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算数セットより百玉そろばんを。

 算数セットってどうなの?って、小1の授業に同席するたびに思ってました。(この春まで公立小学校で支援員をしていました。)

良くない点

1.遊びたくなる子、多数。
 花型のおはじきとか、マグネット入りの数ブロックとか。遊ばないで!ってほうが土台無理です。授業のたびに、先生の話より目の前の色とりどりのセットが気になって、つい触りだすと、「今、音立てたの誰!触ったの誰!」って先生の怒号が飛びます。
 先生を責めたいのではありません。わたしが同じ立場で、30人相手に授業しなきゃならなかったら、たぶんわたしも同じようにするでしょう。

2.そこそこの値段の割に、すぐ用済みになる。
 小学校入学時点で、一桁の足し算、引き算が出来る子は、普通の公立の小学校でも相当な割合でいます。そのうち、繰り上がり、繰り下がりの計算が入ってきますが、勘のいい子はあっという間に覚えます。もう、その時点で、おはじき、ブロックなどがいらなくなります。
 そして、昔より算数セットのアイテムが増えていたりするのですが、全部を授業で使い切っているわけでは当然なくて、手つかずのアイテムもあったりします。

3.細かいパーツ多過ぎ。
 狭い机の上から転がり落ちる。なくしやすいから、学校で揃えて毎年入ってくる子に使わせるということが、非常にしにくい。(学校で揃えたら?という議論、昔からありますけど、一向に実現しませんよね。そもそも小さいのが多くて、なくしやすのです。そして、新一年生は必ずセットを買う羽目に。)

 色とりどりで、子供心をくすぐるから、もし、これで授業中でも休み時間でも自由に遊べるんだよ!っていう話なら、わたしは反対しないんです。遊ぶの大いに結構、どんどん自分で動かして、自由に遊んで、数や形の理解を深めてほしい。
 が、実際はそうではないのです。授業中に、先生が指示を出して初めて出していいもの、だし、先生の指示通りに動かすもの、なわけで、勝手にいじろうものなら、まず先生に怒られます。

 以上は、地方の公立小学校の通常のクラスでの話です。

 標準的な子でも、目の前に面白そうなものがあって遊びたいのを我慢しなきゃならなくて辛いのに、先生の話を聞くのが苦手な子、じっと座っているのが苦手な子は、もっと辛いです。大抵そういう子は、発想が豊かなので、いろんな遊びを思いついてしまうんですね。
 先生の目を盗んで、マグネットの入ったブロックを机の下にきれいに張り付けて、わたしの方をみて、にま~って笑った子がいました。
 教えてもいないのに、数え棒の端と端をくっつけて、立派な建物を作り上げた子もいました。あまりに上手だったので、誉めてあげたいくらいでしたが、それは計算の授業中。当然のことながら、先生に怒られることになってしまいました。

 皆さんは、「百玉そろばん」を知っていますか。(冒頭の写真がそれです。)公文でも学研からでも出てるし、イケアでも買えますよ(^^)。
 昭和な私は知らなくて、もちろん使った覚えもないのですが、わたしは、自分の子が数に興味を持ち出したころ、百玉そろばんの存在を知ってすぐに子供に買いました。
 目の前に100個の物(そろばん玉)が、実際にそこにあって、目で見えている、というのがいいですね。
 100個の物があるということは、答えが100までの計算なら、足し算でも引き算でも、実際に玉をひとつずつ数えながら、自分なりに確認しながら出来るわけです。
 100までの二けたの繰り上がり、繰り下がりがわかるようになれば、このあと、桁が増えたって、あとは楽なものです。
 そして、バラけないのが、イイ!
 百玉そろばんでも、まあ、授業中に遊んでしまう子はいるでしょう。でも、少なくとも、バラバラにはならないし、なくさないし、狭い机の上からころがり落ちるとか、なくす心配とか、本筋以外の他のことに気を散らさなくて済みます。
 1台高くても2000円くらいのものでしょうが、ひとたび学校で相当数を揃えれば、相当長い間、毎年入ってくる一年生で使い回せます。あと、時計は必要と思いますが、それも学校で揃えればいいのです。百玉そろばんと時計、それだけで十分だと思うんですが、いかがでしょうか。
 あっという間に必要でなくなる教材を保護者は買わなくて済みます。

 そもそも私が自分で算数セットを使っていた頃、もうかれこれ半世紀も前ですよ!その頃から、大して中身が変わってない、ということに驚いてしまいます。
 それほど学習効果の高いものなのでしょうか?よくよく検証してみたほうがいいと思います。
 単に教科書に沿っているというだけで、毎年たぶん日本全国の公立小学校のほとんどの一年生が 買わされていて、なんというか、文科省と教材業者が仲良く癒着してるとしか思えない(笑)。
 ぜひ検討してみてほしいです。「算数セット、あれいらないわー」っていう保護者、結構多いと思います。

 まあ、わたしは自分で授業してないので、自分で観察したまま考えたまま勝手なことを言ってしまうのですが、どうでしょう、ぜひ現場の先生方のご意見もお聞きしたいところです。
  

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