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鎮守の森の思い出
Facebookには、過去の同じ日の投稿をお知らせしてくれる機能があります。
その中に、今年閉店した、東京 四谷三丁目(荒木町)に在った、鎮守の森にお邪魔した時の投稿がありました。
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呉の酒友さんが、長期出張で東京にいある間に、是非、一緒に行きたいと思っていた鎮守の森。
以前、荒木町の名案内人・谷梅さんに、この店に連れてきていただいたときに、この店で魅せられた日本酒の面白さを、好奇心旺盛な彼に味わってもらいたかったのです。
1杯目は秘密のお酒。発泡力が凄く、お店の方が2人で、必死になって開栓しておられました。
どこかで呑んだことがあるお酒なのですが、記憶にある味わいより、更にミルキーな感じ。その味わいを邪魔しない料理の味付けと桜エビの旨みが、お酒と一緒に春らしさをふわっと膨らませます。ほうれん草も心地よい(^^)
2杯目は広島のお酒、馬上酒造の大号令。
広島で一番小さな蔵で、今では珍しくなった昔ながらの道具を使い、しーんとした熊野の山の中で、夜な夜な一人で酒の番をしながら醸されています。社長と同じで優しく膨らみ、真面目な味わい。
『このお料理には、2通りのお酒の合わせ方があります、一つは…。』と竹口さんが丁寧に説明してくださった通り、
これが、旨みがたっぷり含んだお味噌をのせたふろふき大根と合わさると、少しはにかみ屋な馬上社長が笑顔を見せたときのように、ふわ~と華やぎフルーティ。
3杯目は富久錦 純青 愛山 生もと純米吟醸生原酒。
これをバジルの入ったポテトサラダと一緒に。プチしゅわ感があり、フルーティーでジューシーな味わい。グラスも香りを楽しむことや、お酒とポテトサラダのバジルの味わいの着地点を計算された形状のグラスで。
4杯目は、私たちの愛する呉のお酒、華鳩。
貴醸酒が有名ですが、無濾過生原酒シリーズの旨さについて、店主を交えて盛りあがりました。それにしても、この吟のさとが、アサリの酒蒸しとこんなに合うとは!
5杯目は、秋田のお酒、酔楽天。
華鳩や龍勢を好む私には、このお酒の膨らみを楽しむタイプのグラス、そして酒友には、すっきり味わえるように2つのグラスを用意。
夏からの看板メニュー、泉州の水なすの刺身を、広島県、竹原の昔ながらの天然塩で。
ふっくらとしたグラスでは、水なすは塩をアクセントとして甘みが膨らむじゅーしさを、細身のグラスでは、爽やかなジューシーさを楽しむことができました。
6杯目は、これまた私たちの愛する呉のお酒、白鴻。
これは57度と少し高めの温度で燗をした後、お燗タージュの技を見せてくれました。海老味噌をちびりちびりとしながら、ゆっくり話やお酒を味わう心地よさ。
7杯目は、新政。
これはグラスと合わせたお料理のケイパーがあるかないかがポイントで、ケイパーをくるんで食べる時は、グラスの平たい部分を、外して味わう時は角を用いてお酒を楽しみます。お酒がどのように流れるかで、味わいの変化と料理の相性を楽しむのです。
8杯目は、再び華鳩。
無濾過生原酒3種を、竹口さんがその場でブレンドしてくれました。こんな呑み方はしたことがなく、私が知らない華鳩がここに。
9杯目は、私も大好きな米宗の純米大吟醸、生酛無濾過生原酒。
酒友リクエストの麻婆豆腐と春の看板メニュー桜餅グラタンで。しっかりした酒質に心地よい酸が、麻婆豆腐の辛味を受け止め、桜餅グラタンでは甘さと香りと戯れるようで、酸が心地よく流れて行きました。
それにしても、竹口さんの計算されつくした芸術的な技は凄くて面白い。
ただ、美味しい日本酒を呑むのも悪くはないけれど、サーカスや遊園地にいるかのように、ワクワクさせてくれる。
そんな体験を、大事な友達と一緒に楽しめて、とっても楽しいひと時でした。
(2017年4月27日)
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日本酒って、ちょっとしたことで味わいが変化する、面白い飲物なのです。
このお店は、そんな日本酒の魅力を、マジシャンみたいに魅せてくれて、体験できるすてきなお店でした。
今は、お店は閉じられましたが、別の所で、野菜料理と日本酒や日本のワインを合わせたレストランを開かれているよう。
また、お邪魔したいなぁ。