【BL二次小説】 黒田さんの完璧な計画①終
黒「荒北さん!」
荒「エ?……黒田?」
黒田は頬を紅潮させ、荒北に駆け寄った。
ここは、洋南大学。
大学2年になった荒北達は、自転車競技部の部室で新入生が来るのを待っていた。
黒「お久しぶりっス!」
荒「オメ、ウチ受けたのか!」
懐かしい荒北の姿。
黒田は脳内では荒北に思い切り抱き付いていた。
荒北が卒業してから1年間、顔が見られず寂しかった。
(会いたかった!会いたかった荒北さん!)
待「おお!箱学の佐川……?日通……?」
金「西濃だ待宮」
黒「黒猫ス」
(総北の金城さん、呉の待宮さん。お二人とも元気そうだ)
荒「よく来たなァ。またシゴいてやんよ」
黒「はい!宜しくおなしゃす!」
黒田はペコリと頭を下げた。
待「おーおー。よくなついとるのぅ」
黒「荒北さんの舎弟スから!」
金「ほう」
荒「コイツが勝手に言ってるだけだ」
黒「一の子分ス!」
荒「ヤメロ」
待「ヒャハハハ」
(和やかな雰囲気だ。洋南を志望して良かった……!)
黒田が洋南に進学した理由。
それは勿論、荒北が居るからだ。
ずっと胸に秘めたこの想い。
この大学生活の間に、きっと、きっと ──。
(洋南には、あの強敵新開さんも、ウザい真波も居ない。この時をずっと待っていたんだ!荒北さん!荒北さんを、やっと、やっと独り占め出来る……!!)
完璧な計画だった。
もしかすると、来年は真波が入学してくるかもしれない。
今年一年が勝負だ。
(今年中に荒北さんをオレのものに……!ああ、これから3年間、ずっとまた荒北さんの傍に居られる……!)
黒田は天にも昇る気持ちだった。
荒「黒田ァ。今日の夕方、居酒屋で歓迎会だからァ」
黒「あざっス!」
荒「ジュースだぜ」
黒「もちろんス!」
金「オマエだってジュースだろ」
荒「オレぁもう二十歳なの。もう呑めるの。オメーらと違ってオトナなの」
荒北の誕生日は4月2日。
皆よりいち早く大人になった。
(荒北さん……もう二十歳なんだ。大人の荒北さん……ああ)
黒田は荒北にいつまでも見とれていた。
~居酒屋~
黒「え……?」
歓迎会の会場に着くと、メンバーの中に意外な人物を発見し、固まる黒田。
新「やあ、久しぶり黒田」
荒北の隣に、新開が座っていた。
黒「な……なんで?」
目を疑う。
今日は明早との合同飲み会ではない筈だ。
黒「なんでアンタがここに居るんスかーっ!!」
新「オレ達、公認の仲なんでね」
黒「公認?」
新開は荒北の肩を抱いて言った。
新「オレ達、恋人同士なんだ」
黒「!!!」
衝撃を受ける黒田。
(え……?今、なんて?恋……人?)
黒「ホ、ホント……スか?荒北さん……」
震え声で尋ねる。
荒「アア。去年の中頃からナ」
黒「ガーーーン!!」
新「悪いな黒田。ごちそうさん」
新開は黒田にバキュンポーズをし、ウインクした。
(オ……オレは……何のために……受験勉強頑張って……)
目の前が真っ暗になる黒田。
(これから……オレの大学生活……4年……)
荒「黒田?」
バターーン!!
黒田は絶望のあまり意識を失いその場に倒れた。
待「おい!誰じゃ新入生に呑ましよん!」
荒「まだ呑ませてねェよ!」
黒田の耳に、周りでみんなが騒いでいるのが聞こえる……。
荒北の声が……遠く……小さく……。
入部当日に天国から地獄へ落とされた黒田。
頑張れ黒田。
負けるな黒田。
長い人生にはもっとつらいこともある。
そして、キミにもきっと、幸せは訪れる。
いつか、きっと ──。
おしまい