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手の話

ほんの少しボタンを掛け違えただけで
簡単に一生会えなくなる
なんて事が普通に起こり得るのがネットだよね

文字に感情も私情も乗せにくい
文脈を解き違えばずっと重たくのしかかってくる
解釈に釈が入ってる事に何となく納得する

人の好きなところ、なんて言う
ちょっとむず痒くなりそうな事を考えていた
好きになった人が好きなんてよく言うけど
もっと本質的な所

声、匂い、笑顔、体温
性格、信念、もっと深い満たされない穴
小さな頃の失敗やコンプレックス
その人を作って来たものに
絶対に立ち会えないその瞬間に思考を馳せる

人に優しく出来る人は
傷ついた事がある人だと思う
反対に人を騙せる人は
人の優しさをちゃんと知っている
表裏一体悲喜交々
強い人が弱くないわけないし
弱い人の中に強い物がないわけじゃない

思考がくるくる舞ってきたけど
手の話しがしたかったんだった

手を繋ぐのが好き
人の手が好きだと思う
何かを成すために一生懸命働いている人の手が好き
文字を書いたり絵を描いたり
音を鳴らしたり仕事をしたり
何かをする為に必ず伸びてくる
二本の腕と十本の指
小さな傷等を見つけた日には
どんな傷だったのかほわほわと心が思考に飲まれていく
おぎゃあと産まれていつでも前に前に
何かを掴もうとしてきたその手が傷ついたのは
どんな時なんだろう
何が欲しかったのかな

手の話で大切にしている小説を思い出した

岩井俊二/リップヴァンウィンクルの花嫁

毎日私が生きる為に何人の人の手が働いてくれているんだろう
下らない連絡を返す為にフリックをしているその指が
頭を撫でてくれる手が
とても愛しいと思う

目は口ほどに物を言う
手は心より伝えてくる

医療が発達した今でこそ使わないけれど
昔の手当ては本当に患部に手を当てていたそうな
伝わる物が確かにあると思う

暖かくて柔らかいものは強いね
おやすみ

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