【BL二次小説】 荒北さん争奪戦①
本日のレースは関東大会。
各高校から1チーム6人で出場している。
今「……」
総北1年の今泉は、試合前から妙に落ち着きが無かった。
スタートして暫くすると、突然こんなことを言い出す。
今「すんません。オレ、先に行きます」
手「は?」
隊列から離れる今泉。
手「おいおいどうした今泉。ご機嫌ナナメか?」
慌てる手嶋。
今「ちょっと用事ありますんで」
手「そうか、なら仕方……ってオイ!!」
怒る手嶋。
しかし今泉は行ってしまった。
手「アイツ!オレが2年だと思ってナメ……!」
小「あっあの!今泉くんは決してナメてるわけじゃなくてですね!」
小野田が後ろから発言した。
手「何か知ってるのか小野田」
小「今泉くん、ホントに用事があるんだと思います」
手「そうか、ホントに用事が……だから!それ試合中じゃなきゃダメなのか?」
小「……ダメなんだと思います」
手「どんな用事だよそれ!」
手嶋は頭を抱える。
手「つか、そんな勝手が認められるか!小野田!連れ戻してこい!」
小「はわわ!はっはい!」
小野田は慌てて今泉を追いかけた。
小「今泉くーん!」
今泉の背中が見え、声を掛ける。
今「小野田。ついて来たのか」
小「戻らないとまずいよ。手嶋さん怒ってたよ」
今「……用事が済んだらちゃんと戻る」
小「今泉くん……」
小野田は不安そうに尋ねる。
小「まさか……やっぱり……あのヒトに?」
今「……ああ。今日がチャンスなんだ。滅多に会えないからな」
今泉は更にスピードを上げた。
小「今泉くん……本気で……」
黒「箱学の独走スね」
先頭は箱学だった。
序盤から2位以下を大きく離している。
荒「ヘッ!関東大会でオレ達に勝てる学校なんかあるかよ!」
荒北はチームの先頭を軽快に引いていた。
真「あ……でも」
最後尾を走る真波は風の動きを読んだ。
真「来たみたいですよ。強豪校が」
泉「なに?」
真「1人……いえ、2人のようです」
振り向くと、数秒後に今泉が姿を現した。
その後方に小野田も見える。
泉「総北です!」
真「今泉くんと、坂道くんだ」
新「なに!」
黒「今泉だと!?」
ざわつく箱学。
今泉は箱学の面々には目もくれず、まっすぐスーッと先頭に並んだ。
今「荒北さん!」
荒「よォ今泉ちゃん。元気そうじゃナァイ」
会話を交わす今泉と荒北。
黒「アイツ!オレ達に挨拶もせずいきなり荒北さんに!」
新「……」
今泉は最近、箱学でちょっとした有名人になっていた。
数日前、荒北と2人で映画を観に行ったからだ。
みんなのアイドル荒北と抜け駆けデートをしたということで、荒北に想いを寄せるメンズから怒りをかっていた。
黒「何しに来やがった!」
小「あわわ……」
真「困るね坂道くん。また今泉くんを野放しにしたのかい?」
小「ま、真波くん」
真「ちゃんと鎖で繋いでおかないから、ほら。あんなの前代未聞だ」
小「ご、ごめん。すぐ連れて帰るから」
後方でのざわめきなど全く気にせず、今泉はポケットからメモを取り出した。
今「荒北さん!これを!」
荒「なァに?ソレ」
今「オレのケータイ番号です!!」
荒「ハ?」
箱学「!!!」
小「どっひゃー!!」
2023-10-09
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