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そのまま連れていく
どこから話したらいいんだろうな?頭はいつもにぎやかで、誰の話から聞いたらいいのかすぐには分からない。最初は全部が混ざって見えて、たくさんの声がいっぺんに聞こえて、聞き取るのは難しい。体の調子が悪いような気がしてきて、ちょっとしんどい。じっとしているしかない。
体を整えて耳を澄ます。全部でどれだけあるのか、広がる限り広げる。みんな声を出して。聞こえているから。ここにあるよ、ここにいるよって分かるように知らせて。うん。そう、そこから、ひとつひとつ、拾っていくよ。ひとつひとつに触れていく。確かめる。よく眺める。隅々まで。よし。
たくさんあると嬉しい。全部がわたしのものだ。いいなあってきもちでよく眺める。そしたら必ず誰かと目が合うから、話をする。顔を見る。
顔をよく知っているひとと接するのがやっぱり安心する。何を思っているのか。わたしから、どんな言葉を聞きたがっているのか。よく教えてくれるし、よく聞いてくれる。顔をまだよく知らないひととは、少しずつ。大丈夫、一度見たら覚える、忘れない。わたしはいつでもみんなと話したい。顔を覚えたらもう、他のひとたちと同じ、もう仲間だ。
よく増える。絶えず増える。たくさんあるのは本当にいい。楽しい。足りていない状態で進めようとするとちょっと無理が出る。疲れる。でも大体後からちゃんと揃ってくる。一旦離れたり戻ったりして、何度も掛け合ってやっと通じることもある。ここを通しておいてよかったなと思えると嬉しい。
嬉しいんだよ。頭の深いところまで手を入れると、とてもきもちよくて嬉しい。そこにあることを見逃さない。すっかり話してしまいたい。
寂しくても、誰も愛さなくても、わたしが連れていくよ。
自分が嬉しいと感じることはとても大事だ。生きていると感じる。わたしはみんな生かしたい。みんなが嬉しいのがいい。あなたも嬉しいのがいいよ。
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