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マクロミルが高品質なデータを提供できる理由とは?|データが創る新しい社会(5)

マクロミルモニタ(以下、モニタ)の皆さんから日々ご提供いただくアンケート回答などの情報は、やがてさまざまな企業の商品やサービスの改善・開発への大きなヒントとなり、より便利で暮らしやすい未来の創造へとつながっていきます。

「データが創る新しい社会」をテーマに、これまでモニタの皆さんとの信頼やエンゲージメント構築についてご紹介してきましたが、最終回となる第5回目は、『信頼できる』高品質なデータ提供を目指すマクロミル独自の「モニタ品質管理」「データ品質管理」「情報セキュリティ管理」についてお届けします。

今回は、品質管理を担当する遠山可奈とパネル管理責任者の花立沙代子にインタビューをしました。


モニタ品質管理の裏側~課題への探究心とSQL言語やBIツールの習得~

―マクロミルモニタの品質基準や、高品質を維持する取り組みについて教えてください。

花立:マクロミルでは、小中学生から70歳以上のシニア層に至るまで幅広い年齢層の方々に会員登録の上、アンケートの回答にご協力をいただき、そのお礼としてポイントを進呈しています。

さまざまな方法でポイントを貯める活動(以下、ポイ活)の多くは、企業の広告や宣伝を経由することでポイントを獲得できる構造になっています。例えば、ポイ活アプリを通してその企業の商品やサービスを購入するとポイントが還元されたり、動画広告を視聴するとポイントが取得できたりと、アンケートと称して最終的には企業の広告ページに遷移するなどの販売促進を目的としたものが見受けられます。

マクロミルではこうした広告や宣伝は一切行わない「リサーチ専用パネル」として、マクロミルモニタを管理しています。

モニタの会員登録時においては、全国のインターネットユーザーを代表するパネルとなるようバランスに配慮し、計画的なモニタ会員登録を実施しており、不正な登録を除外する機能をシステムに実装しています。

高品質を維持する取り組みとして、以下の管理を行っています。

<モニタ会員登録時の品質管理>
● 属性を意識したモニタ会員登録
● マルチデバイス時代に合わせたモニタ会員登録
● 重複登録の禁止
● 登録時のメール到達確認

花立:モニタ会員登録後は、モニタ品質管理の専任担当者が、以下のような独自の品質管理項目に沿ってさまざまなチェックを実施し、登録情報や回答態度に問題があると判断されたモニタの方については、会員資格を停止し、調査依頼の配信対象から除外しています。

<モニタ会員登録後の品質管理>
● 不正登録情報の一次チェック[週1回]
● 不正登録情報の二次チェック[月1回]
● 非アクティブチェック[月1回]
● トラップ調査による不正回答者の発見と対処[年2回]
● 強制的な属性情報の更新[年1回]
● 不正なアンケート回答の検知[常時]

―モニタの品質管理の経験の中でチャレンジとなった出来事を教えてください。

遠山:10年以上前に遡りますが、この品質管理の担当職に就いた時に、アンケートにおける不正回答者の特定を目的とした「トラップ調査」のプロジェクトに携わりました。

当時、担当のリサーチャーと一緒にアンケートの調査票やトラップの設計を進めていく中で、モニタの皆さんのライフスタイルの多様化や時代の潮流の変化に合わせた質問内容の検討など専門的な知識が必要とされるので、特に難しくチャレンジとなる経験でした。

不正回答の検知は、手作業や目検では見落としがちとなるため、数年前から他部署と連携しながら、検証・検討を進めている自由回答データとAI技術を掛け合わせ、精度を上げています。

―業務上ではデータと対峙することが多いと思いますが、どういうツールやサービスを利用しているのでしょうか。

遠山:現在はプログラミングの必要がなく直感的にアイコンを並べ分析処理が可能と言われているIBM®社のSPSS®Modelerを使用してデータ加工をしています。その他ですと、サーバー、ストレージ、データベースなどにアクセスできるクラウドコンピューティングサービスを利用しSQLを使用してデータ抽出も行います。いくつかのツールを併用する理由としては、データの許容量や抽出速度によって使い分けをしています。

―それらの専門的なツールやサービスをどのように習得していったのでしょうか。

遠山:かつてはAccess上でSQLと呼ばれる言語を用いて処理要求する場合もありましたが、多くのデータベースで共通言語として利用できるSQL言語を学ぶことで、セキュリティーレベルの高いクラウドから必要なデータをより早く正確に抽出できるため、インプットとアウトプットを繰り返しながらSQL言語を習得し、実務へとつなげていきました。

SPSS®Modelerに関しては、前任者が残したストリームを紐解きながら、データ抽出や加工方法については周囲の協力を得ながら学んでいきました。

数年前から、会社全体で売上推移をビジュアル化し、適切な意思決定を加速させるためにMicrosoft社のPower BIで管理をすることになりました。モニタ数の推移をBIで可視化するのは簡単なことではありませんでしたが、定期的に社内のBI講習を受けるなどして徐々に技術を習得していきました。

BIツールやプログラミング言語を学ぶだけでなく「なぜこうなったのだろう」「どのようにしたら、その課題が解決できるだろう」などと考え、試行錯誤しながら習得していきました。現在は業務効率化や精度を高めるために、得た知識を活かしていきたいと考えています。

IBM® SPSS® Modelerストリームの例

代表性に富んだデータ品質管理と、回答者視点での調査設計を推奨

―データ品質基準について教えてください。

遠山:マクロミルでは、調査結果に偏りがなく代表性に富んだデータを提供することにこだわっています。クライアントへのマーケティング意思決定をサポートする高品質なデータをお届けするために、独自のプロセスチェック体制を確立し、各プロセスにおいて検査をクリアした高品質なデータを納品します。

調査を実施する前段階である調査票のチェックや、弊社の基準に沿ったデータ確認と品質を高めるシステム機能を用いるなど、回答や納品データ精度の向上に努めています。

―データ品質の向上を目指す取り組みとして、どういったことを推奨しているのでしょうか?

遠山:スマートフォンの普及により、アンケート回答デバイスも変化しており、マトリクス設問(※1)の項目数や選択肢数・画面自体の視認性など、スマートフォンでの回答を考慮し、回答者視点で設計いただくことが重要と言われています。
※1 マトリクス設問とは、同じ質問を一度にまとめて表形式で聞くことができる回答形式のこと。

調査ボリュームや、視認性が悪い設計の影響として、回答の途中離脱や拒否数の増加、調査自体への反応率が下がるなどの品質低下、アンケート回答へのアクティブ率の減少などが懸念されます。

マクロミルでは、今後も継続的かつ有益な手段として、インターネットリサーチを活用いただけるよう以下の「マルチデバイス時代のインターネットリサーチ設計ポリシー」を推奨しています。

<マルチデバイス時代のインターネットリサーチ設計ポリシー>
● 本調査の回答所要時間は「10分以内」
● 事前調査の回答所要時間は「5分以内」
● マトリクス設問の項目×選択肢は「10×10以内」
● SA/MAの選択肢は「30以内」(※2)
● 設問文の文字数は「50文字以内」
※2 SAは単一回答、MAは複数回答を指す。いずれもアンケート調査における質問・回答形式の1つ。

安心して情報を預けていただけるよう機密情報を厳格に管理

―情報セキュリティ基準について教えてください。

花立:マクロミルはモニタの皆さんやクライアントからお預かりする機密情報を厳格に管理することにおいて、マーケティングリサーチ企業として極めて重要な責務と考え、「情報セキュリティポリシー」に従って、「情報セキュリティ規定」を定め、従業員が遵守すべき「情報セキュリティマニュアル」を制定しています。

また、情報セキュリティ活動を推進する仕組みづくりや従業員への教育・研修など、「組織的対策」「人的対策」「物理的対策」「技術的対策」を主軸とし、安心して情報をお預けいただけるように情報セキュリティの強化に努めています。

出所:モニタの品質管理ポリシー情報 セキュリティー管理(マクロミル 企業サイトより)

時代の変化と共にステークホルダーとのバランスを保ちながら品質を管理

花立:遠山さんは10年以上にわたり品質管理の担当をしています。この10年間というのはライフスタイルの多様化や変化の過渡期でもありますが、時代の変化と共に、アンケート回答をするモニタの皆さんの変化を的確に捉えることで、最適な品質管理に取り組んでいます。

また、モニタの皆さんから回答いただいたデータは消費者インサイトとして、クライアントへ提供されますので、調査票毎にクライアントの満足度を聴取するCS調査の「モニタ数」と「モニタの回答品質」の結果を踏まえ、サービスや品質管理向上へ活かしています。

私たちは日々モニタの皆さんをはじめ、クライアントともステークホルダーとの関わりを尊重にしながら品質管理の運営をしていくことも大切だと思っています。時代の変化と共にステークホルダーとのバランスを上手く保ちながら品質管理を運営できるのも、遠山さんの経験値とセンスがあってのことだと思っています。

―ありがとうございました!

ここまで、「データが創る新しい社会」をテーマにさまざまな切り口でモニタの皆さんとの取り組みをご紹介してまいりました。5回にわたる連載にお付き合いいただきありがとうございました。

マクロミルでは、特に「安心して情報をお預けいただける、信頼できるデータの提供」を重視しています。品質管理の専任チームを組織して常に品質に気を配ることはもちろん、テクノロジーを活用した新しい品質管理手法の構築など、高品質を担保するためにさまざまな取り組みを実施しています。

また、昨今では情報漏洩が大きな問題になっています。マクロミルはステークホルダーの皆さまからお預かりしている情報をしっかりとお守りするために、情報セキュリティの強化にも積極的に取り組んでまいります。


【連載 全5回】データが創る新しい社会