【BL二次小説】 荒北さん争奪戦②
その瞬間、素早く新開がスピードを上げ、荒北と今泉の間に割って入った。
そして今泉のメモを引ったくる。
今「!」
新「……」
ビリビリ。ポイ。
新開はメモを破り捨てた。
今「なにするんスか!」
新「今泉くん……」
新開は今泉を睨み付けながら言った。
新「残念だったね。悪いけど、靖友はもう売約済みなんだ。オレにね」
今「!」
黒「ウソばっか……!」
泉「待てユキ。様子を見よう」
黒田のツッコミを止める泉田。
今泉がどう出るか反応をうかがう。
今「新開さん……」
今泉は口を開いた。
新「なんだい?」
新開は余裕の表情で今泉を威嚇している。
今「オレ知ってますよ……アナタ、荒北さんに何回も何回も何回も何回もフられてるそうじゃないスか」
新「ぐはあっっっ!!」
新開はのけ反って転倒しそうになる。
泉「新開さん!」
泉田が慌てて飛んで来て新開を支えた。
驚いたのは黒田も同じだ。
黒「なんで!なんでそんなこと総北のオマエが知ってるんだ!!」
それについて真波が手を上げ、笑顔で答える。
真「あ、それ多分オレです~。新開さんがフられるたびに坂道くんに電話で喋ってたんで~」
小「あわわ!それをボクがいつも学校で今泉くんに喋って……すっすみません!ホントすみません!」
愕然とする黒田。
黒「真波!オマエ、箱学の痴部を他校に……!」
真「だって面白いじゃないですか~。新開さんのフられっぷりっていつも豪快で~」
真波は全く悪びれる様子が無い。
新「……」
新開は下を向いてブルブルと震えている。
泉「新開さん?」
新「……靖友は……靖友は……」
そしてガバッと顔を上げると、ダムのように涙を放流しながら叫んだ。
新「照れ屋なだけなんだーーーっっ!!」
黒「いやそれ苦しいっスよ!」
泉「新開さんが総北の陽動作戦に負けた!」
真「ほらね?面白いでしょ~」
新開が敗北したので、黒田が前へ出る。
黒「と、とにかく!」
黒田は今泉に指を差してキッパリ言った。
黒「荒北さんに用があるならまずオレを通してもらおうか!」
今「誰スかアンタ」
黒「ガーーン!!」
今「IHメンバーに居なかったスよね」
黒「ぎゃああああぁぁっ!!」
黒田は滝のように涙を流して下がって行った。
泉「やれやれ。埒が明かないな。ボクが説明しよう」
泉田が前に出る。
今「!」
泉「おっと!誤解しないでくれたまえ。ボクはべつに荒北さんを狙ってはいない。ボクの好みは歳上女性だからね」
今「……」
泉田はペダルを漕ぎながら両手を広げ、落ち着いて話し出した。
泉「今泉くん。野蛮な総北と違って、我が箱学は紳士なエリート校だ。皆のアイドル荒北さんに対しては抜け駆けなどせずマナーを守って節度ある距離感を保っているんだよ。それが人間関係の調和と均衡を維持する秘訣だ」
今「ふっ」
今泉は鼻で笑った。
泉「何が可笑しい」
カチンとくる泉田。
今「馬鹿かアンタら」
泉「なんだと!」
黒「塔一郎!」
泉田を制止する黒田。
今泉は笑いながら言った。
今「それは箱学のルールでしょう。オレは総北。そんなしがらみは全く無い」
泉「ぐっ……!」
今「恋のライバルに遠慮?あっははは!チキンかよ!」
黒「てめ……!」
今泉は大声で宣言する。
今「オレは欲しいものは勝ち獲りますよ!全力でね!!」
箱学「!!!」
小「ひーー!」