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地テシ:398 金沢文庫の初夏の思い出
いよいよ歌舞伎NEXT「朧の森に棲む鬼」が開幕しましたね! 2007年に松竹さんと劇団☆新感線によって上演された作品の歌舞伎NEXT版です。もちろん今作も中島かずき作・いのうえひでのり演出です。
しかも主人公のライは2007年には市川染五郎だった松本幸四郎さんと、尾上松也さんのダブルキャストってんですから面白くないわけがない。東京公演は11/30〜12/26に新橋演舞場にて、福岡公演は2/4〜25に博多座ですよ。私は全然関係ないけど、勝手に応援隊です。どうぞよろしく!
あ、それと、本日東京公演の千秋楽を迎えました高田聖子さん出演の、こまつ座「太鼓たたいて笛ふいて」を拝見いたしました。戦中には軍隊を賛美する行軍記を書き、戦後は戦争を批判する作品を上梓した林芙美子の生涯を描いた作品です。
大竹しのぶさんが林芙美子を、聖子さんがその母を演じ、おおらかな戦前とヒリヒリとする戦中と我武者羅な戦後を、数多くの歌と共に時に軽やかに時に鮮烈に描き出していきます。旧知の土屋佑壱さんと近藤公園くんも奮闘していましたよ。
東京公演は終わりましたが、12月には大阪・福岡・名古屋・山形の地方公演があります。実に正直な作品が端的な演出と洒脱な演技で構成されておりますので、気になる方はぜひともご覧下さいませ。こちらも勝手に応援隊ですがどうぞよろしく!
さて、前回はこの夏に行ったんだけど書くのを忘れていた旧公衆衛生院について書きましたが、そういえば「バサラオ」の稽古序盤の初夏には金沢文庫にも行ってたんだよな〜。これも忘れてたな〜。そう、忘れていました。書こうと思いながら忘れていたんですよ。写真フォルダを見直していて思い出しました。
ですので、今回は金沢文庫について書きましょうかね。まあ最近は締切に追われていたので近場の散歩ばかりで済ませていてあまり遠出をしていなかったので大きなトピックスが無い、という内部事情をバラシながらの金沢文庫篇です。
横浜市にあるのに金沢ってのがもともと気になっていたのですよね、金沢文庫も金沢八景も。金沢八景駅辺りには以前に行ったことがありますが、金沢文庫駅は初めてです。調べてみると元々この辺りの地名が金沢(かねさわ)だったのですが、石川県の金沢(かなざわ)が有名になりすぎて、こちらも「かなざわ」と呼ばれるようになったのだそうです。
鎌倉時代にこの辺りを拠点とした金沢(かねさわ)北条氏がおり、その三代目の北条実時が様々な書籍を集めて文庫を作り、それが今に伝えられているというワケです。長い年月の間にその貴重な文庫もかなり散逸してしまったようですが、昭和5年に神奈川県の施設として復興し、平成2年には改装して歴史博物館として活動しているようです。
そもそもこの金沢がある辺りは六浦といいまして、鎌倉時代には大きな湊でした。鎌倉は海辺の街ですが、由比ヶ浜辺りは遠浅の海でして大きな船が入れないのですよ。ですので三浦半島の反対側の六浦が重要視されたのです。
以前に上演いたしました「明治座で逆風に帆を張・る!!」という鎌倉初期を題材とした舞台でも、私のセリフに「六浦の港から〜」というのがありました。その頃から六浦と金沢が気になっていたのです。
六浦はかつて、今よりも入り組んだ入江がたくさんあって湊に向いた地形でした。その複雑さが故に金沢八景という風光明媚な景観を作り出したのですね。
今年の初夏の企画展は「江戸当世 図上旅行(ずじょうのたびゆき)」でして、江戸時代の様々な地図やガイドブックによって想像の旅をしてしまおうという企画。また地図だ。また古地図だ。ああそうさ。古地図があると見たくなるのさ。
しかも、金沢北条氏の四代・北条貞顕は北条高時が執権の時に連署(副執権のような要職)として鎌倉幕府を支えました。北条高時。そう、「バサラオ」で私が演じたキタタカのモデルです。となれば「バサラオ」の稽古中に行ってみたくなるってもんでしょ。いや、行ってみたくなるかどうかは人それぞれですが、そんなこんなで行ってみたというワケです。
まずは京急金沢文庫駅から始めましょう。この駅自体は郊外の駅ですので割と小さな駅なのですが、すぐそばに金沢検車区があるために特急や快特ですら停車します。
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歴史の深い土地らしく駅前には散歩コースの案内板もありました。
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金沢文庫は駅から歩いて15分ほど。郊外らしい道をノンビリ歩いていると近道の案内がありました。
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館内はそれほど広くはなく、いかにも昔の博物館といった感じでしたが様々な資料が余裕を持って展示されており、企画展・常設展共に楽しめる内容でした。お目当ての古地図もいっぱいで満足でしたよ。
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古地図の展示ってのは様々な展覧会でも見てきましたが、当時のガイドブックとも言える道中図も実物が豊富に展示されており、細かいところまで読み込めば相当に楽しめるのですよ。時間を忘れて見入ってしまいました。
なかには「鎌倉江ノ嶋大山 新版往来双六」なんてものもありました。日本橋から品川・大森・川崎と東海道を西下しながら古都鎌倉・観光地江ノ島・参拝地大山を巡って、帰りは大山道を溝ノ口から二子・三軒茶屋・渋谷と通るコースのスゴロクです。観光案内でもありスゴロクでもあるあたりに江戸時代の娯楽を感じることもできました。
博物館の正面口を出たところに鎌倉時代に掘られた隧道があります。現在は封鎖されておりますが、その近くには近代のちゃんとしたトンネルもありました。
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トンネルを抜けた先が称名寺。金沢北条氏の菩提寺です。というか、金沢文庫と称名寺はほぼ一体でして、文庫が荒れた時には称名寺が管轄していたようです。
立派な庭園のある称名寺は北条貞顕の頃の創建で、背後の山や森と共に「称名寺市民の森」として近隣の人々の憩いの場となっております。
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そんなこんなの金沢文庫近辺。歴史を感じられる土地と街並み、鎌倉時代を偲べる博物館と歴史好きには楽しめるエリアです。あと、帰りにふらふら散歩していたら見つけた居酒屋の名前が「ばくだんいわ」でした。
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多分、たぶんなのですが、店主はドラクエ好きの顔の怖い人だと思います。ではまた。