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ミラーマッチを攻略せよ!URデルバーの「見」

0.はじめに

こんにちは、マジックやってますか?
東京でマジックをやっている「くりたくん」です。

前回はモダンでしたが、今回はレガシー記事を書きました!
「ラガバン」禁止になってから暫くやっていなかったレガシー。久しぶりのプレイ備忘録です。

復帰当初は「ハンマータイム」を使って遊んでいたのですが、友人に「現実を見ろ」と諭され、12月のエターナルパーティ東京と1月初旬の第21期レガシー神決定戦ではURデルバーを使いました。
使用期間は1~2か月ですが、良き友人に恵まれ質のいい練習が出来たので、この期間に練度はかなり上がったものと自負しています。
今回はそこで得たノウハウのうち、特にミラーマッチに勝つために大事なことををまとめました。
ややニッチな記事になりますが、良ければご覧ください。

2.ミラーマッチの共通認識

2-1.デルバーはクロパに非ず

古来より、デルバーはレガシーを代表するクロックパーミッションデッキとされてきました。ただひたすら序盤戦に強く長いゲームはやや苦手とされてきました。しかし令和に入り、様々な継戦手段を獲得したデルバーは、クロパという枠組みを超え、あらゆるレンジで勝負が出来るグッドスタッフデッキに進化しました。
かつては《レンと六番》、《夢の巣のルールス》、《王冠泥棒、オーコ》、《戦慄衆の秘儀術師》が、いまは《表現の反復》がその役割を担っています。

一時代を築いた悪魔たち

昔からこの役割のカードは真っ先に対処しなければならないとされてきましたが、《表現の反復》もこれらと同様に看過できない存在です。
このカードを何回通したか、このカードを何回打ち消したかが、ミラーマッチの勝敗に直結します。

2-2.強いカードと弱いカード

デルバーのミラーマッチでは、強いカード、弱いカードが明確に存在しています。
強いカードは《相殺》《表現の反復》《紅蓮破》《濁浪の執政》《不毛の大地》
弱いカードは《意志の力》《目くらまし》《厚かましい借り手》です。

強いカード


弱いカード

厳密に言うと、《濁浪の執政》と《厚かましい借り手》はメインとサイドで大きく評価が変わるのですが、概ねこんなもんでしょう。
強いカードを強く使い、弱いカードをどこまで弱く使わないか、を意識してください。

2-3.サイドボーディング

サイドボード後は先述の弱いカードを減量して、強いカードを追加します。
良くある形は以下の通りです。

サイドアウト
サイドイン


《意志の力》は1:2交換が致命的になりやすいので全てアウトします。《目くらまし》は2枚程度残します。《表現の反復》や《紅蓮破》を再利用できる《神秘の聖域》より強く使うためです。

《厚かましい借り手》は1枚減らします。メインボードにおける《厚かましい借り手》は火力では触れにくい《濁浪の執政》を押し戻すためのカードでした。サイド後、《紅蓮破》の増量に伴ってやや役割の被る《厚かましい借り手》は1枚に抑えます。

入れるカードは《紅蓮破》、《赤霊破》、《水流破》、《相殺》です。
《紅蓮破》はマスカンを巡る攻防の要となるので、残枚数を気にしつつ大切に使っていきましょう。
マナ域が同じデッキで使う《相殺》は最強です。目先のカードに釣られずに「捲らない」ことも時には大切になってきます。うまく使えば《Time walk》になりますので、簡単に割らせないように立ち回りましょう。

3.ゲームの進行

3-1.メインゲーム

メインゲームは3つのステージに分けられます。


①1st Stage
土地周りと軽量クロックを巡るゲームです。
一方が《秘密を掘り下げる者》《ドラゴンの怒りの媒介者》を展開し、もう一方が除去呪文でこれを処理します。
双方これと並行して土地をしっかりと探さねばならず、この段階で《不毛の大地》が刺さって、そのままゲームエンド、なんていう展開も珍しくありません。
このステージで土地が止まることは死に直結するため、除去と土地探しを迷ったときには必ず後者を選択するようにしましょう。

②2nd Stage
序盤の立ち上がりの応酬を抜け、土地が延び始めると、ステージは《表現の反復》を巡るアドバンテージゲームに移ります。
ミラーマッチでもキーカードとして位置づけられている《表現の反復》、撃った回数がそのまま勝利に直結するとも言われています。
このカードを唱え合い、消し合う事で次のステージで使うカードをかき集めます。
《表現の反復》を唱えた回数が1回少なかったがために、続く3rd Stageカでード一枚分足りなくて負け。なんてことも珍しくありません。ひたすら力を溜めます。

③3rd Stage
ポッと出たクロックとビッグパンチャー《濁浪の執政》を巡るゲームです。
「デルバー」は1:多交換を苦手としているため、《表現の反復》で付けられたアド差をそのままクロックに置換されると捌ききれずに押し切られてしまいます。
ですが、《濁浪の執政》だけは別です。驚異的なサイズで盤面を圧倒し、1~2枚程度のアド差であれば、簡単にひっくり返すインパクトがあります。
《濁浪の執政》に除去呪文を撃たれるときには、できるだけ1:2交換ができるサイズで出すことを意識してください。
手なりで使った《濁浪の執政》を処られて負けた日には夢に見ること間違いなしです。

「《邪悪な熱気》には気をつけろ。」

3-2.チータータイプの優位性

メインボードに一部の強力なメタカードを搭載した構築、いわゆるチーター型についてお話します。昨今のチーターデルバーは、《紅蓮破》の多投や《相殺》のメイン投入が主流です。一部のサイドカードをメインから使用することで、一人はメインボード、もう一方は半サイドボード後の状態となるため、ミラーマッチのメイン戦において圧倒的な優位に立つことが可能です。
《相殺》は特に②のステージで活躍します。相手は、《表現の反復》で稼いだリソースを吐き出してでも全力で止めに来ます。ここでまたリソース差がつくため、例え打ち消されたとしても③で競り勝つ事ができるようになります。

自分がミラーマッチのメインゲームを②のステージでの応酬が苦手でマッチを落としやすいと思う人は、この形に寄せに行ってもいいと思います。ただし、メタゲーム上には、白単イニシアチブのようにこれらが効かない相手も存在するので、無駄牌が増えてしまうリスクは勘案する必要があります。

4.サイドゲーム

先述のボードを行い、双方デッキが最適化された状態で始まるサイドゲーム。ここを制する者がミラーマッチを制します。
私のサイドゲームの印象は、「大きな流れはメインゲームと変わらないものの、②が異様に長く続き、《濁浪の執政》まで到達することがかなり少なくなる」です。もちろん①の時間も存在し、その中でライフを詰め切ってゲームが終了することもあるのですが、体感半分以上はロングゲームになってしまいます。つまりロングゲームを制する者が、ミラーマッチを制するという事になります。

4-1.ロングゲームのプレイ方針

例えば以下の手札、あなたが後手の場合、どのようにプレイしますか。
・相手7枚キープ。《沸騰する小湖》ゴー。
・《秘密を掘り下げる者》、《ドラゴンの怒りの媒介者》、《濁浪の執政》、《思案》、《紅蓮破》、《Volcanic Island》、《沸騰する小湖》

後手1T、あなたなら何をプレイする?

打点が高い《秘密を掘り下げる者》からプレイ?次ターンに掘れる枚数が増えるよう《ドラゴンの怒りの媒介者》から?除去呪文を探して《思案》をキャスト?
私の場合はいずれでもありません。セットランドしてパスです。
この状況で一番危険なのが、エンドブレスト→返しのターンに《相殺》着地、もしくは、こちらの生物に《稲妻》が当たり、そのまま返しに《相殺》着地です。
この状況においては、クロックの追加は致命的な一手になりえないため、相手の脅威を《紅蓮破》で迎え撃てるよう赤マナを立たせるという判断です。これは何もこの例に限った話ではなく、「何もしない」という一手を取り続けることが最善手になることは珍しくありません。

私は、適切なタイミングで、この「何もしない」という択を取ることこそがミラーマッチの精度を上げる鍵になると考えています。
上記の例でいくと、このまま「見」の状態を維持し、同じく2T目の終了時にブレストフェッチでクロックを山札に戻すことが自分のファーストアクションになると思われます。
常に相手の脅威に対して1~2マナが立っている状態で迎えることができる状況を作り出し、《紅蓮破》などで相手の2マナアクションをカウンターした返しにこちらの《相殺》や《表現の反復》を押し付けてやりましょう。
サイド後は、すれ違いでクロックを刻むのではなく、どこまで自分のアクションを我慢できるか、という忍耐勝負を目指してください。

仮に相手が1マナクロックを展開してきても焦らずゆっくりとドローソースを回すのです。除去やブロッカーを求めてドロースペルを切るのではなく、あくまで土地を探す過程で、勝手に見つかるというイメージです。
《紅蓮破》は《相殺》《表現の反復》《濁浪の執政》(こちらの濁浪で処理できない場合に限る)にだけ当てる意識を持ち、ライフに余裕がある限り、《秘密を掘り下げる者》は余ったスペルで対処してください。

4-2.《表現の反復》を強く使う

《表現の反復》は1枚を2枚に変換する、所謂《強欲な壷》として機能するカードです。追放領域から土地を置いても強いのですが、相手の脅威に触れるカード、もしくは相手に脅威を押し付けるカードを2枚に変換するのがより強力な使い方と言えます。そのため、《表現の反復》を使うときは常に受け入れが広い状態でのプレイを心がけてください。
例えば3T目のセットランド前には使わずに、4T以降に3マナが確保できた状態で唱えるなどです。
余談ですが、唯一《相殺》だけは《表現の反復》よりも価値があるカードなので、状況によっては《表現の反復》が釣り餌として使われることがあります。

4-3.《不毛の大地》を強く使う

ただ使っても強力なカードですが、その使い方ひとつでミラーマッチの勝敗を大きく変える1枚です。土地を延ばしあう中、全く逆の効果を持つ《不毛の大地》を上手く絡めながら、ゲームを優位に進めましょう。
私は、このゲームにおいて、《不毛の大地》には2つの役割があると考えています。
1点目は、相手が連続して土地を置けてないとき、相手を機能不全に落とし込む役割です。言うまでもありませんが、これが最も強力な使い方です。攻めているときの不毛は最強です。
ただし、相手の土地を枯らすと同時に相手の《不毛の大地》でこちらの土地が枯らされてしまう事もあるので、こちらの場にクロックが残る時か、土地差で優位に立てる可能性がある時に狙うようにしてください。

2点目はフルタップを作り出す、という役割です。
例えば、以下のような盤面があったとしましょう。

・相手 :《Volcanic Island》(UT)×3
・こちら:《Volcanic Island》(UT)×2
・手札 :《紅蓮破》、《相殺》、《不毛の大地》

この盤面での不毛は能力以上の働きをしない《不毛の大地》です。それ以上でも以下でもありません。

例えば、少し進んで以下の盤面であればいかがでしょうか。
・相手 :《Volcanic Island》(UT)×2、《Volcanic Island》(UT)×1、
 手札 :2枚
・こちら:《Volcanic Island》(UT)×2、
   手札 :《相殺》、Any
・墓地 :《相殺》、《紅蓮破》

相手の《相殺》《紅蓮破》で弾きました。次のターンのメイン1で不毛の大地を切って、メイン2には、こちらの《相殺》を安全に通すことができます。

こういった状況に持っていくため、安易に《不毛の大地》を切らず、”優位な状況を作り出すためのカード”として運用することが大切になってきます。
この他にも、《神秘の聖域》を誘発させるために切ったフェッチにスタックして、相手の《Volcanic Island》を潰す、《目くらまし》で戻されないタイミングで《神秘の聖域》自体を潰すなども、有効な《不毛の大地》の使い方になります。
《不毛の大地》を置いてすぐに起動している人も多いですが、一度起動するタイミングを考えてみると、これまでとはまた違った奥深さを感じると思います。

5.まとめ

4.の通り、私はゲーム開始時点からロングゲームを見据えた展開を心がけています。①をギリギリで凌ぎ、②で《表現の反復》を通して勝ちに行くというプランをゲーム開始時から念頭に置くことで、手なりでプレイしていた当初よりもプレイに一貫性ができ、勝率をグッと上げることができました。

この戦術は無名プレイヤーの私が考案したものであれば、そんなに信憑性があるとは言えないかもしれませんが、エターナルウィークエンド2022でtop8に輝いた「Urb(@mino_gen)」さん、同じく晴れる屋TC東京の強豪「そーま(@soma_ggbro)」から教わったものです。
東京のトッププレイヤーとも切磋琢磨する強豪プレイヤーが築いた指針ですので、信頼してもらってよいかと思います。
しかしながら、私も含め、実際には知らなかったというプレイヤーも多いだろうと思います。こういった一部地域の共通知が言語化され、インターネットを介して広がることで、新たな戦術等が生まれ、レガシー村の更なる発展に寄与できれば、と思っています。

さて、無料のお話はここまでです。
有料部分では、6.サイドボードを最適化しようとした話、7.サイドゲームのプレイ指針に関する補足、8.晴れる屋TC東京のプレイ指針のトレンドについてお話ができれば、と考えています。本文は本章で完結しているため、いずれも補足程度のお話になっています。ご了承ください。

また、完全な身の内話で恐縮ですが、今月末で、友人のそーま君が東京を離れることになりました。Noteの売り上げで少しプレゼントを豪華にできればと思っているので、カンパと思って買っていただけると嬉しいです。

それでは!

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