第5話「揺れる心、燃え上がる炎」
【ヘリオスステーションの危機】
宇宙に浮かぶUFAの重要拠点「ヘリオスステーション」は、IRFの精鋭部隊の奇襲により、陥落寸前に追い込まれていた。その最前線には、専用機「ヴァルザークカスタム」を操るゼインの姿があった。
「ここを落とせば、UFAの戦力は大幅に削がれる。俺の腕で確実に仕留める。」
ゼインの圧倒的な操縦技術は、UFA防衛部隊を次々と撃破し、基地内部にまで侵入していく。残存部隊は防衛線を維持しようと奮闘するが、状況は絶望的だった。
そのとき、一筋の閃光が戦場を駆け抜けた。
【エクリプス・レイヴァーの登場】
戦場に現れたのは、漆黒と赤のコントラストが際立つ新型機「エクリプス・レイヴァー」。その操縦席に座るのは、レオン・ヴァイスだった。
「ゼイン……これ以上は行かせない!」
ゼインは一瞬、新型機の姿に驚いたものの、不敵な笑みを浮かべる。
「なるほど、これは楽しめそうだ。」
エクリプス・レイヴァーとヴァルザークカスタムの激しい一騎打ちが始まる。戦闘の中で、レオンの脳裏にはエクリプス・レイヴァー完成までの出来事が浮かび上がっていた。
【回想:エクリプス・レイヴァーの開発経緯】
ダリウスの死後、アポロンが整備班に提案した「イグニス・ストライダーとエクリプスフレイムの融合計画」。
「ただの修復ではない。この計画は、ダリウス中尉の意思を新しい形で生かすためのものだ。」
整備班は、ダリウスの乗機だった「イグニス・ストライダー」のパーツを徹底的に修復し、それをエクリプスフレイムのフレームに融合。さらに、ダリウスが愛用していた「イグニスランス」は強化改造され、「エターナルランス」として蘇った。
「この機体には、俺たち全員の想いが込められている。」整備班の言葉に、レオンは静かに頷いた。
「ダリウス……お前の魂を、この機体で生き続けさせる。」
【アリサの告白】
基地内で、アリサがレオンに告白する場面も脳裏に浮かぶ。
「レオン、私はあなたのそばにいたい……どんなに辛い戦いでも、一緒に。」
レオンは彼女の真剣な眼差しに戸惑いながらも、素直に答えることができなかった。
「俺には戦うことしかできない。そんな俺と一緒にいて、幸せになれるのか……?」
アリサは微笑みながら、優しく言葉を返す。
「私は幸せを求めてるんじゃない。ただ、あなたと同じ未来を見たいの。」
【回想:リアナがIRFに加入した理由】
戦闘中、レオンの心には、戦場で目にしたリアナの姿が焼き付いていた。
「どうしてリアナがIRFに……?」
彼が知らないのは、リアナがUFAを離れ、IRFに身を投じた背景だった。
幼少期、リアナは父がUFAの秘密作戦中に命を落としたことを知る。だが、真相を調べる中で、それが単なる事故ではなく、UFA内部の利権争いによる裏切りの結果だったことを突き止める。
「UFAの掲げる正義は偽りだ……。」
信じていた組織に失望したリアナは、真実を知るため、そして新たな正義を追求するためにIRFに加入したのだった。
「私がここで戦うのは、UFAに対する復讐じゃない。自分の正義を見つけるため……。」
しかし、現在のIRF内での立場も複雑で、上官からの圧力や執拗な干渉を受け、前線への出撃を禁止されていた。
【ゼインとの決戦と勝利】
戦闘は激化。ゼインの技量に押されながらも、エクリプス・レイヴァーの性能を活かしたレオンが、徐々に戦況を優位に進める。
「お前がどれだけ強くても、俺たちの想いを背負ったこの機体には敵わない!」
レオンはエターナルランスでヴァルザークカスタムの装甲を貫き、ゼインを追い詰める。ゼインは機体の損傷を察知し、撤退を決断。
「面白い。次こそ、お前を倒す。」
ゼインの撤退により、ヘリオスステーションは守られた。
【戦いの後】
帰還したレオンを迎えた仲間たちの中で、アリサはその無事に胸を撫で下ろす。一方、レオンの心にはリアナの存在が引っかかっていた。
「どうして彼女が敵側に……? 彼女が本当に戦いたかった理由って……?」
一方、IRF基地では、リアナが再び上官に呼び出されていた。彼女の胸には、自分の選んだ道への迷いと、戦場で見たレオンへの複雑な感情が渦巻いていた。
【次回予告】
「ヘリオスステーション防衛戦の勝利。しかし、リアナの迷いとレオンの疑念はさらなる波紋を生む――次回、『決意の影、未来への扉』。戦場に隠された真実が、徐々に明かされる!」