期限や目的がないと人間は積極的に行動しないよね。-ロンドンに7年住んで思ったこと-
主語が大きくなってしまったけど、私個人の話です。(写真は2年くらい前のプリムローズヒル)
イギリスのロンドンっていうところで7年ほど暮らしたけど、7年間もいて湖水地方に行ったこともなければ、ストーンヘンジに行ったこともないし、ダウントンアビーのロケ地のお城に行ったこともないし、ネス湖に行ってネッシーも見たことない(いない)。
イギリスは長期滞在ビザがアホみたいに取り辛いので、EU圏の国出身じゃない(ブレクシット前のことです)日本人はほとんどの人が1年から3年ほどの期限付きビザで学生したり就労したりしてイギリスに住んで生活している。そういう日本人はとっても行動力がある。期限があるから、時間がないから、目一杯色んなことをして、色んなところに行く。そんな人たちを横目で見ながら、朝起きて、仕事行って、仕事して、仕事から帰って、ビール飲んで、夕ご飯食べて、テレビ観て、寝る、という日本にいる時とまったく変わらない生活をしていた。ロンドンにいる意味ある?と言われそうだけど、日本では経験できないことをたくさんできたので意味はあったと言えるだろう。
とにもかくにも英語を“上手に”話せるようになったということ。馬鹿みたいな理由だけど、本当に英語が“上手に”話せるようになりたいというただそれだけの目的のためにロンドンに来た。カラオケで“上手に”米津玄師歌いたいから家でいっぱい練習するやん?あんな感じ。Sing Like TalkingじゃなくてTalk Like Singingで英語を“上手に”話したいやん?そんな感じ。
渡英の目的を聞かれる度にこの返答をしていたら、もうちょっと具体的で高尚な理由が他にはあるんでしょうっていう感じで会話の間が空く。
Someone: Why did you come to London?
Me: For speaking English fluently.
Someone: ............ (and?).....
やっぱりロンドンだしアート系のファッション関係とか音楽関係とか建築関係トントントンとかさ。そんな目的がみんなにあると思ってるんだよね。ロンドンのひっぷすたー達はさ。ちなみにロンドンで宇多田ヒカル(大好きです)を見たことはない。ジュードロウは見た。スイスコテージにいた。
それとおそらく(自分で言うのもなんだが)早い段階で英語は“上手に”話すことができていたので、「もうロンドンに来た目的達成してるやんけ。ほんでその英語力活かして何すんねん?」の間だったんだろう。
それが問題だった。
本気でそれ以外の目的がなかった。
日本にいる両親や友達にはそれとなく聞こえるために「日本に帰ってきた時に英語力を活かした仕事をするため」なんて言ってたけど、結局今も日本に帰国していない。「いつ活かすねん、その英語力」状態である。
目的もなく、期限もなく、ダラダラと過ごしていたら7年も経ってたっていう話。いや、目的はあったんだけど、「達成しちゃったらさあ次は何なんだ」で気づいたら7年経ってたって言う話かな。光陰矢の如し。
一応ずっと仕事もしてたし、税金払ってたし、結婚したしで、そこはかとなく色々あったんだけどどれもこれもそこはかとな過ぎて。
そんなこんなでロンドン在住歴も5年も過ぎると英語が“上手に”話せたところで誰も褒めてくれなくなったので、今度は「フランス語を“上手に”話せるようになる」のが新たな目的になった。なので今はフランスに住んでいる。
繰り返すよねー、学習しないよねーとならないようにフランス国内の旅行はイギリスにいた時よりも積極的にしようと思う。すでにフランスには2年ほど滞在しているので色々行ったような気がしないでもない。
そんなことよりもまずは仕事しないと。でも現在有効のビザがもう直ぐ切れる。更新には移民局の許可が必要なのに連絡が来ない。何度かこちらから連絡したけど「待て」の一点張り。ロンドンの生活なんてカワイイものだったな。(遠い目)
英語でよく It doesn’t make sense.「意味分からへん。」って使うけど、フランスでは Nothing makes sense.という気持ちで胸がいっぱいだ。フランスでのビザ取得の紆余曲折に関しては長くなるのでまた今度。私の場合特殊なルート過ぎて(イギリスからフランスという当時はEU圏内での移動)日本からフランスに来られる方にはまったく役に立たないと思うが。
最後に、ひたすら“上手に”とクオテーションマークをつけたのは、上手かどうかを決めるのは個人差の極みだから。私にとっての「英語が“上手に”話せる」の基準は小難しい論文を読めることでもなく、使い道不明の単語を覚えることでもない。英語で何不自由なく生活できて(公共交通機関のインフラとかはまた別の話ね)、英語で楽しく会話ができて、自分の言いたいことは躊躇いなく伝えられて、イギリス人のように英語を発音できること。アメリカ英語とイギリス英語の違いの手っ取り早い聞き分け方は、”a bottle of water”と言ってもらおう(誰に?)。当たり前だけどイギリス国内にもたくさんの方言(dialect)があってとても魅力的だ。気分によってちょっとポッシュに喋ったり、ちょっとヤンチャっぽく喋ったりできると英語も話してて楽しくなる。イギリスでのdialectに関しても長くなるのでまた別の機会に書きたい。
noteに寄稿している海外在住の日本人の方々のようにタメになる文章を書ける気はしないが、フランスでもニートになれるんだよってことを知ってもらえたら嬉しい。世界一タメにならない情報をこうやってネット上に公開できるよう尽力していきたいと思う。
これが私の生きる道。
「これが私の」って打ったらもう衝動的にこうなったので、ここで締めます。
素敵な1週間をお過ごしください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?