【N5小説】たい焼き屋さん
子どものとき、病院が大嫌いだった。
海がきれいな私の故郷には、大きい大きい病院があった。
あそこのお医者さんは、みんな怖い。
笑なわない。とても、怖い。
でも一つだけ、好きなところがあった。
病院のとなりにあった、小さな小さなたい焼き屋さん。
あんこ(red bean paste)やクリーム、
カボチャのペーストが入っていて、
どれもとてもおいしかった。
特に冬は、いつもよりおいしく感じた。
北海道の冬は寒いから、
ほかほか(onomatopée: warm)したたい焼きが、
とってもとってもおいしく感じた。
病院を頑張ると、母はいつもたい焼きを買ってくれた。
あのお店は、25年前くらいに無くなった。
また食べたいな、甘くて温かい、思い出のたい焼きを。