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地テシ:284 フェスティバルホールの想い出ってば!

劇団☆新感線「薔薇とサムライ2」大阪公演中ではありますが、劇団の次回公演が発表されました!

12年前に上演された「港町純情オセロ」という作品が「ミナト町純情オセロ~月がとっても慕情篇~」として帰って参りましたよ!
V6の三宅健さんや松井玲奈さん、寺西拓人さんといった魅力的なゲストの方々をお迎えしてお送りします。もちろんタダの再演ではありません。キャストに合わせて色々と変更される予定です。まあ、私はあまり変わり映えしないと思いますけどね。

そして「薔薇サム2」のライブCDも発売されちゃいました! 会場の物販コーナーでも売っていますよ!

もちろん私も劇場で頂きましたが、旅先だからCDは聴けないんですけどね。


さて、現在その大阪公演が行われているのは中之島のフェスティバルホールでして、客席数は約2700席もあり抜群の音響性能を誇る巨大ホールです。
その音響特性の高さから主にクラシックコンサートやバレエ・オペラ、さらにロックなどのポピュラー音楽のコンサートなどに使用されることが多く、演劇で使われるコトはあまり多くはありません。
ですが、劇団☆新感線が公演で使用するのは今回でたぶん3回目。確かに後方や上階のお客様にとっては舞台までが遠くて残念な思いをされるかもしれませんが、その距離に負けないほどの大きさで舞台も演技も構成しております。また、少し離れるからこその迫力の音響や美しい照明もご堪能頂けると思います。傾斜が大きいために見やすく聞きやすい劇場でもありますので、派手なスペクタクル感を体験して頂ける劇場でもあります。
とにかく大人数が収容できて舞台が広くて使い勝手も良いという、劇団にとっても実にありがたい劇場なんです。特に今回は生バンドも入ったロックミュージカル風の作品ですから、大迫力をお楽しみ頂けているのではないかと思います。

中層階の貼り出している部分が全部フェスティバルホールなんです

でね、そのフェスティバルホールなのですが、実は二代目なんです。2013年に再開館したばかりでして、新築ならではの最新鋭の設備が整った実に美しいホールです。
そして、初代のフェスティバルホールはなんと昭和33年(1958年)の開館でして、その当時としては世界有数のキャパシティと音響特性を誇るホールだったのですよ。もちろんクラシックコンサートホールとしても有名だったのですが、日本のポップス界でも山下達郎さんやさだまさしさんが愛してやまないホールだったことは有名です。

フェスティバルホールといえば、大阪城ホールができるまでは大阪で一番キャパシティの大きなホールでもあったので、多くの海外アーティストが大阪公演を行いました。大阪で生まれ育った私としても馴染みの深いホールでして、何度もライブを見に行ったものです。もちろん高校生の頃には高額のチケットが取れなくて三階席後方の安い席しか取れませんでしたが、それでも大迫力の音楽を体感できました。
つまり、当時の関西の音楽キッズにとってフェスティバルホールは別格の存在であり、「今一番話題のアーティストを見に行く」というステータスでもありました。今では巨大音楽イベントに行くという意味で使われる「フェスに行く」という表現も、当時の我々にとっては「フェスティバルホールに行く」という意味でして、それすなわち「最新の話題のライブに行く」というコトになり「フェスに行くんだ!」と言えば仲間たちに羨ましがられたもんです。


ことほど左様に関西人にとってフェスティバルホールには特別な意味があったって話なんですが、ここからが私の自慢です。
実は、改築前の、つまり初代フェスティバルホールの舞台に立ったことがあるのよ私はって話なんですよ!

今を去ること24年前。1998年、つまり平成10年のことです。中村雅俊さんと広末涼子さんを主演に置いた「銀河の約束」というミュージカルが上演されました。そして私も広末涼子さんのお父さん役で出演していたのです。
東京公演は池袋の東京芸術劇場中ホール(現在のプレイハウス)でして、その大阪公演が初代フェスティバルホールだったのです。
当時の広末さんといえば人気絶頂期。それが故にキャパシティの大きなフェスティバルホールが選ばれたのでしょう。

中高生の頃から憧れだった、あのフェスティバルホールの舞台に、立つ! いやあ、実に興奮しました。まあ私にとっては、ほぼ初めて東京資本の商業演劇に参加するというだけでも興奮できたんですけど。しかも中村雅俊さんや広末涼子さん、森公美子さん、谷啓さんなどといった綺羅星のごとき皆さんと共演できるってコトもね。
なぜそんな作品に出演できたのかというと、実はその作品の脚本が中島かずきさんでして、まあ、そのおかげで出演できたのですが、実に貴重な経験と勉強ができました。

当時、広末涼子さんは初舞台。不慣れな環境で、しかも大学受験を控えた状況でもキラキラと輝いておりました。
そして、今作でも西垣匠くんが初舞台を踏んでおります。神尾楓珠くんだって二度目の舞台。二人とも不慣れな環境の中、全力でぶつかってくれています。キラキラと輝いています。
私ももう30年以上舞台に立っておりますが、彼らの初々しい努力を見るにつけ、まだまだ勉強することは多いと感じさせられています。

そんな大阪公演も残り一週間を切りました。そして次は長い東京公演。更に気をつけて、そしてキラキラと輝いていきたいと思います。
と、初々しいカンジで締めてみました。いや、初々しいのは大事ですよ!


あ、そうだ。フェスティバルホールの想い出といえばもう一つあります。締めちゃったけど、もう一つだけ書かせて下さい。
フェスティバルホールの名物といえば壁のレリーフ。

この右側の青いレリーフです

このレリーフはギリシャ神話をモチーフとした「牧神、音楽を楽しむの図」というタイトルでして、昭和33年の創建当時、若手彫刻家たちによって作られました。
私の実家は大阪市の北にある豊中市にあり、母方の実家がある大阪市内からタクシーで帰る時には阪神高速空港線(現・池田線)を使っていたのですが、そのタクシーの車窓からこのレリーフをよく見上げたもんでした。

子供心にも印象深かったこのレリーフですが、フェスティバルホールが建て替えられるにあたって同じデザインで新しく作り直されました。しかも、旧作品を手掛けた彫刻家の息子さんが監修したんですって。
繋がっていく作品と、繋がっていく記憶と。みなさんもフェスティバルホールにお越しの際にはこの作品を見上げてみて下さい。劇場の南側、大阪メトロ四つ橋線の肥後橋駅側の壁面にありますよ。