【BL二次小説】 荒北さん争奪戦③終
先頭を走る荒北に引かれている福富が尋ねる。
福「荒北。後ろの連中が言ってる意味がさっぱりわからないんだが」
荒「オレもわかんね」
荒北は無関心だ。
荒「アイツらホント、仲イイんだか悪いんだか……」
溜め息をついて首を横に振る。
荒「てゆーか福ちゃん!もうすぐゴールだ!このまま逃げきるゼ!」
福「ああ!」
荒北と福富は一気にスピードを上げた。
今「!!……荒北さん!」
ぐんぐん離れて行く荒北と福富を見て今泉は驚く。
今「はっ……そうか!“オレが欲しけりゃ抜いてみろ”、そういう意味ですね荒北さん!!」
箱学「なんだって!?」
今泉の解釈に箱学メンズは騒然となる。
今「わかりました荒北さん!オレ!アナタを抜きます!」
今泉はスピードを上げた。
黒「おい待て!」
真「まずいですよ!」
小「今泉くん!」
慌てる面々。
泉「みんな!総北を阻止するんだ!」
新「靖友を抜く?行かせねーよ!!」
全員でアタックをかけた。
今「荒北さーん!」
福「荒北!総北が追い上げて来てるぞ!」
荒「よっしゃア!飛ばすぜ福ちゃん!」
新「靖友ーーっ!」
泉「なんとしても総北を妨害しなくては!」
黒「今泉をぶっちぎる!そして、荒北さんを抜く!そして、そして!」
小「今泉くーん!勝手な行動はー」
真「うわーん!平坦じゃ勝てないよー!荒北さーん!」
ゴールまで残り500m。
福富を発射させるポイントだ。
荒「ヨーシ!行け!福ちゃん!」
その瞬間、新開の咆哮が轟く。
新「あるあぁ!寿一ぃぃ!おめさん靖友を抜く気かぁぁ!!」
福「ム?」
驚いて振り向く福富。
後方から鬼モードの新開が特攻して来ていた。
新「靖友をゲットする気か寿一ぃぃ!!」
福「……??」
大事な場面なのに、新開の言葉の意味が解らず困惑する福富。
荒「どうした福ちゃん!早く行け!」
福「しかし新開が何か怒って……」
新「たとえおめさんでも許さねーぞ寿一ぃぃ!!」
今「荒北さん!」
黒「どけ今泉ーっ!」
荒「福ちゃん!」
新「靖友おぉーーっ!」
福「うわあーーっ!!」
ガシャーーン!!
ガシャガシャグワシャーーン!!
『クラッシュ!ゴール目前10mでまさかのクラッシュです!』
盛大な落車事故が起こった。
みんな巻き込まれ倒れている。
泉「おおっとっと!」
泉田は倒れている面々を器用に避け、そのまま通過した。
『ゴール!優勝は箱根学園、泉田選手!』
ワーー!
泉「え?ボクが1着?」
全員「えーっ?」
キョロキョロと辺りを見渡す泉田。
みんな呆然としている。
泉「えっと……」
泉田は倒れている面々に歩み寄る。
そして荒北の手を取り、ポッと頬を赤らめて言った。
泉「それじゃ……宜しくお願いします荒北さん」
荒「ハァ?」
全員「!!!」
ベキッ!
黒田は自分の自転車のフレームをへし折りながら泉田に掴みかかった。
黒「塔一郎ーっ!テメェは関係ねーだろーっ!」
泉「いや!でも報酬で荒北さんが貰えるんなら棚ぼたというか据え膳というか!」
新「泉田ぁ!裏切る気かぁ!」
泉「ぼっボクは!当然の権利をですね!」
真「ひどいですー!泉田さんのバカバカー!」
今「卑怯な手を!とんだ紳士校だな!」
黒「テメェみてぇな筋肉バカに荒北さんを渡せるかーっ!」
泉「アブーーっ!」
『乱闘!なんとゴール落車地点で大乱闘が始まりました!』
ワーー!
荒「アイツらはほっとけ!福ちゃん、行くぜ」
荒北は福富と自転車を引き摺ってゴールした。
『2着、荒北選手!3着、福富選手!』
そのうち後続の選手達もやって来た。
手「うわっ!小野田が気絶してる?い、今泉!おまえゴールもしないでなに殴り合ってんだーっ!!」
結局、勝負はうやむやになって終了した。
荒北はいまだ誰のものにもならず、今日もみんなのアイドルである。
めでたしめでたし。
おしまい