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【エビスト】エビスト初心者ユーザー、無謀にもエビストweb オンリーを語る

アプリゲーム「8 beat Story ♪」に関する記事です。
エビストの概要については以前取り上げておりますので、そちらを参照いただければ幸いです。


0. はじめに


この記事は、2020年8月23日よりweb上にて開催された、8beatStory♪ のwebオンリーイベント「先生!webオンリーはじまっちゃうよ!」についての一般参加者の視点からの記事になります。この記憶をどこかに留めておこうという個人的な備忘録の意味合いも強いものです。

記事中ではサークル参加の方々の作品などについての言及もありますが、万が一不適切または不快に思われる表現などございましたら、Twitter アカウント (@Madbassa )などにご連絡いただければ該当箇所または当記事の削除にて対応させていただきます。


1. エビストweb オンリーに至るまで

昨今の世界的な感染症の拡大の影響は、エビストのみならず様々な作品のイベントやライブの中止や形態の変更といった形で影を落としていますが、それは公式の展開のみならず同人界隈でも同じ。一次創作二次創作問わず、同人イベントの総本山とも言えるコミックマーケットが2020年ゴールデンウィークに開催予定だったC98は中止、同年冬に開催予定だったC99については延期といった措置を取り、合わせて「エアコミケ」などの動きを準備会・運営会が推奨していたことなどが記憶に新しいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。


ところでエビスト公式としてのコミケ出展が2017年のC92で一回行われていたようなんですよね。

当時の告知を見る限り限定グッズの販売や、キャストによるイラストうちわのお渡し会などが催されていたみたいです。

この頃の私はエビストを知らなかったばかりかコミケを始めとした即売会イベントに足を運ぶことを思いつきもしなかった者だったので完全に縁がなかったとはいえ、行かなかったことが悔やまれますね。

翌年2018年にはミニアルバムのリリイベの一環として一部キャストによるトークショーとお渡し会が夏にかけて実施されていますが、その日程の一つとしてタワレコ新宿店にて夏コミ開催日程の真っ最中に行われていたりするので運営としても先述のC92から後はコミケにあまりこだわらない姿勢をとっているようです。


閑話休題。

浅学なためその作品の全数を把握できてはいないのですが、コミケでエビストを題材として作品を頒布していらっしゃるサークルも(数そのものは決して多いとはいえないながらも)複数存在を確認できます。私は2019年を中心に時には自分でビッグサイトに足を運び、時には同日に行く友人にお使い(いわゆるファンネル)を頼んだりしながらそういった作品を享受させていただくだけで満足しておりました。

しかしコミケ当日の現場や、Twitter でも「もっとエビストの創作界隈が盛り上がって、エビストでオンリーが開けるくらいになるといいね」「サークルリストの上から下まで全部エビストだったら幸せだと思わない?」などと願望や意気込みが飛び交いその側面での熱気も渦を巻いていることは感知していたのもまた事実。その時の私はそういう光景も見てみたいなあ、とただ頷くだけでしたが……


準備会よりコミックマーケット98(C98)の中止が3/27に告知されて程なく、エビストweb オンリーが開催されるという告知がなされたのです。加えて、合同誌のメンバー募集のお知らせも。そこにあった熱は、ついに風を生み出しました。


考えてみるとweb オンリーという開催形態は、

・参加するサークル数の多寡に関わらず全サークルによる開催が決行できる
・通信販売による実物の頒布はもちろん、印刷など物理的な媒体に頼らない作品の公開ができる
・サークル参加者と一般参加者の双方が居住地を問わず参加できる

というメリットを内包しており先述の願望が比較的満たしやすいとも言えます(もちろん実会場でのイベント開催と比較してのデメリットだっていくつもあることは承知していますが)。

C98という機会の喪失を、web 上でのオンリーイベントの開催と形を替えつつその形態の強みを活かそうとする姿勢。エビスト公式がイベントの開催中止や形態の変更の都度にこれまで発揮して、ユーザーを楽しませてくれるように取り組んできた姿勢がそこには重なって見えたのです。公式の熱意がユーザーに伝播したのか、はたまた似たような気質を持つ方々が支えてきたコンテンツだということの発露だったのか……その答えについて掘り下げることはここではいたしません。

ともかく、この動きはそのはじまりから、私の目には大変魅力的に映ったものだったのです。


2. 告知後から開催まで

web オンリー開催の告知が行われた4月上旬から実際に開催された8月下旬までには、エビスト公式からも形態を試行錯誤しながらの配信イベントが実施が行われていました。

4月初週にはライブ衣装展示に合わせてのトークショーが情勢の変化を鑑みて開催直前に映像配信へと切り替えられ(これは映像配信にしたことによって結果的に良かった点も見られた有意義なイベントでした)、6月には4周年記念イベントの開催ができなかったのを補う形でweb サイン会が実施されています。

更には7月を中心に実施された、怒涛の4周年記念リレー放送全15回

特にリレー放送が作品やキャラクターの設定などにも踏み込んだ放送内容であったことから、web オンリーでの作品発表を考えていた方々からは様々な歓声や悲鳴がTL上で観測できる事態と相成りました。


リレー放送に質問を送るユーザーの存在も考慮してか、放送前後にサークル登録募集の告知やリツイートが行われる光景も度々見られました。

それにしても「エビストに関して論文を書きたい!」人も対象にしてるって凄まじい。論文て!


そして迎えた8/23。web 上での開催だから取りやすい形態ですが、日付変更と同時に開催が宣言され、通販ページの受付開始、web 公開作品へのリンクページの公開などが行われました。
前日の23時頃からTwitter のTL上で開催を固唾を飲んで見守る先生がいる様子などは実会場での開催と変わらぬイベント開催直前の臨場感を醸し出していましたし、一方でもしこれが実会場での開催であったならば加われない方もいただろうなという差異も感じさせる独特の空気。そこには確かに、オンライン開催ならではの感触もあったのです。

web 上での公開作品は公開開始と同時に早速告知や感想のやり取りや反応がTwitter 上でも見受けられましたし、通販による頒布作品は主催の方が一体どれだけ尽力されたのか日曜未明に注文したものが火曜日には手元に届くという恐ろしいほどのスピード感でオンリーイベントとしての緊密さを提供することに成功していたと思います。

通販での頒布作品には袋の上からオンリーイベントでの頒布であることを示すステッカーが貼付されたり、そのステッカー始めロゴやweb ページのデザインもすっきり見やすかったりと、とにかく主催の方の熱意が細部に行き届いていることを感じ、またその骨格を各サークル参加の方々の作品が肉付けしていく……そんな光景が組み上げられたイベントです。


3. 戦利品(?)レビュー

さて、そんなエビストweb オンリーを彩っている作品群について、触れることのできた範囲で簡単にですがレビューしていきたいと思います。順番やサークル名表記等はイベントwebサイトのサークルリストの記載を参考といたしました。


[エ - 1]届け!この想い! 様
webオンリー開催記念 8beatStory♪合同誌「届け!この想い!」

漫画、イラスト、小説に考察と内容盛りだくさんの合同誌!こういう「僕の/私の 8 beat Story ♪」がふんだんに載せられたものを楽しみたいという欲求は普段口にすることはなくとも心が求めていたのか、ページをめくり眺めるだけで幸せな気分になってきます。

特に誌内企画の「あの曲のジャケットを別のキャラで描いてみた」という趣旨の企画ついては、元々公式のジャケットイラストからして曲のテイストに合わせて雰囲気がそれぞれ異なっているという性質もありキャラの入れ替えによって「楽曲のジャケットイラスト」「キャラクターのデザイン」の双方の魅力を再発見し、さらに描かれる方々独自の魅力が加えられることとなって大拍手の内容でした。

寄稿された皆様、誌内企画と合同誌を取り纏めてくださった方々に感謝を捧げます。


[エ - 2]3Dコスモうどん 様
「OTONOMORI School Life」

漫画。サイドストーリー第4章を経た2_wEi の2人が音の杜学園に体験入学したら…?という内容。

学園生活をそれぞれのやり方で楽しむ2_wEi の2人やそれを支えるハニプラメンバーの様子など、細かくニヤニヤできる楽しいシチュエーションが満載。それでいてストーリー内での展開やワードを踏まえた2人であることをしっかり意識させてくれる充実の一冊です。


[エ - 3]3Dコスモドリア 様
「絶望の歌を聴いて育った牛の肉はうまい」

漫画。2_wEi の2人が焼肉を食う。だがそれだけでは終わらない勢いの凄まじさ。

読み進めると本編のパロディとしてキャラクターの発言の随所にストーリーでのシリアス目のトーンでの脳内再生を要求される箇所があり、それがバッチリハマって(ギャップに)大笑いできる作品。2人が楽しそうで何よりです。

頒布分に同梱されている理事長のイラストカードも、運動!夏!汗!といった感じで共に浴びる陽射しをありありと想像させてくれる豊かな一枚となっています、


[エ - 4]複素数平面 様
「白と紫のハーモニー Ⅲ」

小説。既刊のPart Ⅰ およびPart Ⅱ も同時に購入させていただきました。それぞれC94(2018年夏コミ)、C95(2018年冬コミ)にて頒布されていたようです。

タイトルからメイちゃんとほたるちゃんメインで進む物語だとは見当はつくのですが、実際に読み進めるとそのジャンルは……

これには思わず目を見開いて食い入るように読み切ってしまいました。しかも「エビストだと作中の設定からしてそういう方向に転んでも違和感はなかったんだよなぁ」と少し納得してしまう面もあり、突拍子もないというわけでもないバランスが実にニクい。エビストの二次創作ってこういう方向も映えるんだという、自分も心のどこかでは気づいていたであろう需要が顕在化して撃ち抜かれた形です。大好きだ!

メインに据えるのがその2人だからこそ機械類の描写が細かくても違和感がないというあたりも配置の妙。次巻にて完結予定とのことで実に楽しみです。


[エ - 5]雨上がりレコーズ 様
「ミルクティーには蜂蜜を。」

音楽CD。C92(2017年夏コミ)で頒布されていた作品のようです。

ハニプラ楽曲8曲のアレンジCDとなっています。木漏れ日を浴びながらティータイムを楽しんでいるかのような優しい気持ちになれるアレンジや、シャープさや疾走感が前面に押し出され原曲とはまた違った魅力の加わったピアノアレンジなど、曲ごとに映えるアレンジを施されこれまで好きだった楽曲の鑑賞にさらに奥行きを持たせてくれる一枚。

今までピアノアレンジのCDにあまり触れたことがなかったのですが、この作品を通じてピアノの音色が引き出せる色や表情の幅の広さをあらためて認識させられることとなりました。


[エ - 6]ソイ! 様
「社会科の授業は…」

データおよび考察本。4周年リレー放送にて「第1部」と公式より明言されたメインストーリー第12章までおよび2_wEi サイドストーリー第4章までを中心に、実際のカレンダーに当てはめながら時系列を推定する前半、そして同じく4周年リレー放送にて小出しに明らかにされた地理情報を踏まえたエビストの舞台の絞り込みを行う後半および各種データにより構成されています。

考察内容も併せて大変な量の文章でありながら、挿入される図表も手伝って実に読み進めやすい内容になっています。特に前半については朗読劇などで言及されたエピソードなども(後追いで参照する際の困難さへの言及もありつつ)対象に含まれており、自分で別途考察を行うにあたっての手引きとしても有用な一冊です。

後半は地図の分かりやすさもさることながら、舞台候補の土地に対するイメージが端的でわかりやすく述べられており、聖地巡礼のみならず該当する地域に対するイメージを養うにも役に立ちそうな記述となっている充実した内容。とにかく密度が凄まじい。


[エ - 7]かきはらさん 様
「8 beat Story♪にちょっとだけ詳しくなれる本」

データ本。「8 beat Story ♪ について知りたくなったときにいつでも開ける本」というコンセプトがしっかりと定められており、それに則り誌面が工夫されたデータ集となっています。プロフィールやキャラ間での呼び方表、エピソード各章各話への各キャラの登場状況などなど、「あの章のどこにこのキャラ出てたっけ?」「この2人はなんて呼び合ってるんだっけ?あと身長差がどれくらいあるんだったかな?」といった疑問解消の手助けになりうる冊子です。上述の「社会科の授業は…」が歴史記述の詰まった教科書とするならば、こちらは資料集副読本といった趣でしょうか。

また特筆すべき特徴として、有料放送であった4周年リレー放送にて開示された情報を中心に「冊子内の該当する情報を下線の引かれたブランクとして書き込みを可能にする」「その情報が開示されているリレー放送がどの回であったかを記載する」という一種のワークブックとしての構成も挙げられます。こちらも、余白が多く書き込みのしやすい誌面と合わせて自分の必要な情報を書き込むための配慮となっています。

合間に挟まれるコラムや、各章扉に用いられているイラストもアクセントとなっていて全体として魅力的な一冊です。


[エ - 8]Mの世界 様
「Lilly pLanet」

漫画。C96(2019年夏コミ)で頒布されていた作品です。

当時買い求めていたのですが、ハニプラ内の各学年の空気を描き分けて一冊の中に詰め込んでいる欲張りセットみたいな構成と、セリフに持たせる重みのバリエーションにノックアウトされた記憶が強かった一冊。

今一度取り出して読んでみたのですが、やっぱり刺さってくる箇所が多くて好きです。



ここからはweb 上での公開作品について。

[ビ - 2]氷のひとしずく 様
「Again」

漫画。メイちゃんと、ひなたちゃん始め他のハニプラメンバーとの関わりを描くお話。

キーとなるアイテムの選定とストーリーへの組み込み方、各キャラクターの表情やセリフの描写が丁寧で、寮内で起こった一エピソードとしてしっくりきます。それでいてアプリ本編でのメイちゃんの立ち位置にもしっかり立ち戻る構成に、ひたすら唸らされる一本でした。


[ビ - 3]健康協奏曲 様
「そらまめカレンダー」

イラスト。ゆきなちゃん絡みで作中でも、そしてエビニューやイベントなどで野村麻衣子さんが描きまくることでも登場頻度の高い(?)マスコットキャラクター、そらまめくんが季節ごとの行事をコスプレしたり仲間やなるくんと一緒になって楽しむ様子が描かれる連作。

ポップな色使いとバラエティ豊かな構図が見る者を飽きさせません。5月の行事を堪能するそらまめくん達の様子を描いたイラストが個人的にはツボです。狭いところに入りたがるねえ。

余談ですが、pixiv アカウントへのログインなしにこの作品を見ようとすると「センシティブな内容が含まれる可能性があるため表示できません」と警告されてしまい、作者のゆゆ氏も含め「センシティブとは何か」について首を傾げる一幕もありました。


[ビ - 4]ぐちり屋。 様
「Sunny Colors」

イラスト。ひなたちゃんと鈴音ちゃんのデュエット曲「Sunny Color」の導入部分からのイメージを描かれたとのコメントでしたが、ぴったりの青空の明るさと、2人が背中合わせながらもお互いを想いあって気にかけ合っている様子が目線でしっかり伝わってきます。2枚のイラストから関係性が強く立ち表れてくる様子がたまりません。


[エ - 2]3Dコスモうどん 様
「ALONE ALONE」

漫画。C95(2018年冬コミ)にて頒布された作品のweb 再録です。
2_wEi の2人のすれ違いを描くお話。発表当時まだ2_wEi は始動から一年未満、1st ライブが進行中という状況でした。

描かれる2人の仄暗さの性質の違いや、見つめる先の変化による瞳の描き分けなどに惹き込まれる作品になっています。


[エ - 7]かきはらさん 様
「8 beat Story♪にちょっとだけ詳しくなれる本」

データ本。先述の冊子のシェイプアップ版といった趣ですが、冊子版からストーリーと作中年表についての30ページがほぼ抜き出される形となっておりこの部分だけでも資料として充実の内容です。

こちらのweb 公開版はPDF形式のファイルなので、外出先などでふとエビストについて気になった時に参照できるのもありがたいですね。


[エ - 8]Mの世界 様
「エービスートー」

漫画。C90(2016年冬コミ)にて頒布された作品に描き下ろしページを加えたweb 公開版とのこと。
まず初出の時期からして最初期のエビスト同人誌についての雰囲気を知る貴重な歴史資料といった趣があるというのは書き下ろしの後書きにてご本人が述べられているとおり。

内容そのものもハニプラメンバーが日常で織りなすであろう、ゆるぅい雰囲気を濃く堪能できる一冊として実に楽しめます。是非ハニプラの曲の中でもアップテンポで元気なものをセレクトして流しつつ味わいたいですね。


4. おわりに

好きな作品の二次創作に触れることができるのは幸せなことです。その理由は人によって様々だと思うのですが、自分の場合はその人の作品を通して自分にはない視点や切り口の存在を認識して、狭かった視野がこじ開けられ押し拡げられる感覚が、実に他に得難い快感だからです。

それが作品やストーリーにどれだけ整合しているかとか正しさとかは関係なく、「あの作品に触れることによって、こんなことを考える人がいた」「こう表現する人がいた」という事実に接することそのものが強烈な刺激となっています。

自分が今おそらく最ものめり込んでいる作品である8 beat Story ♪ …エビストについて、これだけ多くの方が熱意を投じて楽しんで時を過ごしているという証である作品群と、それらが織り成したエビストweb オンリーというイベント。自分はこれらについてただの一般参加者ですが開催前から大きな期待と高揚感を持ち、そして実際に触れて大いに驚かされ楽しませていただいているということがなによりも嬉しくてたまらないのです。

なお、エビストweb オンリーは9/30(水) までイベントとしての通販ページ及び作品ページへのリンクを公開している予定です。本記事で紹介した有償頒布作品の中には現段階で品切れとなっているものもありますが、期間内にまた在庫が復活するなどの可能性があるかもしれません(これもweb 開催ならではの特徴ですね)。気になる方は、定期的に通販ページや参加サークル様のSNSをチェックしてみてはいかがでしょうか。


このような素晴らしい機会をくださった主催のフサ江様、またサークル参加の方々への感謝をあらためて捧げつつ、筆を置きたいと思います。

それでは今回はこの辺で。Ate logo!

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