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健康経営、若手が活躍するマクロミルだからこそ推進する人事担当の想いとは

従業員の健康管理や増進で、中長期的な企業価値の向上を目指す「健康経営」が重視されています。マクロミルも、従業員が長く健やかに働けるよう、さまざまな取り組みを推進中です。そこで、その具体的内容や背景をご紹介するとともに、仕事と健康をどう捉え、どう行動するのが良いのか、読者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。


若手層が多いマクロミル。いつか顕在化する健康問題に向け、「予防と回復」に着手

今回は人事本部の森澤隆行(本部長)と山口絵美に、当社が健康経営に取り組む背景や、そこにかける想いを聞きました。

左:森澤隆行(人事本部長)と、右:山口絵美(人事本部 グループCoEユニット ユニット長)

―健康経営を目指す背景は何でしょうか。

森澤:マクロミルグループは持続可能な社会の実現に貢献していくこと、そしてそれを実現するための中核は人材であることを社内外に表明しています。私は、これをマクロミルグループが「社会から持続的に期待される存在であること」とも捉えています。社会から期待される存在であるためには、会社が従業員を大事にし、その従業員一人ひとりが、よりよい社会に向けて持てる力や持ち味を発揮するという循環が欠かせません。この基盤を着実に構築するために健康経営を推進しています。将来の予測が難しいVUCAの時代において、企業は社内外の環境や状況を適切に認識し、適応することがより必要とされています。顧客をはじめとしたさまざまなステークホルダーの意識の変化を取り込みながら、企業は事業を推進することを通じて、社会課題の解決に取り組む姿勢が求められていると感じています。

また、社内に目を向けてみると、コロナ禍を経て、従業員の意識の変化やそれに伴う働き方のスタイルも多様化したことを実感します。クライアントへの高い貢献意識が、創業からの事業推進力の1つとなっているのですが、それゆえに「マッチョな働き方」が習慣化していた側面もありました。一方、従業員の平均年齢が33歳と、子育て世代やZ世代の若手も多く活躍する中で、会社に対する想いや期待も画一的ではなく、まさに十人十色。会社の未来のためにも、人材から選ばれる取り組みが必要だとも考えています。こうした社内外の変化を踏まえて、ライフステージが変わっても安心して働ける環境づくりに向け、人事として従業員との関わり方を柔軟に変化させていくことは、企業の持続的な成長に向けて不可欠だと捉え、健康経営を目指すに至りました。

―平均年齢が33歳と若手層が多い中、健康経営はどのように推進するのでしょうか?

森澤:若い人が多いということは、つまり、健康が大きな問題になりにくい世代ともいえます。ですが、時間が経てば関心は必ず顕在化します。健康経営は未来への取り組みであり、「予防と回復」という誰にでも共通するキーワードを据えました。従業員が自分事化しやすい、「手触り感」のある枠組みづくりを目指したいと思っています。

推進するにあたり、従業員と人事の健康経営に対する認識をジョハリの窓に当てはめて考えました。図の中で、「知らない×知らない」がスタート地点であり、次に「人事の自分たちが知っていて、従業員が知らないことってなんだろう?」と、手探りで整理をしています。社内イベントなどを活用して取り組みを紹介することで、従業員が健康経営について知る機会を増やしてきましたが、我々はまだ個々の従業員のニーズや考え方を掴むに至っていません。今後、双方向のやり取りを強化しながら、お互いの「知らない」を減らし、「知っている」を増やし、浸透に向けて進めていきたいと思っています。

双方向のやり取りを通じて、健康経営について人事と従業員の認識を合わせていくことで浸透を目指す

産業医増員や保健師参画など体制を刷新。解決に向けたロードマップも策定

―従業員が健康経営について「知っている」へシフトするために、どんな取り組みをしてきたのでしょうか。

森澤:健康経営にまつわるさまざまな仕組みを多面的に導入したことです。仕組みというのは使うものであり、使ってみないと次に使いたくなるかどうかもわかりません。改善しようにも、使われていなければ、改善点が見つからなかったりします。従業員の皆さんには、第一歩として使ってみるアクションを期待しています。
山口さん、少し深掘りして、紹介してもらえますか。

山口:はい、主に3つあり、1つ目は健康経営を推進していく土台となる体制・形の整理です。社内の課題を浮き彫りにし、解決に向けたロードマップも策定し、可視化を図りました。健康経営を前進させる後押しになったのではないかと思っています。

ロードマップを策定し、課題に対する施策と効果、目指す姿を整理・可視化

整理の中で出てきた、足りない部分への拡充として2つ目の成果である、GLTD保険(団体長期障害所得補償保険)の導入、EAP(Employee Assistance Program/従業員支援プログラム)サービスの導入や、メンタルヘルスケア専門の産業医の増員、そして産業保健師の参画です。
 
3つ目は、社内イベントやこのような取材記事を通して、会社・人事が、従業員の健康やライフステージの変化を大切に考えていることを、従業員に向けて発信することです。若手が多いからこそ、自身の健康よりもキャリア形成を優先したり、スキルアップに貪欲だったりする傾向があります。今後は産業医や保健師などの専門家から、予防と回復について情報発信していただくことも、啓蒙活動として有効だと思っています。

―体制化に伴う専門家の参画は心強いですね!今後の注力施策はどのあたりでしょうか?

山口EAPのカウンセリングや産業医・産業保健師の活用です。現状は体調を崩されている方とのコミュニケーションと、健康診断の結果を見てカウンセリングを推奨するに留まっています。体調が悪くなってからではなく、元気な時にこそ利用していただきたいと思っています。皆の資源なので、皆で活用して、会社全体が健康であり続け、成長していきたいです。

森澤:今期は、とくにマネジャーの皆さんと人事本部が双方向にコミュニケーションをとる機会を増やしていきたいと思っています。私たち人事本部は、マネジャーの皆さんを「人事政策の実行パートナー」と位置付けており、そのことをお伝えしています。職場の労働負荷軽減は重要なテーマであり、今後認識合わせをしていきたいと考えています。

「健康経営は与えられるものではなく、普段やっていることの地続きでいい」

―逆に課題はどんなところでしょうか。解決に向けて従業員へのメッセージもあればお願いします。

山口:そうですね、冒頭に人事として「予防と回復」を共通キーワードに据えている、という旨をお話ししましたが、現在は「対処で精一杯!」というのが実情で……。これからは「対処」ではなく、「予防」に向けた対策が講じられればと考えています。今健康で働けていても、未来の保証はありません。従業員の皆さんには、「自分が健康でい続けることが、同僚のためにも家族のためにもなる」ことを意識してもらえると嬉しいです。

森澤:「予防」と関連しますが、私は日々の「回復」がとても重要だと思っています。自分の回復法を知って実行していくことが、健康への意識の表れではないかな、と。仕事を頑張り、休む時はしっかり休む。その人なりの回復方法をルーチンに組み込むと効果的です。たとえば私は、リモートワークの日は昼休みに少し仮眠をとるようにしているのですが、起きた時頭がすっきりしてやる気が出ます。
 
「健康経営」と聞くと、なんだか大それた印象で、距離を感じてしまうかもしれないですが、健康経営は与えられるものだけではなく、普段自分がやっていることの地続きにあることでいいんだよ、と考えています。個々のちょっとした工夫や取り組みが、「回復」や「予防」につながるということは、メッセージとしてお伝えしていきたいですね。

山口:人事本部では毎週2人ずつ、健康に気をつけていることを持ち回りで紹介し合っています。例えば、「冷たい水ではなくて白湯を毎日飲んでる」、「週末自宅でダラダラ過ごすのではなくメリハリをつけるためにも旅行に行った」など。同僚とは同じ職場で、働く環境は共通している部分も多いけれど、いざプライベートになると、健康状態や家族構成や担っている役割も異なってくる。皆、仕事以外に社会生活の中での役割やコミュニティがあって、それぞれ皆違うんだということに少しでも気づいてもらえたら。自分と相手の環境や、健康と考える基準は異なることを分かったうえで、「自分は健康かな?」「周りも健康かな?」と、自然と意識が向くような状況がつくれるといいですね。

―健康経営って、プライベートと地続きだと捉えるとなんだか身近に感じますね。本日はありがとうございました!

(編集後記)
取材の終わりに「皆さんの状況を理解した上でとにかく一緒に取り組んでいきたい」と話したお二人。従業員に寄り添い、真に役立ててもらえる仕組みをつくりたいという想いを強く感じました。施策のベースが整った今、重要なのが健康経営と従業員の距離を近づけるコミュニケーション。今回の連載を通じて、私たちミルコミ編集部もその一助を担っていきたいと思います。それではまた次回お会いしましょう!

■インタビュー・編集
池田牧子(株式会社マクロミル 広報・ブランドマネジメント部)
■撮影・画像制作
田代正和(株式会社マクロミル 広報・ブランドマネジメント部)