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そもそも品質工学f -番外編- MTシステムって何?

第1期が終わったので、今回は息抜き回!

このお話は、マンガの時期的には第1期の後半あたりのお話ですね。
マンガではなく、3Dキャラがしゃべるというスタイルですが。

品質工学研究発表大会(2023年)の特別公演にて使用した動画です。
MTシステムを知らない人をターゲットに、MTシステムが何で、それをどう使うのか。そして、使う際に計算ツールが必要なのですが、そのツールの説明をするために作った動画になります。

まずは、MTシステムで文字認識を題材に、事例を紹介
ここでは、単位空間からの距離で良し悪しを判断するということを説明しています。


そして、第2章では、直交表を使った項目診断の解説
事例は、工程における歩留まりを低下させている原因を探すという話です

もっと詳しく知りたい人は、こちらで紹介しておりますので、ご参考までに!

真面目な話は上の記事に任せます。(^^;
なので、ここではMTシステムに関する裏話でもしておきますか。

もともとは、田口玄一先生がインドに行って、その際にマハラノビス先生と議論してきたのが始まりです。そこで、田口先生はマハラノビスの距離というものに興味を持ちます。

帰国後、それを兼高先生(慈恵医大)と共同で、肝疾患の評価に適用したのです。結果は出ましたが、当時はパソコンのスペックも低く、実用的ではありませんでした。

そして、時は流れて1995年…
私が大学生の時に、同じ研究室の学生のテーマにMT法を使った火災報知器の研究というのがありました。

丁度、Windows95の時代で、CPUがi486DX4の100Mhzぐらいだったでしょうか。パソコンの性能も上昇し、MT法での計算が現実味を帯びてきたのです。

最初はUNIXでC言語でプログラムを組んでいました。
計算式だけは公開されていたので、そのテーマの学生はなんとかC言語でプログラミングし、計算できるようにしたのです!

それを、私は傍らで見ていました。
私は、プログラマの能力評価って研究をしていたので、その学生にC言語を教えた人だったりします。(^^;

ですが、UNIXだと、いろいろ不便なことがありました。
データをテキスト形式で渡す際に、データの加工などがどうしても大変

そこで、そのC言語で書かれたプログラムをExcel VBAに書き直したのが、私です。Excelでデータ加工し、そのまま計算させ、結果もすぐにグラフ化できる。とーっても便利。

自分の研究じゃないのに、他人の研究に首を突っ込む。
まぁ、プログラミングが得意だったのでー
研究室では、つとむ君じゃないけど、Excelの魔術師という二つ名がーw

んで、そのVBA版を田口先生の会社で売り出し、一気に広まったのですよ。みんな自分でプログラミングするのは面倒ですからね。

実はですね、ExcelVBA版と、処理速度が速いVB版(独立アプリ)があったのですよ。でもね、Excel版が生き残った。VB版は1本も売れませんでした(笑

利便性は、処理速度より価値が高いというのを学びました。
遠くの銀行でお金をおろすより、手数料を払って近くのコンビニでおろすのですよ、人間ってのは。(^^;

発売後、MT法の派生が多くつくられました。
 MTS法(シュミットの直交展開)
 MTA法(アジョイント法)
 T法(タグチ法)
このあたりから、MT法と呼ばず、MTシステムと呼ぶようになりました。
それらの手法をプログラム化して、ソフトに組み込み、バージョンアップをして売るってのが結構続きました。

さて、ここで裏話
実は、1つ消えた手法があるんです。

どうやっても、計算結果がおかしくなるケースが発生する方法があったのです。プログラムで計算させた結果が、どうもおかしい。
それを私はA4を4枚ほど、手計算で計算した結果を田口先生に見せて、「この方法では、距離がおかしくなるのですが…」と聞きました。

そして、田口先生からこういわれました。
「事実と合わないなら、数学が間違っています。」

まさかの数学を否定!
その時はまだ学生の身で、言っていることがよくわかりませんでしたが、今ならその意味がわかります。

全ては、事実が真実。
数学が事実を表せないなら、数学がおかしい。
そういうことです。

シミュレーターの結果と、事実が合わなかったら、「事実がおかしい」なんていう人は居ませんよね?(計測がおかしいケースはあるかな?)

あくまで、事実をどう数字で表すか
そのツールとしてのMTシステムであり、SN比であり、直交表なのです。

だから、「数学的に間違っている」「統計学的に正しくない」なんてのは、どうでもいいのです。

田口先生の中では、事実と合っているかどうかだけが、良し悪しを測る尺度なんです!

だから、統計学者と喧嘩になるんですよね。
価値の尺度が、根本から異なっているので(^^;

では、今回はこの辺で…

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