ムビナナ、伝説の軌跡と個人的な感傷
2023年5月20日・21日の公開以降、観客動員に衰えを見せずロングラン上映を続け、興行収入は28.9億円(12/31付・文化通信社発表・シネマトゥデイ参照)を突破し、日本のアニメ映画の興行収入ランキング100位以内へと到達した劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD<DAY 1>・<DAY 2>。
昨今の日本映画は入場者プレゼント戦法に頼りすぎている、という苦言を呈されることもありますが、ムビナナの大ヒットは決して販促頼りではありませんでした。
作品そのものの出来の良さももちろんですし、制作側がとことん楽しませようとあらゆる手を尽くしてくれたことを簡単にでも書き残しておきたいと思い、ただ観たいだけでめちゃくちゃ映画館に通ったマネージャーの視点で綴ってみたいと思います。
劇場版の発表から千秋楽ウィークまでの間、ずっとムビナナを追いかけていた気がします。それもただ同じものを周回してるだけというわけでもなく、常に何かしらの新しい展開があって、ずっと新鮮な気持ちで。映画館通いで忙しくて消化しきれないよ~!と思うこともままあり、実は買ったもののまだ読めてない雑誌も詰んであるくらいです。アイドリッシュセブンはいつも通りにファンのことを楽しませようとしてくれたり、劇場版というとっておきの機会に向けてこれまでにないほどたくさん宣伝を打ってくれたりしていて、あまりにもコンテンツ量が多かったので、可視化してみたくなりました。
で、本当は年表みたいに図に起こしてここに貼りたかったんですが、エクセルベタ打ち状態の表をちょっと見てみてくださいよ。
諦めました。
せっかく表を作ってみたのでスプレッドシートにして公開してみようと思います。ご興味ある方はご覧ください。
なお、カテゴリ分けはものすごく自分ルールでやっているのと、特に企業案件あたりの日程を省略したりはしておりますので、そのあたりはご了承ください。
(気にかかる方はコピーなりしてご自分で編集なさってください。責任は負いかねますので再公開・再配布は禁止します)
(白井さん・小野さんあたりがラジオにコメント出演したのもムビナナ関連だった気がするのですが、情報ソースを見つけられておらず、ご存じの方いらっしゃれば教えていただけますと幸いです……!)
年表が役に立たなくなったので、ムビナナのここがすごかったなあ!というところをかいつまんで振り返りたいと思います。
なお、劇場ライブそのものについての話になると感情が重たくなりすぎるので、後回しにします。怖い人の感傷の話は別にいいや!という方は前半の施策の話までで逃げてください。
多岐に渡りすぎる上映形式
まず初めての劇場版なのにライブなら2DAYSやるよね~と当然のように2パターン持ってきた時点で正気か?と思いましたが、アイドリッシュセブンの正気じゃ無さ、侮ってたな。いや誰もここまでしてくれるなんて予想できないよ……
舞台挨拶等のイベントものを除いて、上映形式の違いだけ並べてみてもこれだけあります。
誰がここまでやれって言った!?マネージャーたち、劇場版やるってだけでもかなり幸せになれるよ!なのにいろいろやってくれてありがとうアイドリッシュセブン!
映画でできるエンタメはとことんやり尽くそうという気概を感じます。すごい。
ていうかこれ全部監修してるでしょうし、仕事量やばくない……!? これを実現するのにどれだけの手間と時間と予算が必要なんだろうって考えると……くらくらしちゃう……。
記録というよりは思い出話になりますが、ここがよかったなー!というのをいくつか書き残してみようと思います。
4DX・MX4D
ライブ映画で4Dやるってどういうこと?
初報が出たとき心の底から「なんで?」って思ったんですけど、こういうよく分かんない発想も持ってるところがアイドリッシュセブンなんだよな。めちゃくちゃ楽しませてもらいました。
どういうやつだったの?というのを知るには白井さん・阿部さんご出演の宣伝PVが手っ取り早いと思いますのでそちらをどうぞ。
お二人とも楽しそうだな~!
個人的な体感としては、MX4Dの方が揺れが大人しめかなと思いました。あとTRIGGERのときになんかエロい香りがした。誘惑系の香水って感じじゃなくて、なんかこう、エロい人の普段使いの香りって感じの……(※個人の感想です)
私はどちらかというと4DXの方がリズム感が合うなと思いました! あとIncomplete Rulerの雪、TOMORROW EViDENCEのシャボン玉がよかったなあ。あとササゲロでぐわんぐわん揺さぶられた。ぶっ壊れるほど愛されちゃった。
余談ですが、4D公開初日の最初の回のときのこと。上映前に「4DXってこういうのですよ~」っていうサンプル映像が流れるじゃないですか。あれでしこたま揺らされてひと段落ついたとき後ろの方から「こんなの聞いてないよーー!!」と聞こえてきたのが面白かったです。私も隣の人と「こんなには揺れないですよね?」って笑いあっちゃった。
楽しかったです!
バリアフリー上映
これは本当にありがとうの気持ちでいっぱいです。
字幕ガイドは歌詞や脚本があるからともかく、音声ガイドを作るのは本当に大変だったと思うんですが、本当によくぞやってくれた……というかんじで……。私も実際に体験するのは初めてだったので、映画館で体験する機会を得られて嬉しかったです。
音声ガイドについての詳しいことは公開当時にポストしてますので、ご興味のある方はそちらをご覧ください。
晴眼者が聞いても、そうそうそこがいいんだよね……と思うところを言語化されて改めてじんわりしたり、言われないと分からない情報をもらえたりして、楽しかったです。
字幕付き上映も当初は上映館が少なかったり日程がかなり限られていて見たい人が自由に見れない、という声もありましたが、字幕上映ウィーク(8/4~8/10)を設けてくれたおかげでたくさんの人に届くことになりました。千秋楽ウィークに再度字幕上映をしてくれた劇場もありましたね。
バリアフリーサービスは決して障害者手帳を持っている方だけのものではありませんし、サービスそのものが広く知られること・利用したいと思ったときの心理的なハードルが下がること、は大きな課題だと思うのですが、ムビナナの大ヒット&バリアフリー上映への対応によってより多くの人が触れる機会になっていたらいいな、と思います。
円盤にも同じものが収録されており、ディスクメニューから字幕のオンオフ・オーディオの設定から選べますので、ご興味のある方はぜひ。
特に開演前~モンジェネ、IR~トゥモエビを聞いてほしいんですよ……泣くから……。
Dolby Cinema
これは本当にすごくて……! どれくらいかというと、私は初めて観たときにしゃくりあげる勢いで泣きました。こう、眉間と鼻がめちゃくちゃ痛くなって喉が引き攣れるやつ……。実際は上映中なので静かにしてましたけど、劇場じゃなかったらやばかったな。
Dolby Visionは鮮やかさが普通のスクリーンの比じゃなくて。一番手のIDOLiSH7がカラフルなのもあり、ライブステージが今まで以上に華やいで見えて、私たちの大切なアイドルたちの晴れ舞台をこんなに良い環境で魅せてくれてありがとう、と思いました。
あと暗転が本物の暗闇で! 黒が本物の黒(ドォン……)になるので、特にRe:valeが捌けてRe-bootに入るまでの暗転とか、journeyで二人がステージに姿を現すところとか、臨場感が半端ないです。
これはDolby Atmosについての言及ですが(7/6スタッフ舞台挨拶<音響回>より)、マネージャーなら絶対に来てくれるからDolbyやっていいよ、とゴーサインを出してくれたPおよび制作陣一同様、尽力してくださったエンジニアの皆様に感謝です。ファンのことを信頼してくれてありがとうございます。ドルシネで観たくてめちゃくちゃ通いました。
設備を持ってる劇場自体が少ないですし千秋楽を越えた今ではゲリラ上映してくれればという現状なので、観たくても簡単に観れるわけではないのが厳しいところですが、もし観れるチャンスがあったら観てほしいです。どこで観るムビナナとも絶対に違うし、映画の鑑賞体験自体が別物なので。世界、変えてみたくないか?
余談ですが、私はこれで世界が変わってしまったので他の映画もドルシネで観に行きました。推しアーティストが主題歌に起用されたもので……。朝イチのドルシネでムビナナ観て、一回出て、すぐまたドルシネに戻ったの、面白かったなー!
上映イベント
ムビナナは各種舞台挨拶のほか、国際フォーラムを本会場とする上映会のライブビューイング、一斉上映回など、いろんな上映イベントも用意してくれました。
BD・DVDBOXでは自己紹介の時間をカットしているためMCの方が映らなかったのが寂しいところですが……。ほとんどの舞台挨拶でMCをしてくださった田口尚平さん、ありがとうございました! アイナナへの多大な理解とノリの良さで自由なキャストさんたちを御してくださって、ずっと楽しかったです!
ちなみに、この記事のヘッダーは初日舞台挨拶にてこの時間だけ写真撮影が許された、王様プリンフォトセッションタイムのものです。私は本会場はご用意されなかったのでライビュ会場からのものですが、スクリーン越しに王様プリンさんを撮影することが許可されました。どういうこと?
で、この見出しで書きたかったことは、次のアレです。
祝!ムビナナ大ヒット御礼上映会(通称:トンチキ上映会)
公式発表の概要を引用しましょう。
なんて?
ムビナナがとっても大ヒットしたので、東京国際フォーラムホールAとかいう音も良く収容人数も多い会場を押さえて開催されたのが、この楽器鳴らしていいからみんなで騒いで楽しもうぜ!っていう上映会です。ライビュ会場では劇場によって楽器可・楽器不可の別がありました。
何を言ってるか分からないと思います。誰も何もわからなかったので「トンチキ上映会」という通称名が流行りました。
でもあの、本当に楽しかったんです! レーザーも使ったり階段状のライト演出もすごく凝っていて、ライブ中に銀テが飛ぶタイミングで実際に会場には銀テが放たれたり。
楽器を持ち寄るマネージャーたちもデコタンバリンを自作したり他にもなんかいろいろ作ったりと、現地ライブに参戦するときのような(そうか?)準備期間も楽しみ、盛り上がりました。
激情のサビ前でマラカスの音が聞こえる気がする。
後にも先にもない独特な雰囲気のお祭りでした。
エントランスに入る前からもうエッグマラカスの試奏が聞こえ、席に着けば各々の楽器のチューニング音に囲まれ。エッグマラカスの強弱の付け方もなぜか完璧で、デイブレのwow wowではちょっと強く、IRは破裂音を鳴らしすぎず静かに……とマネージャーたちも演出の息が合っていました。
改めて書いてみるとなんだ……このイベント……?
この時期はきっとムビナナからアイナナに触れてくれた方も多くなってきていたと思いますが、アイナナが質の良い作品を作るだけでなくよくわかんないこともやってくるコンテンツだということをお分かりいただけたでしょうか。
こういうコンテンツです。
広報について
地上波
公開前には地上波番組でもたくさん番宣をしてくれました。
きむすばさんに……感謝……!
バラエティ番組の出演経歴豊富な木村さんいてこそ出来たことではあると思いますが、公開前の宣伝の仕方が本物のアイドルそのものじゃんね。ありがとうございます。
円盤
公開初日から自宅で観れる
ムビナナの大ヒットを語る際に忘れてはいけないのは、公開初日から劇場限定版Blu-rayが購入できたことです。
DAY1は公開初日の5/20・DAY2は6/3から、購入の際には劇場の座席指定券もしくは半券が必要、特典映像等はなくチャプター分けもまだ……などの但し書きはありますが、それでも初日から映画館に行かなくても全編まるっと自宅で観られる環境がある、というのは特筆すべきかと思います。
私は実際に公開初日、家に帰ってきてから夜中までずっと観てました。
だって舞台挨拶2回分だけじゃ全然足りないよ!! あと初日に行った劇場の設備がそんなによくなかったのでPCで観た方がよく見えるとこがあったり……最初2回は泣いてて見えてないとこがほとんどだし……夜中にはさすがに上映してないし……。
まあそのあたりは置いといて、住んでる地域によっては気軽に映画館に足を運べないとか、学業・お仕事やご家庭の都合で自由には外出できないとか、人それぞれ観に行きたくても行けない事情があったりはしますよね。そういう配慮なんじゃないかな、という気がしています。
特に運営側が何か言ってたとかはないですけど、アイナナはそういう気の配り方をするコンテンツです。
実際、ツイートOK上映会の際は、劇場に足を運べない人向けに円盤を再生するタイミングを教えてくれて、一緒に楽しもう!と呼びかけてくれました。
劇場に向かわせた方が興行収入は増えるのにね。
そういうコンテンツです。
ナナイロストア限定盤事件への神対応の顛末
ムビナナがめちゃくちゃに大ヒットし、おそらくは入場者プレゼントのやり取りなんかもあって人気が顕著になり、有り体に言うと転売ヤーに目を付けられました。
特に大きな被害が出たのが数量限定販売かつ限定特典がたくさんついたナナイロストア限定Blu-ray BOXです。「外部ツールを使用した自動注文行為の影響」と公式発表があり、エンジニア界隈などでも話題になったようでした。
ただ被害を受けただけでは終わらず、迅速に対応してくださったムビナナ・ナナイロストアに敬意を表して、簡単にですが書き残したいと思います。
予約用のシリアルナンバーを発行するという、どう考えても手間も負荷もかかるだろう対応を決定して施行するのに、4日もかかりませんでした。すごくないですか? すごいんですよ。
ドラマCDによる新規ストーリーが付く大事なものを、どうしても欲しい人が買えない状況に陥ってもそれでよしとするようなコンテンツではないのでまあどうにかしてくれるだろうなとは思いつつ、それでもやっぱりちょっとは不安だったので、的確すぎる対応には頭が上がりません。本当にありがとうアイドリッシュセブン。一生ついていきます。
「アイナナの入口になる」意識の作品
ここから少しずつ個人の考えと感傷が混じりますよ。
劇場での公開ということで、アイナナに初めて触れる方がこれまで以上に増える機会となりました。初見の方にも魅力が届くように、というのも考えられて作られたようですが、ここがそうだったんじゃないかな、と感じる点をいくつか主観で書いてみようと思います。
曲の尺・セトリなどについて
アイナナは「RESTART POiNTER」のMV制作時に神風動画さんよりフル尺では飽きさせない映像を作るのが難しいと提言を受け、それ以来MVの楽曲尺は長くなりすぎないように収めています(出典のちほど確認して記載します。すみません。CGWORLDだったはずです)。
ライブ映像なのでフル尺でもよかったのでは、と思われるかもしれませんが、やはりここで初めてアイナナに触れる人も多いだろうということを考えると、ある程度尺をつまんだ方が飽きさせず熱狂を続けられるのかもしれません。ライブ会場とは違って、通常上映だとペンライトを振ることもできずじっと座って観ることになりますし。
また、仮に全曲をフルでやったとすると100分は超えることになるでしょうし、そうなると初見の方のハードルがちょっと上がってしまう気がします。勧めるときに100分と言うより90分くらいと言った方が気軽に観れる気がするし、たとえば実際のライブのように2時間超とかになってしまうとやはり尻込みするでしょう。
単にライブとして考えても、4グループ合同のライブなのでそれぞれのグループだけのファンもレインボーアリーナに足を運んでいるでしょうし、そうすると前半の各グループの持ち時間はそう多く取ってはいられない、という考え方もある気がします。
セトリについてはDAY1は定番曲や各グループの代名詞となる曲、DAY2での日替わり曲はまた違う一面を見られる曲、と変化を付けてくれたのも嬉しかったポイントです! 特にPARTY TIME TOGETHERと激情は定番曲とは言い難いのでまさかやってくれるとは思わなくて、嬉しかったな。
完全初見の方にグループの色を知ってもらうにはDAY1の方がいいという意見をよく聞きますが、私はJPOP好きの方なら小室哲哉さん・前山田健一(ヒャダイン)さん・いきものがかり水野良樹さんが揃っているDAY2を勧めたいと思っています。
また、プロデューサーはセトリについては公開まで一切公表したくなかったところ、Pieces of The Worldだけは使わせてください!と周りが説得したという裏話(スタッフ舞台挨拶<音響回>より)もありました。PVか番宣か何かでこの曲を耳にして観に行った方がいたという話も聞きましたし、英断だったと思います。本当にありがとうございます。
MC、ついでに衣装のこと
MCも実際のライブと比べると短めだったような気がします。G4Yの方が気持ち長かったかも?
これもやはり、アイドルたちの人となりをまだ知らない人にとっては、お喋りばかり長々と続いても退屈させてしまうのかもしれません。
その分ライブパフォーマンス中の振る舞いや個性の出ているダンス、メンバー同士の目配せなどで十分彼らの仲の良さや人間性の魅力は見て取れます。
何より短い尺でもちゃんと面白くてフックになるポイントもあり、彼らがどんな道のりを辿ってきてステージに立っているのかも滲む脚本を書いてくださった都志見文太先生が本当に……すごい! ありがとうございます! 一生ついていきます。
あと、2DAYS通しても、彼らは個人の自己紹介をしていないんですよね。フルネームが出るのはエンドロールかRe-bootのアルファベット表記だけで、彼ら個人の名前を知らずに映画館を出た方も少なくはないのではないかと思います。
これはもう一人一人を紹介するのは抜きにして、4グループそれぞれの魅力をしっかり伝えるのに全振りしたのではないかなと思います。いきなり16人立て続けに出されても覚えられないし! 16人のうち1人も覚えられないよ~!にするよりは4グループに絞った方が印象が強く残る気がします。
ついでに衣装の話をしますが、千の1着目が2022年ブラホワ時の白から黒衣装に変わったのもそういう観点があってかな、と考えています。単にRe-raiseをやるなら黒の方が合ってただけかもしれませんが、白と黒の二人組、だとIncomplete Rulerの陸と天と被ってしまい、Re:valeの二人で一つ感があやふやになるような気がする。初見の方の感想を見ていると、最後の方で白と黒の人が歌ってた曲がよかった、という言い方をしてるのもよく目にしますし。
また、グループ単位で覚えてくれたら配信楽曲やMV・LVを、誰か一人に惹かれたらソロ曲かRabbiTubeを、と楽曲や映像コンテンツで繋げてさらに知ってもらえる機会が用意されてるので、アフターサービスもばっちりです。
これが8年の積み重ねですよ。アイドリッシュセブン、本当にコンテンツ運営が上手い。
公開初日の個人的な感傷
ここはもう本当に個人の感傷ですので、怖いと感じた方はそろそろやめておいてください。
作品についての感想を書き出すと際限がないので、公開初日のことだけを書こうと思います。
DAY1の初日舞台挨拶にてさとたくさんが、公開日までを楽しみにする感覚に1stライブの頃のことを思い出したと仰っていたことに、とても共感したのを覚えています。
事前物販が届いて会場に行く準備をしたり、公開前の施策で高揚させられるものの何が起こるのかはまったく分からない状況だったりで、どんなものを見せてくれるんだろうという期待感。アイナナならきっと素晴らしいものを見せて楽しませてくれるという信頼感。そして、これが公開されたら、アイナナを取り巻く世界が変わるかもしれないというそこはかとない予感。
予感は現実となって、マネージャーがうわごとのようによかったよかったと呟くのが伝搬し、口コミでファン層が広がっていくわけですが……。
RTIのときの伝説的なさまを目の当たりにしていたので、公開初日は見る前からすでに泣きそうでした。
わりとめそめそしながら緊張を胸に席に着き、「本日はご来場いただき~」と通常上映・応援上映確認MCでもう込み上げてきて、オーバーチュアで「IDOLiSH7 the MOVIE」と表示された時点で涙が膜を張っていたのでまあもう最初からガウスぼかし状態でしか見えなくなったんですけども。
1番手はIDOLiSH7、それは想像できていたことで、でも1曲目は? モンジェネがいいけど、もう散々いろんな場面でモンジェネを特別に扱ってくれちゃったからな、と思っていたところに流れ出したMONSTER GENERATiON。
信じられないくらい泣いてしまった。
だってもう、本当に特別な曲で。始まりの曲で、あのMVがあったから今があると思っていて、アニナナでもとっても大事にモンジェネからの「始まり」を演出してくれて、RTIでも1番手で、REUNIONでは本編最後、Op.7でもアンコールラスト、2022年ブラホワでもモンジェネを組み込んでくれて、もうありとあらゆるモンジェネを見てきたんですが、8周年を目前にしてもまだ新しいモンジェネを見せてくれるのかと。
でも、ただ新しいだけじゃなくて、言われずともこの振り付けは環くんだろうな、と感じたところに6部までの道のりを思い出したりもして、あのたった1曲で約8年間の思い出が一気に押し寄せました。
そのあとも結構ずっと泣いていて、特にNiGHTFALLとストストで泣き、IRでも驚愕からの号泣に至り、トゥモエビも本当に大変だったんですけども。
冷静に観れるようになって思い返してみると、あのライブが雨上がりの街ステージから始まるの、すごくアイドリッシュセブンらしいなと思いました。アイナナの優しさやアイナナが描いているアイドルの役割って、そうなんですよね。個々が抱えている問題はその人自身にしか解決できないし、それに対して無責任に大丈夫だよなんて言うことはない。でも、一緒にいるこの時間だけはめいっぱい楽しませて、日々の彩りになったらいいな、という。
「なにしたって君の細胞にはなれないけれど」、「心配事をロッカーに預けたら」今このひとときは僕たちが幸せにしてみせるよ、という、一貫したポリシー。
Pieces of The Worldも最初に観たときは情報量が多すぎて何が起きているか分からなかったけど、即フル配信してくれたのを聞いていたらアイナナのいいところがぎゅっと詰まっていて。「痛ましい記憶も愛に焚べて許しあえる人になれたら」が特に好きです。そうやって生きていくことって本当に難しくて、物語として描くことも非常に大変なことだと思うんですが、それをこの8年、貫き通してきた人たちなんですよね。
アイドルたちも、そうやって乗り越えていける優しさと強さを持った子たちで、何よりお客さんを楽しませることが大好きで。そういう子たちの真剣なパフォーマンスの実態を目の当たりにできるところまで来た。ムビナナは、そうだろうな、と思っていたアイドル達の魅力を、目に見えて現実のものにしてくれた、とも言えます。
アイドリッシュセブンのおかげで私の日々は鮮やかです。出会った意味があると確信を持って言える。アイドリッシュセブンが私の人生にあってよかった。
これは私の感傷ですけども、アイナナの優しさが一人でも多くの人に届いて、一緒に楽しい日々を過ごせたらいいなと思います。
そういう魅力を寸分漏らさず詰め込んでくれたムビナナに、心から感謝しています。