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愛玩犬的思考様式(ft.『Poodles』)【Sandwiches #61】

 また新しい週が始まりますね。なにをするにつけ暖簾に腕押しな感覚ばかりがつきまとう日々ですが、すこしでもなにか痕跡を残そうとこのnoteを書いたり、あるいはそうだ、今日はレコーディングもしましたよ。つらいがたのしいもんじゃらほい。

 さて「楽曲紹介」シリーズ、2ndアルバム『KINŌ』ものこすところあと2曲です。今日は個人的にもお気に入りの一曲、M10「Poodles」を聴いていただきましょう。

 とにかくキュート、かつクールなアニメを制作してくれたのはHiroumi Yamazakiくん。先日紹介した「blank form」のビデオを手がけてくれたTomohito Moritaくんと同じく、クリエイティヴ・クルー「ODDIES」に所属するメンバーでもあります。彼らはみなそれぞれのスタイルで映像作品をつくっているのだけど、たしかな個性と、ストリート・キッズ的遊びごころがあふれていてとてもすてき。同い年としても心からリスペクトしています。

 そんでこの映像にも登場するふわふわ・もこもこのプードル犬こそが「Poodles」という曲の主題でありますよ! なんてったってサビでも狂ったように連呼しとるもんね、「トイプードル、オッオー、トイプードル、オッオー」ってねえ。ライヴでかけるときは「一緒に歌ってくださあい」なんて言うのだけども、たいてい、ほとんどのお客さまには微笑をもって返されます。ちょっとひんやりした空気になるのはなんでやか。

  まあ誰も歌ってくれなくともわたしは高らかに叫ぶ、叫ぶが、ふとなぜトイプードルなんてサビの曲をつくったのやろか、と平静に戻る瞬間がある。これがいくら考えても思い出せなくって気まぐれの産物だったとしかいいようがないのだけどね、ただその当時はInstagramで有名なとあるプードル犬をフォローしていて(とにかく、もこもこの肢体を存分に堪能できるアカウントなのだ)、そう、「かわいい動物」というカテゴリのあれやこれやに魅せられていた時期でありました。ほらYouTubeなんかを開いても、犬はもちろん、やら、うさぎやら、ハムスターやら、あるいはすこし珍しいところだとふくろうぶたなんかもおりますね、とかくなんでもかんでもアップされているじゃない。一度みはじめると止まらんのですよね。

 ペットといえば小学生のころに一度だけちいさなハムスターを飼っていたが、冬場の寒さ対策が十分でなく冬眠状態に入ってしまい……そのまま早逝するにいたった、これには大泣きした! また同時に「生き物は軽はずみに飼うべきではない」とそんな教訓を胸に刻み、そう、それからというもの「かわいい動物」たちにもちょっぴりの心理的距離を感じていたのでした。

 だから、それらの写真や動画を「癒し」としてさっくり享受しながらもどこかでもやもやした感情を抱えていて、それはどうしたってちらつく人間のエゴよ、かわいい格好をさせてカメラを向けているがほんとのとこ、彼らはなにをか感じておるんだろうか、とかね。

 とっても愛しい生き物たち、だけどどこか虚ろなシルエット(と、これも彼らにとても失礼なのだけど……)。もこもこ・もやもやなその影を、そのままわたしたちのうちにある迷いへとトレスしたのが「Poodles」の歌詞と言えるかもしれません。だっていきなり「何が欲しいの それで何になりたいの」なんて強めの問いからはじまるものね。ちょっと強すぎたかもといま読み返して思ったが、後半でも「何がしあわせ」なんて言っておるし、ぜんたいそんなムードです。といっても最後に「stop making sense! ただトイプードルみたいなeveryday」と思考の放棄に至るわけで、そんな乱暴さもふくめてかわいい毛皮にくるんでぽい! してしまったのがこの曲なのだな。

 もこもこ、あなたのこころにも、どこか空虚な面構えをしたプードルちゃんがおりはしませんか。かわいらしいその子に罪はありません。ただその虚を見出すわたしたちの側こそに、やはりか欺瞞は隠れていて……なんてもこもこもこもこ、適当なことばで茶化すばかりでええのんか、どうや、と言いつつもこもこ、うやむやに終えようとしているけれど、あまり語ると面白くないタイプの曲だと思うのだ、もこもこ、だってさ「アブストラクトでイリーガル」だもんだから、ね、ね。そんな感じで楽しんでくださいね。

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 今日も、いただいたお便りをご紹介します。

●ペンネーム:マスカルポーネさん

Breakfast Club楽しみにしてます!いつ公開になりますか?

>>ぎくぎくぎく! 覚えていらっしゃったのね、おほほ……そうよねお便りだって募集したものね。お待たせしていてごめんなさい。「Breakfast Club」は当初おハルちゃんとふたりでYouTube番組として公開する予定だったのだけど、ここでこっそり明かせばあれなの、わたしたち、ふたりともYouTubeらしい動画なんて録ったこともないし、そもそもおもしろおかしいトークなんてものも苦手なコンビだったのだ。それでちいいっと作業が難航していて、もしかしたらなのだけどハルちゃんとは別の形で、何かしらのコンテンツをお届けすることになるかもしれません。いろいろ連絡はとりあっているところなので、もうしばしお待ちいただけたらうれしいです。や、楽しみにしてくださっているのにほんとう申し訳ありません! 

(お便りは引き続き下記フォームで募集しております)

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