気軽にタイムアタックで走力を比較したり、コントロール周りの入りや脱出の動きの確認、止まらないオリエンを体感したりを繰り返し練習できる良い機会になるはずで、それなりの需要は見込めるでしょう。

子連れ目線でのフィンランドあれこれ
 キッズに優しいフィンランドでした。

電車のキッズ車両。席の目の前に遊べる場所があり、どなたも無料で利用可能。息子は持参のぬいぐるみ(どなべ一味)で武装し、異国の子どもたちと交流できました。
某ワールドで客と談笑するM氏とS氏を傍観する
ヘルシンキの遊園地。入園無料。さらに子ども向けの乗り物約10種はなんと無料。息子はこのカルーセルにドはまりし、15回はリビート。
ヘルシンキのデパートのキッズスペース。こちらも無料。息子の遊んでる(これはサッカーのPK) iWallとはフィンランド製のデジタルアトラクションだそうな。
フィンランドといえばこのKarhuカルフ(くまさん)ビール。一杯1300円(高!)。

  今回はヘルシンキまで往復直行便を利用しました。社会情勢的に行きはアラスカから北極上空、帰りは中東らへんを通り、直行便なのに時間はとてつもなくかかりましたが、いつもと違うルートにワクワクしました。
 所要13時間くらいかかり、寝てはいたけどだいぶ長かった帰路、やっとの着陸後、「もっと乗ってたかった~。」と息子。「(えっ、嘘でしょ?半日以上乗ってますけど?)そ、そうなの?かぁちゃんはもう十分よ。」、「また行きたい~。」、「(えっ、・・本当だね!)そうだねー、また、行こうね!」

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