「海外」買い付けの魅力
ご無沙汰していますMadaraロンドン駐在及び、Dishy’sのさつきです。
快く僕の商品を置く場所を提供してくださっているMadara vintage そしてせいやさんには頭が上がりません。
日本のヴィンテージ、古着ラバーズたちはVCMに魂を震わせている頃なのでしょうか。
本日は「海外買い付け」の魅力について少しお話をさせてもらおうと思います。
古着ないしヴィンテージあるあるだと思うのですが、あそこは国内買い付けだからどうの、海外買い付けだからどうのと論争が巻き起こります。いい悪いは別にして、ここで私の意見、端的な結論を一旦述べて置こうと思います。
「海外買付をやっている奴、そしてそれで飯を食ってるやつはめちゃくちゃかっけえ。」
です。
そしてもう一つ先に述べておきますがこれは国内買い付けのネガティブキャンペーンではなく海外買い付けを行なっている人へのリスペクトからの言葉です。
なんでかっけえと思うのかを今からだらだら述べていこうと思います。読者のみなさん覚悟してください。
なんとなく日本のビンテージラバーの間の暗黙の了解というか、風潮として、「海外買付をしている店は善」、「国内買付をしている店は悪」といった風潮があると思います。
しかし、国内、海外といった単純な尺度では古着はもはや測れないのではないかと私は思うのです。日本の古着がヨーロッパで見つかることも、ヨーロッパの古着がアメリカで見るかることも、それ以外にも古着はぐるぐる世界を巡っています。
海外買い付けは善なのか
そもそも海外買付は「善い」のでしょうか。私は海外買付は「かっけえ」と言いましたが、先の問いに対してはシンプルにイェエエエスとは答えられません。
多くの古着屋はチャリティーショップでもなければリサイクルショップでもありません。その古着屋さんの表現したいこと、お客さんたちに売りたいもの、売れるもの、様々な意思や思想の基に経営なさっていると思います。
海外買付には様々なハードル、コストが存在しています。航空券、配送料、関税、仕入れ地の開拓、異国であれば言語や文化の壁、そしてそこに古着の知識、スタイリングの知識、センスなど様々な要素が絡んできます。決して誰もができるわけではありませんし、めっちゃめんどくさいと思います。お金だけでなく多くの時間が割かれているということは言わずもがなです。そして更に古着屋を苦しめる円安、自ずと値段が上がってしまうのは至極当然です。
いやもうこれ新品の服、ブランドの服買えますやん。という値段の古着も少なくない、ファストファッションブランドと比べてしまえば今の古着はむしろ高いものの方がほとんどなのかも知れません。しかし、そこにしっかりと説得力と自信を持って商品を魅せることのできるお店は本当にかっこいいです。
国内買付が悪なのか
続いて国内買付は悪なのか否かについてのお話しです。結論、全然悪でもなんでもないと思います。
国内買付の場合でも世界中から集まった古着たちが倉庫なり卸の場にはあるわけで、余計に時間や労力をかけずに商品は集め易いと思います。小学生でも思いつく商売の基本、「安く買って高く売る」に則ると至極当然、断然合理的です。しかもハンドピックであれば海外買付と同じように無数のゴミやガラクタの山から魅力的なものを探さないといけないのは大変以外のなにものでもありません。
先に述べたことと同じように古着の知識やセンス、値段や質に納得いく商売ができているのであれば文句の付けようはどこにもありません。
海外買い付けの魅力
ではそれでも海外買付がかっけえ、魅力的に思えるのはどうしてなのでしょうか。
ついこの間まで僕はただのその辺の普通の大学生で、古着を買う一消費者でした。でも今は消費者でも買付をする側でもあります。しかも全然知らなかった国で、全然知らなかった場所で。
国内では見つけにくいいいものがあるだとか、ビンテージが国内より安く見つかるとか色々あるかと思いますが、今私が考える海外買付の一番の魅力は「物語」がつくところだと思います。ここでいう物語は物そのものの歴史だけではなく、そのモノがお客さんに届くまでの物語の濃度が上がるんです。
例えばディーラーやマーケットを取ってもいい奴もいれば、いやーな奴もいます(あっちも同じことを私たちバイヤーに思ってるかもですが)。単純なお金ともののやり取りだけではなく、そこには人間と人間の魂の値切り交渉や人間関係、「コミュニケーション」があるのです。それは時にめちゃくちゃめんどくさいですし、とてつもなく楽しいです。
ビジネスあーだこうだ以上に、こういった異文化間でのコミュニケーションや国境を超えたモノやヒトのやり取りは最高にかっこよくて素敵な行為だと私は思います。いい物を仕入れるためには知識があってもこのコミュニケーションなしにはなかなか難しいですしね。
さっきから似たようなことを言っていますが、古着屋は物を売るだけではなくスタイリングや一つ一つのストーリー、感性を価値として売っていると思います。
通りすがりの女性に絵を描いてくれと言われ、ささっと美しい絵を描き高額請求をした「ピカソの30年と30秒」のエピソードは有名だと思いますが、古着屋にも同じことが言えると思います。
様々なマーケットや倉庫、ディーラー探し、そしてそこで行われる異文化異言語によって行わなければならない商談。これを構築するためには数日数ヶ月という時間や、ただのお金だけでポッと解決できる物ではありません。
海外買付は「ロマン」とよく言われますが、その物語の一端をお客さんたちに感じてもらうことができるのが海外買付の一番の魅力なのではないかと僕は思います。
だからそれでも低価格で提供することができる古着屋はかっけえですし、決して安い値段ではなかったとしても説得力のある古着屋はかっけえので、海外買付はかっけえと思うんです。
「この古着屋クソ高えなぼったくりじゃん」と思ってもそこに乗っかっている価値は一体なんなのか考えるともっと古着が楽しくなると思いますし、ファッションが楽しくなると思いますし、買い物が今以上にもっと楽しくなると思います。
では今日はこの辺で!See you later!
颯樹