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その酸味が邪魔!!

むか~し、昔は、お酒は無色透明が良しとされていて、黄色く色づいたお酒はよろしくないとされていました。
お酒が熟成すると、だんだん黄色み帯びてくるんです。つまり、古いお酒という意味。
お猪口に蛇の目という、青い二重丸が描かれているものがありますが、あれは、黄色の反対の色の青色で模様を描くことによって、お酒の透明度や、色身を見やすくしてるんですね。

今は、熟成酒、古酒というジャンルが確立されているし、技術が進歩したのもあって、必ずしも、黄色み帯びていても、悪いお酒ではありません。

それと似たような立ち位置にあるのが酸味でした。
お酒を造る過程で上手くいかなかった時や、劣化によって乳酸菌や酢酸菌が増えてしまい、酸っぱく感じることからなのですが、今では、酸味は甘さと結びつくことで、甘味のアクセントになったり、苦味と結びつくことで爽やかさを生んだり、軽やかさに貢献したり。重要な要素の一つになっています。

が!

日本酒にとって、夏はある意味オフシーズンでした。
味わいが変わりやすい日本酒にとって、温度や光の影響を受けやすい状態は向かなかったのです。特に、繊細な生酒なんて、ありえない状態。
でも、今は、製造技術、保存技術、運搬方法の向上によって、夏酒生なんて売られています。

となると、日本酒を造る側も、それに合わせた設計をするようになります。
人の好みも、季節によって変わります。
夏と冬を比べると、夏は軽いお酒が好まれる傾向があるし、爽やかさや、きりっとしたお酒が恋しくなる。
そこで、持ち出されるのが酸味。
酸味は爽やかさや軽さを演出するので、引っ張りだこになるのです。

でも、思い出してほしいのです。
酢の原液を吞みたい人ってどれぐらいいるかな?って。
レモンをまるかじりしたい人ってどれぐらいいるかな?って。
そう思うと、酸味って、何かと一緒に存在したり、バランスの良さを求められるんじゃないのかな?と。
勿論、日本酒の酸味の種類にも寄りますが、酸味がとがっていたり、強すぎると、かえって邪魔なんじゃないかなと。

同じことは、牡蠣等のシーフードとのペアリングを想定したお酒にも思います。
牡蠣をはじめ、シーフードと酸味は相性がいい。
でも、これも加減っていうものがあると思うんです。
それと、アヒージョのようなものには、酸味は良いのですが、牡蠣フライや生牡蠣など、調理法によっては、既に酸味が添えられているものもある。
そこに過剰な酸味っているんだろうか?って。
お酒の酸味と、食材の酸味は喧嘩しないんだろうか?って。

ってなると、夏だから酸味!シーフードだから酸味!
っていうのは、ちょっと違うんじゃないかと。

食中酒として…というのが前提だとしても、吞む方からすれば、食事と合わせても美味しくて、そのまんま飲んでも美味しいのが理想。
そう思った時、酸味のタイプにもよりますが、尖った酸味(酢のような味のお酒)って吞みたいかなぁって。

すっぱいもの大好きな私でも、過剰な酸味を味わうぐらいなら、いっそ料理や食材に酸味のバランスを取ってもらって、それと相性の良いお酒を合わせる方が良い気がするのです。





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