コメ不足や豪雨による生活者の反応は?定点観測データで消費動向を読み解く
3連休が2週続き、消費への好影響が期待された9月。一方で、コメ不足や豪雨、台風などの気象影響も多く受けました。ウイークリー生活者定点観測調査「Macromill Weekly Index」から、9月の消費動向や生活気分などのマインドを読み解きます。
今回から毎月の消費トレンドについて読み解く当コーナーをスタートします!分析担当者は、マクロミル・グローバルリサーチ・インスティテュート シニアフェローの熊谷信司です。
個人消費金額は3週連続で17,000円台、秋の行楽シーズンは好調な滑り出し
9月第1週目の「1週間の個人消費金額」は15,656円で、8月の水準を下回りました。夏休みが明けたことや、台風10号の影響で全国的に天候不順だったことが影響したと考えられます。9月第2週以降は3週間連続で17,000円台となり、夏休みシーズンの8月と変わらない水準で推移しました【図表1】。3連休が2週続いたこともあり、秋の行楽シーズン消費は比較的活発にスタートしたと言えそうです。
米の値上げ、実感者の割合が過去最高の73%
9月は米の値上がりや在庫不足などの「コメ不足」が多く報じられ、消費実感にも強く反映されています。8月第1週の段階でも、既に45.8%の人が米の値上がりを実感していましたが、その割合はさらに上昇。9月第2週には72.6%と調査を開始して以来の最高値まで急上昇しました。新米の流通なども始まり、第3週目からはわずかずつですがスコアは低下を始めました【図表2】。多くの日本人の主食である米の価格の影響はかなり大きかったことがうかがえます。他方で、米以外の主要品目の値上がり実感は比較的横ばいでした。
能登半島豪雨や台風等で、生活者の気分「憂鬱」「不安」「悲しみ」が上昇
生活者の「1週間の気分」を振り返りましょう。7月下旬からはパリ五輪が始まり「わくわくした」が上昇。8月はお盆休み時期を中心に「楽しかった」が30%を超えるなど、ポジティブ気分の高まりが見られました。その一方で、8月からは地震や台風のため「不安だった」「憂鬱だった」が高まるなど、ネガティブ気分も上昇しました。全国的に台風の影響が強かった9月第1週には、「不安だった」が「楽しかった」を上回るなど、生活者の気分にも大きな影響をもたらしました。その後はポジティブさが盛り返してきましたが、第4週には能登半島豪雨、また海外での事件等も影響し、「悲しかった」「憂鬱だった」などネガティブ気分も再度上昇しています【図表3】。
9月のまとめと10月の注目点
9月も全国的に厳しい暑さが続いた中、消費は比較的堅調に推移したと言えそうです。しかし、台風の影響や、主食の「米」の品薄・値上がりなど、生活者にとって気がかりな要素も多く見受けられました。
10月に入り、岸田内閣から石破内閣へと変わり、また、食品等の値上げが多く報じられています。消費や生活に対する実態や意識がどのように変化するのか、引き続き追っていきたいと思います。
ウィークリー生活者定点観測調査『Macromill Weekly Index』
日本における毎週の生活者意識や消費動向を継続的に把握する、マクロミルの定点観測調査データです。1週間の消費金額や、消費カテゴリーのほか、内閣府が実施する消費動向調査や景気ウォッチャー調査の調査票を参考にした消費マインドや景況感などの指標を幅広く取得しており、政府が公表する「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」にも採用されました。
調査は毎週水曜に実施、データは同週の金曜に即時性高く公表しており、BIツール「Tableau」との連携によって、性別や年代別、地域ごとなどの動向把握が可能です。
調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国、20~74歳の男女1,000人
割付方法:人口構成比割付(令和2年国勢調査の性年代別人口比率に基づく)
調査日時:毎週水曜日実施
調査主体:マクロミル