C向けアプリで世界1億DL獲得したシードスタートアップのエグい戦略 : Reface 🇺🇦
こんにちは、Yamazakiです。
Refaceはウクライナ🇺🇦 発のシードスタートアップでありながら、2020年8月にアメリカのAppStoreで総合ランキング1位 、他の国でもランキング上位に食い込みまくりました。
そして全世界1億DLに当時最速で到達しました。
同じように 日本 からグローバルにプロダクトを作る上でも参考になる事例だと思ったのでこの記事を書いています。
以下この記事の内容です
Refaceとは
ウクライナ🇺🇦 発のスタートアップで2018年に学生起業家出身のRoman Mogylnyi が、 Yaroslav Boiko, Oles Petriv と共同創業したスタートアップです。2020年12月に、a16zから6億円のシード調達をしています。
彼らは AI技術を使って顔交換の画像や動画が作成できるアプリ を提供しています。
レオナルド・ディカプリオやBTSなどの幅広いジャンルの有名人だけでなく、ユーザーがカメラロールから選択肢した写真にも顔を入れ替えることができるのが特徴です。
Refaceは2020年1月に公開され、2021年10月時点では世界100カ国以上で1億8000万回ダウンロードを突破しています。
ちなみに、Refaceが14ヶ月で1億ダウンロードを達成したスピード を他のアプリと比べてみるとスゴさが際立ちます↓
インスタグラムでも29ヶ月かかったところを Refaceは14ヶ月で達成しています。爆速すぎる。。。
そんな爆速成長の要因を以下の2点にまとめています。
Reface リリースから初動のバイラル
アプリを公開した当初はディズニープリンセスなど、アメリカの女性が親近感が湧きそうなキャラクターを中心に顔交換ができる仕様にしていました。
しかし、予想を遥かに超え、実際にそのコンテンツが刺さったのはアメリカ人女性ではなく、アジア人女性でした。
Refaceを用いて「ディズニープリンセスになってみた」というTikTokチャレンジが特にタイ🇹🇭 で爆発的に広がり、アプリを公開してから初めの3ヶ月で100万ダウンロードを達成しました。
タイの次はフィリピンへと広がり、次第に他のアジアの国へと広がっていきました。Refaceはマーケティングにはほとんどお金を使わず、新規顧客の90%は爆発的に増えたインスタグラムのストーリーやTikTokの投稿経由で獲得したユーザーでした。
その後アジアを超え、アメリカにまで広がっていったのですが、アメリカでRefaceが流行る初めの火付け役として 「憧れのVictoria Secret のモデルになれる」 顔交換動画がアメリカ人女性たちから人気を得ました。
★ CPIの概念を吹っ飛ばしたBiz Dev グロース戦略
リリース直後の勢いも凄かったですが、ここからの非連続な成長を成し遂げる打ち手もビビるほど美しいです。
従来のFacebook広告やTwitter広告を出してユーザーを中心に獲得するのではなく、Biz Devを使った綺麗すぎるユーザー獲得サイクル で10→100へのグロースを行なっていました。
実際にRefaceが行ったジャスティンビーバーとのBizDev駆動グロース戦略を共に紹介します。
↓ このnoteで一番大事な図です
少し詳しく図を説明すると
❶ BizDev活動 : ジャスティンビーバーの外堀から攻める
Reface のBiz Dev チームが音楽アーティストに直接交渉して、Reface内で本人たちのミュージックビデオを使わせてもらえないか 交渉します。
この際に使うのは、Reface を通じたコンテンツの拡散力です。Refaceで顔交換された動画はシェアされまくるので、アーティスト側にもメリットがある話です。
普通にBiz Dev活動を行なってもジャスティンビーバーとはコラボできないので、ジャスティンのマネージャーの Scooter Braun にReface社の株主になってもらい アプローチしました
❷ コラボ用の元動画を提供 : 当時の新曲 "Holy" のMVを獲得
ジャスティンのマネージャーが株主になったことにより突破口が見えたRefaceは、当時ジャスティン側がプロモーションしたかった "Holy" のミュージックビデオの一部を、公認で顔交換のネタとして使えるようになりました。
❸ ジャスティン本人がファンに向けて発信
無事Refaceと音楽アーティストとのコラボが決まると、音楽アーティスト側も乗り気なので、「Refaceというアプリで顔変換してみてね!」と自身のSNSで発信してくれます。
ジャスティンビーバーも自身のTwitterにて宣伝を行ってくれました。
❹ ファンが Reface をダウンロードし動画を拡散 : 第一波
ジャスティンのTweetの効果だけでも一気にダウンロード数が上昇しました。
ジャスティンの発信を見たファンがMVの "Holy" に自分の顔を載せた面白動画を作り、Instagram のストーリーになどにめちゃめちゃ拡散しました。
❺ ファンの友達の目にも届きバイラルが加速する : 第二波
ジャスティンファンが顔交換を試していてその結果が面白いので、自分も試してみようとバイラルの波が広がります。
結果として、 たったの5日間で "Holy" のMVを使って顔交換した動画をSNS上にシェアしたのは 36.5万人 😳😳😳
アプリのダウンロード数ではなくて、シェアした人数が36.5万人ですよ…?ハードルの高いシェアをこれだけ多くのユーザーが5日間という短い期間で行ったのは驚きです…
→ この期間で アメリカを含む各国のAppStore ランキングにて総合ランキング1位を獲得 しています。
❻ ジャスティンの新曲の認知Upとプロモーションにも成功
Memeネタのように作られた顔交換コンテンツがSNS上に溢れかえることで音楽アーティストは更に有名になり曲のヒットにも貢献します。
YouTube上で、ジャスティンの "Holy" のMVは再生数1.8億回を突破しています。
ジャスティンの事例で当てはめたBiz Dev グロース戦略
従来のバイラルマーケティングと異なる点
従来のC向けアプリはユーザーがバイラルの火をつけてくれて突然バズることがありましたが、サービス提供者側は
① 自然発生的なバイラルタイミングが読みづらい 😭
② 再現性を持ってバイラルを作り出すことができない 😭
課題を抱えていました。
しかしRefaceは Biz Dev で継続的にアーティストとコラボ動画を出すことで、🔥人工的に再現性を持ってバイラルを生み出すことに成功🔥 しました。
もちろん Reface アプリそのものが面白いのでバイラルが起きやすいし、1度バイラルの火がつくと広がりは早いのですが、超大物芸能人を掛け合わせるとまさに鬼に金棒でした!
音楽アーティスト以外でも使える汎用性
先程の例は音楽アーティストの事例でしたが、もう1つの映像コンテンツの宣伝として使われた事例も存在します。
アマゾンプライムで公開された映画「Borat 2」のプロモーションキャンペーンとして、映画公開前に主人公であるBorat(ボーラット)とRefaceで無料で顔交換できるコラボを実現しました。
ボラットはキャラクターとして英語圏でMemeとして多く流通指しているので、顔交換動画のシェア数は驚異の74万回。。。
キラーコンテンツとRefaceの相性はもはや疑いようのないプロモーション手法に思われます。
この様に、持ち前の拡散力の高いプロダクト特性を活かして、有名なアメリカのアーティストやコラボし、彼らのMVなどをアプリのコンテンツにすることによってファンや若者層の話題の中心となりました。
アメリカでヒットしたことによってヨーロッパやラテンアメリカにも自然とRefaceが広まり、更にマーケットを広げることに成功しました。
まとめ
私自身、実際に同様のアプリで競合としてReface🇺🇦と戦ってきたのですが、この戦略をやられた時は、「この手があったか…」と呆然と立ち尽くすことしかできなかったです….
シードスタートアップとして、CPIがxxx円でyy件のDLを目指すというような常識を吹き飛ばしてグロースに成功した事例として誰かの役に立てたら幸いです。
参考記事一覧:
https://ain.ua/en/2021/04/28/marketing-at-reface/
https://ain.ua/en/2020/08/27/reface-tops-app-store-charts/
https://www.epravda.com.ua/rus/publications/2021/02/10/670870/
リサーチ:hanaka.saito
編集:@macyamazaki_