キャラクターゲームのゲームデザイン
この記事はなに?
この記事は、キャラクターもののアナログゲーム(カードゲーム、ボードゲームなど、電源を使わないで遊ぶゲーム)の製作について、ゲームデザイナー視点で語るものです。特に、私はTCG(トレーディングカードゲーム)を製作することが多かったので、TCGを想定した内容が多くなります。
内容は私の経験によるもので、他の製作者が同じようにキャラクターゲームを製作しているわけではないと思います。同業の方へのガイドラインではなく、「こんな感じでキャラクターゲームを作ってるんだ!」と気楽に読んでいただければと思います。
※この記事は、Board Game Design Advent Calendar 2015の12月1日の記事として書かれました。
まずは自己紹介
まず、私、中村誠について自己紹介。
現在はアナログゲームを中心に手がけるプロのゲームデザイナー(ゲームのルールを作ったりする人)ですが、もともとはTVゲームのゲームデザイナーでした。一番最初の作品は、ゲームボーイ用ソフトの「赤ずきんチャチャ」。最初の作品からキャラクターゲームです(「赤ずきんチャチャ」はアニメ化もされましたが、ゲームボーイ版はマンガ版準拠)。初めて手がけたトレーディングカードゲーム「スーパーヒーロー戦線スクランブルデュエル」も仮面ライダーや戦隊モノなどを中心としたキャラクターゲームですし、大ヒットした「金色のガッシュベル!! THE CARD BATTLE」ももちろんキャラクターものです。現在発売中の「モンスターストライク リアルディスクバトル」もキャラクターものです。このように数十にのぼるキャラクターゲームをゲームデザインしています。
もともと、日本には専業のアナログゲームのゲームデザイナーはそんなに数多くいるわけではありませんが、特にキャラクターゲームに絞ると、そんなに多くないかもしれません。
キャラクターゲームとは
そもそも「キャラクターゲーム」とは何なのか?
「キャラクター」とは広い意味を持つ言葉ですが、狭い意味としては「フィクションの登場人物(人に限らない)」を指します。キャラクターゲームは、そのような「キャラクター」を商品のメインとしてすえたゲームです。
マクロからミクロへの見方としては、「キャラクター商品のうち、ゲームとして遊ぶことができるもの」と定義することもできるでしょう。
この記事では、独特ではありますが、キャラクターゲームは次の3つの性質を持つと考えています。
原作ありきのゲームのゲームである
キャラクターの著作権は他者が有している
そのキャラクターにはファンが存在する
特に私が重要視しているのは3です。キャラクターゲームはその原作のファンが買うことが多いため、キャラクターゲームの評価の基準はふつうのゲームとは異なることも多いです。
過去のキャラクターゲーム(特にTVゲーム)はあまり評価が高くなく、ゲームファン、原作ファンの両者から酷評される例も少なくありませんでした。ですが、今では、ゲームとしてもキャラクターものとしても洗練され、評価を得るようになってきています。
キャラクターゲームを作る前に
さて、キャラクターゲームのゲームデザインの仕事が始まるには3つのパターンがあります。
ある原作の(大抵は私が好きな原作)ゲームを企画し、それをパブリッシャーに持ち込み、採用される。
パブリッシャーから、ある原作のゲーム化を依頼される。
進行中のノンキャラクターのゲーム(あるいは別の原作のゲーム)に、キャラクターが乗せられる。
1のパターンが多いように思われがちですが、私の場合、多いのは2(と3)のパターンです。自分が好きな原作のゲームが作れるとは限りません(「金色のガッシュベル!! THE CARD BATTLE」は1のパターンです)。
●まず原作のファンになる
知らない原作のゲームを作る場合、まずは原作を読み込みます。連載が始まってすぐのものなら楽なのですが、すでに何十巻もあるマンガが原作だと読むだけでたいへんです。ガンダムの仕事では、過去のテレビシリーズのビデオをレンタルビデオ店で何十本も借りて、それをひたすら見る日々が続きました。まだソフト化していない放映中のアニメだと、その録画を手に入れないといけません。もし「ペリー・ローダン」シリーズのゲーム化の話が来たら頭をかかえることでしょう。
原作を読み込む目的は、「原作を知る」ことだけではありません。その原作の「ファン」になるためです。キャラクターゲームのお客様のほとんどは、その原作のファンです。ファンの人がその原作の何が好きで、どんなことがやりたくて、どんなことが琴線に触れるのか(そして、どんなことが逆鱗に触れるのか)、自分自身がファンになり、ファンの気持ちがわかるゲームデザイナーになります。
●原作のおもしろさとは?
キャラクターゲームを作る場合、その原作はたいてい人気作品です。人気だからアニメ化され、そのタイミングでキャラクター商品を作られます。「なぜその原作が人気なのか」を考えることは、キャラクターゲームを作るための最大のヒントになります。
逆に、ファンが「おもしろい」と思っているオモシロポイントをゲームに入れ込めなければ、ファンは失望してしまいます。例えば、相手の特殊能力を奪い合うバトルが人気なのに、キャラクターの特殊能力が固定で、他のキャラクターの特殊能力が使えないゲームだと、ファンからは「原作が再現できていない」という評価を受けてしまいます。
原作を読み込みながら、原作のオモシロポイントをさぐっていくのです。
●絵素材の確認
アナログゲームでは、イラストは欠かせない重要な要素ですが、ゲームを作る前段階で、ゲームに使える絵素材を確認します。
まずアニメ化のタイミングだと、ゲームはアニメ準拠なのか、原作マンガ準拠なのか確認するのは重要です。アニメ化でオリジナルのキャラクターやエピソードが入ることはよくあることですし、権利者も異なります。原作にあるネタでも、アニメでは使えないこともあります。これらは、実際に製作に入って、校正のタイミングで問題が出てくることも多いのですが、前もって確認しておけば心構えもできます。
また、イラストにも色々あります。
アニメの画面の場面写真
原作のイラストを元にトレース&着色
アニメを元に描き起こし
完全描き起こし(アニメのエンドカード風)
キャラクターゲームは、ビジュアル面が非常に重要です。使える絵素材を最大限に活かすゲームを考えなければなりません。
●相談役を作る
私自身もその原作のファンになるのですが、自分のセンスが人と外れているかもしれません。あるいは自分のセンスが人とはずれていないことを確かめるためにも、他の人の評価を集めたりします。
基本的には、知り合いや担当さんが多いのですが、その道(?)の専門家に聞くこともあります。「聖書コレクション」シリーズなど、監修の方がいると、専門的な相談にいろいろ乗ってもらえ、たいへん助かっています。
SNSや某巨大掲示板を見たりすることもありますが、そこの意見がどのくらい偏っているかを評価することが大事です。ネットでは大人気でも、多くの一般のファンにはささらないネタもあります。ネット上の意見を拾うときには、そのような偏りに注意しています(特に公式設定にはない妄想設定によるネタには注意)。
リストを作る
実際のゲーム製作に入る前にしている作業があります。それは「リスト作り」です。もしかしたら、私だけがやっている独特の作業かもしれません。
原作を(また!)頭から読みつつ、エクセルのシートに、キャラクター名など、その作品の要素をどんどん書き込んでいきます。基本的にはA列にキャラクター名を入れ、B列以降にそのキャラクターに関する内容(使っている武器、使う特殊能力など)を入れていきます。要素とは、例えば、以下のようなものです。
キャラクター名
登場回
所属組織
作品中に具体的な強さの数値があればその数値(戦闘力、レベル)
キャラクターが使う武器
キャラクターが使う特殊能力
他のキャラクターとの関係
バトルをした相手
一緒に戦った仲間
印象的なセリフ
物語の舞台
人気マンガでは、単行本の合間に「キャラクターブック」とよばれる本が出ることがありますが、その本のようなものをエクセルで作るのです(キャラクターブックがすでにある作品なら、とても助かります)。
このリストは、今後のゲーム製作において非常に有用な資料になります。このリストをながめることで、どんなゲームにするのか、色々とアイデアがわいてきます。
1.世界観を読み解く
まず、リストを作ることで、その作品の世界観が視覚的に見えてきます。
・キャラクターは多いのか、少ないのか
・キャラクターどうしの繋がり
・キャラクターの能力はどう変化しているか
・バトルで勝つために重視されている要素
作品の世界観を理解することは、今後、ゲームの骨子を作るのに欠かせません。
2.カードリストの元にする
TCGを作るときには、カードリストを作ることが必須になります。一番最初のカードリストには、
・カードナンバー
・カード名
・カードの種類(キャラクターカード、技カードなど)
しか書かれていませんが、これにイラストの発注内容や、カードのデータ、レアリティ、進行内容(締切など)などが順次加わっていきます。カードリストは、作業の進行表であり、最終的には入稿データになります。
特にTCGに関しては、「何のカードが入っているのか」というのは、その商品の評価を決める重要な要素で、カードリストの作成が製作の肝になります。
3.インデックスとして
原作が短いものならいいのですが、単行本で何十巻にもなる長編ですと、「あのシーン」が何巻の何話にあるかわからなくなりがちです。そのシーンを探し出すのに大きく時間をロスします(しかも何度も!)。リストに登場話などを記すことで、原作のインデックス(索引)になります。
余談ですが、聖書を原作としたシリーズ「聖書コレクション」の製作では、日本聖書協会ホームページの聖書本文検索を活用しています。単語を入力するだけでその単語が含まれる聖書の章や節が出てくるので便利です。
どんなゲームにしよう?
さて、キャラクターゲームを作る準備は整いました。ここからは実際のゲーム製作になります。
まずは、ゲームのおおまかな枠組みを考えます。
プレイヤーの立ち位置
プレイヤーの目的
基本仕様
このあたりの枠組みを考えれば十分だと思います。
プレイヤーの立ち位置
しっかりしたキャラクターゲームを作るのに欠かせないのが「プレイヤーの立ち位置」を考えることです。これがないと、「ただのキャラクターを載せただけのゲーム」になりがちです。
プレイヤーの立ち位置とは、「プレイヤーは、原作でいえば誰にあたるのか」ということです。その「誰か」は、原作に出ていない存在でもかまいません。
●プレイヤー=原作の主人公
一番最初に検討すべきは、「プレイヤーは原作の主人公の役」という立ち位置です。例えば、「スパイダーマン」が原作ならスパイダーマン自身になりますし、「アベンジャーズ」なら、アベンジャーズのメンバーの誰かになります。
キャラクターゲームの一番原始的な形は「ごっこ遊び」です。ほとんどの原作では主人公が一番人気があるので、主人公のなりきりで遊びたいという人は多いでしょう。「主人公のごっこ遊び」という立ち位置は、一番わかりやすい立ち位置です。
ですが、実際にはこの立ち位置のゲームはさほど多くはありません。主人公以外のキャラクター(のカード)を使いたいという人は多いですし、複数のキャラクターを使いという場合もあります。また、アナログゲームは基本的に2人以上で遊ぶものですから、2人が主人公というのは原作にあいません。
●プレイヤー=オリジナル主人公
キャラクターゲーム(特にTVゲーム)でよく用いられるのが、このオリジナル主人公です。多くの場合、プレイヤーは原作の主人公とよく似た立ち位置のオリジナルキャラクターの役になります。原作のキャラクターは、プレイヤーの仲間になったり敵になったりします。
比較的無理なく、プレイヤーを原作の世界に組み込む立ち位置です。多くのTCGはこの立ち位置になっていることが多いです。例えば、金色のガッシュベル!!THE CARD BATTLEでは、プレイヤーはガッシュでも清麿でもありませんが、清麿と同じ立ち位置の魔本の持ち主になります。
●プレイヤー=キャラクターに指示を出す存在
多くのTCGでは、プレイヤーは多くの種類のカードを使います。また、多くの種類のカードが使えることを望んでいます。そうなると、あるキャラクターを一人称視点で操るよりは、複数のキャラクターを三人称視点で操るほうが、より感情移入しやすくなる場合があります。
また、作品によっては、主人公は実際に戦う役割でも、その作戦を考え、判断するのは別のキャラクターである場合もあります。前述の「金色のガッシュ!!」では、実際に戦うのは魔物の子ですが、作戦を考えて指示を出すのは魔本の持ち主です。「仮面ライダーオーズ」では、実際に仮面ライダーに変身するのは映司ですが、映司に「これを使え!」と変身アイテムをわたすのはアンクです。このような場合、主人公ではなく、主人公に指示を出す立ち位置のほうがゲームとしては都合がいいこともあるでしょう。
特に複数のキャラクターのカードを操るときには、より上位の立ち位置を設定したほうが「なりきり感」が高くなります。「ガンダムウォー」の「司令官」という立ち位置がその例です。
●実はやってみたい!?こんな立ち位置
原作の主人公やそれに近い立ち位置はもちろん王道ですが、そこからズレた立ち位置に魅力があることもあります。
「仮面ライダーTCGライダーズレジェンド」では、プレイヤーの基本的立ち位置は「悪の組織の幹部」です(ライダー側にもなれますが)。昭和世代には、悪の組織にあこがれる人も少なくありません。そんなプレイヤーの(ニッチな)要望をかなえられるのも、ゲームならではの楽しみです。
プレイヤーの立ち位置には様々なものがありますが、どれでもかまいません、とにかく決めておくことが重要です。決めておくことで、筋が通ったゲームデザインができます。
プレイヤーの目的
ゲームを説明するとき「このゲームでは何をするのか」を最初に説明すると、ゲームがわかりやすくなります。それは、ゲームデザインをする上でも同じです。
●原作に明示されている
一番かんたんなのは、原作でキャラクターの目的が明示されている場合です。
例えば「金色のガッシュ!!」では、「他の魔物の子と戦って勝利し、魔界の王さまになる」という目的にそって、原作のキャラクターたちは動いていきます。
このように、原作の目的がゲームにもむいている場合、そのままゲームの目的にしない手はありません。「原作通り!」と太鼓判を押されることでしょう。
●原作中のいちエピソードを使う
例えば、「ドラゴンボール」のゲームを作るとなった場合、そのプレイヤーの目的は何になるでしょう? 「俺より強い奴に会いに行く」? なかなか難しそうです。
しかし、原作全体では目的がわかりにくくても、1つ1つのエピソードに絞っていけば、目的がわかりやすくなることがあります。例えば「ドラゴンボール」なら、「ドラゴンボールを7つあつめる」や「天下一武道会で優勝する」など、「○○編」とよばれるエピソードごとの目的ならわかりやすく、ゲームにするにも向いているでしょう。
●原作にない目的
原作にゲームになりそうなエピソードがないのなら、オリジナルで作ってしまうという手もあります。もちろん、最終的には権利者の許可が必要ですが、わりと「ゲームだから」という理由で許されてしまう場合が多いです。
本来ならバトルなど行なわないような原作でも、ゲームオリジナルでバトルを行なうのもよいでしょう。「バトル」があまりに暴力的な響きなら、「運動会」や「発表会」でもいいのです。聖書の人物を使って野球をする「バイブルリーグ」はこのパターンですね。
プレイヤーの目的は、キャラクターゲームを作る上で一番重要な部分で、打ち合わせでは一番時間をかけて検討しています。
・それは原作再現として適切か
・それはプレイヤーがやってみたいことか
・それはゲームにして面白いことか
という3点を鑑みながら考えるのがよいと思います。
基本仕様
この時点で決めておきたい基本仕様は、以下の2つです。
何人用ゲームなのか
コンポーネント
プレイ人数ですが、TCGの場合基本的には2人用ですので、特に問題はありません。ただ、3人以上で遊べるTCGはおもしろいでしょうし、TCGではなく、普通(?)のカードゲーム、ボードゲームなら、2人用ではなく、3人以上のゲームもありえるでしょう。
2人用のゲームと、それ以上の人数で遊べるゲームでは、ゲームデザインの手法が大きく変わりますので、せめてそのどっちなのかは決めておくとよいでしょう。もっと言えば、プレイヤー同士で競うゲームなのか、協力して1つの目標に挑むゲームなのか、くらいは決めておいたほうがいいかもしれません。
コンポーネントとは、カードやボード、チップやコマなど、ゲームの内容物のことです。自分が売るゲームを作るときには、コンポーネントはわりと自由になりますが、依頼を受けてゲームをつくるときには使えるカード枚数に制限があることがあります。使えるカードの枚数によって、それに見合ったゲームがあるので、最初に確認します。
基本システムのデザイン
個々のカードをデザインする前に、まず全体のゲームシステムをデザインします。ここでの基本システムのデザインについては、私の中でも決まった手順はありません。なんか足したり削ったりこねくり回しているうちになんとかゲームになったり、あるいはある日突然ほぼ完成形に近いゲームシステムが「降りて」くることもあります。
ですので、ここでは、基本システムのデザインに関することを、思いつくままに書き並べていきます。
●ユニークにこだわらない
ボードゲームの作り手にしろ、ユーザーにしろ、システムのユニークさにこだわる人は少なくありません。「今までのゲームにない新しさ」を求めるだけでなく、既存のゲームに少しでも似ていることを気にする人もいます。
ですが、キャラクターゲームは、アナログゲーム好きよりも、そのキャラクターが好きな人に向けて作られます。ボードゲーム、カードゲームのマニアに向けて作られるものではありません。完全に新しいものを作るより、おもしろさが実証されている「定番」が求められることも多いです。新しさにこだわるあまりに、おもしろさがないがしろになったら本末転倒です。
キャラクターゲームの場合、その原作にあった既存のシステムを見つけ、それを当てはめるのも立派なゲームデザインです。いい意味で「パクリをおそれるな」ということです。
●キラリと光る一要素
前述したとおり、極端な話、キャラクターゲームでは、既存のゲームシステムの流用でもよいと思います。しかし、同時に、他のシステムにはない要素を1つでいいので埋め込むこと、これはキャラクゲームにとって必須だと思っています。
他のゲームではできないけど、このゲームではできること、他のゲームではなく、このゲームを遊ぶ理由、それがシステムとして組み込まれているのは、商品として大切です。
前述の「ユニークにこだわらない」と一見矛盾するようですが、どこを汎用的システムとして流用し、どこを差別するか、という感じです。例えば、「金色のガッシュベル!! THE CARD BATTLE」は、全体のシステムはよくあるTCGのシステムを使っていますが、「山札」ではなく「カードファイル」を使う魔本システムが、他のTCGにはないシステムになっています。多くが同じでも、1つでもユニークなところがあれば、それがウリになるのです。
このような「ちょい足し」のユニークなシステムには、「○○システム」とケレン味たっぷりに名前をつけるとよいでしょう。「今までも同じようなシステムあったじゃん」なんて声に耳をかたむける必要はありません。言ったもの勝ちです。とりあえず、このような「○○システム」というのがあると、広報さんが喜びます。
●うぉー!原作っぽい!
プレイ中に「原作っぽい!」と言われることは、そのキャラクターゲームへの最大の賛辞です。「普通にルールどおり遊んでいたら、原作と同じような展開になる」というのが、キャラクターゲームの1つの理想です。原作ファンの人が遊んでいるときはもちろん、原作を知らない人が遊んでも、はたからみて「原作っぽい!」という展開になれば、もっと素晴らしいです。
では、どうすれば、「原作っぽい」展開を作れるのか? それは、原作の「法則」を見つけ、それをゲームに組み込むことです。
●原作の法則をルールに落としこむ
バトルマンガなどに多く見受けられますが、原作中には、ゲームシステムのヒントがたくさん転がっています。
例えば、じゃんけんのグーチョキパーのような「3すくみ」だったり、技や魔法のもととなる力(パワーソース)の説明(どうやって得るのか? 上限は?)など、「これ、ゲーム化したら使ってくださいね」と言わんばかりの設定が転がっているのです。
こういったゲーム的設定は、可能な限り基本システムに盛り込むべきです。原作はその法則に沿うようストーリーが作られているので、同じ法則に沿ったルールでゲームをすれば、原作と同じようなゲームができるはずです。
●原作中の「数値」に注目
バトルマンガなどには、よく強さなどを示す「数値」があります。「ドラゴンボール」のサイヤ人編以降に出てくる「戦闘力」などはその好例です。
前述した「リスト作り」では、そういった数値もリスト化するわけですが、この数値を分析すると、原作における「強さ」の法則がわかってきます。キャラクターごとの数値の違いはもちろん、1人のキャラクターの成長による数値の変化、あるいは何かすることでの数値の上昇(武器を両手につけて2倍、2倍のジャンプでさらに2倍、3倍の回転でさらに3倍で累計12倍)など、「数値の変化」を見ることが、そのままルールにつながるはずです。
●明示されていない法則
作品中には明示されていないものの、ファンにはおなじみの「お約束」的な法則もあります。「敵のときは強いのに仲間になると弱くなる」「見開きコマの技は強い」「仲間が倒れたあとは一時的に強くなる」など、これらはわりと一般的な例ですが、原作独特のお約束を見つけ、それをゲームに取り込むと、よりキャラクターゲームらしくなります。
●名シーンを再現
キャラクターゲームにおいて「名シーン」を再現できるかどうかは重要です。もちろん、全部の名シーンを再現する必要はありませんが、少しでも多くのシーンが再現できるようにシステムを構築します。
とくに重要なのは、バトルの名シーンです。その名シーンをゲーム上で再現できないようでは、キャラクターゲームの意味がありません。
ただし、ポンポンと名シーンを出せればいいというものでもありません。その名シーンが起きるために、いくつかの必須となる要素があるはずです。名シーンが起きるために、ゲーム上でプレイヤーが何をすればいいのか(例えば、体力がぎりぎり1だけ残っているとか、敵と圧倒的に力の差があるとか)を見つけ、それをルール化していきます。
●なりきりをゲームに
キャラクターゲームで最も重視される要素の1つが「なりきり」です。要は「ごっこ遊び」です。
・変身シーンのポーズ
・必殺技を出す時のかけ声
・決めセリフ
など、なりきりをしたいポイントは、ゲームの中に必ず入れていきます。
といっても、ルール的に「変身のときに『変身!』と言う」と定めるわけではありません。変身のタイミングや、必殺技を使うタイミングが明確になっていて、そのタイミングに自然と原作のセリフが出てくるのが、よいなりきりのシステムだと思います。
可能なら、その「なりきり」を、コンポーネントを使ってできると最高です。例えば、「金色のガッシュベル!! THE CARD BATTLE」の魔本ファイルは、なりきりをする上で最高のコンポーネントでした。
●ターム(用語)の取り込み
ほとんどの原作には、その原作独特の専門用語があります。「ドラゴンボール」の「気」だったり、「スターウォーズ」の「フォース」や「ミディ=クロリアン値」だったり、「新世紀エヴァンゲリオン」などは専門用語のオンパレードですね。
これらのターム(用語)は原作の世界観を構成する要素ですので、積極的にゲームに取り込んでいきましょう。そのタームの意味をちゃんと考え、システム上に再現していくは理想的ですが、なんなら、ゲーム用語との置き換えだけでも構いません。手札を「フォース」と呼ぶ、これだけでもそれっぽくなりませんか?
●プレイ風景を思い浮かべる
これはキャラクターゲームに限ったことではないのですが、私は、プレイしている姿を思い浮かべながらゲームデザインをします。
アナログゲームは、はたからみて、意外と淡々とプレイが進むことが多いです。でも、カードゲームマンガなどでは、ここぞというシーンで派手にカードを出してみせたり、あるいはダメージをくらったときに派手な演出が入ります。実際のゲームとマンガではちがうと言ってしまえばそれまでですが、ゲームの進行がビジュアル的に映えることは重要です。
特に必殺技を出すとき、超強いキャラクターが登場するとき、大ダメージを受けるときは、プレイがビジュアル的に派手になるように考えます。原作でもそのようなシーンは派手な演出がされていますので、そのような演出をゲームでもできないか、いつも考えています。
●それ、カードにして本当に嬉しい?
特にTCGをゲームデザインするときに気をつけたいのが、カードをコレクションする上で、そのカードを手に入れて嬉しいかどうかということです。
かなり以前ですが、「スーパーロボット大戦スクランブルギャザー」というTCGがありました。これはTVゲームのスーパーロボット大戦シリーズをTCGにしたもので、原作にある精神コマンドがカードになっていました。「必中」とか「ひらめき」とかの文字がでかでかと大きく書かれたカードです。もちろん、ゲームでは精神コマンドカードは非常に重要なカードです。しかし、コレクションユーザー的な視点で言えば、パックから精神コマンドカードが出た時のガッカリ感は否めません。本来なら、ロボットやパイロットのイラストが書かれたカードを期待しているのですから。
ゲームとしては正しくても、キャラクターゲームとしてはガッカリさせてしまう要素は、できるだけ少なくしたほうがよいでしょう。コレクションにそぐわないものは、スターターセットに入れて拡張パックには入れないとか、イラストを工夫してコレクションユーザーでも嬉しくなるようにするとか、そういった工夫が必要です。
●キャラクターゲームの勝利条件
最後に「勝利条件」について。勝利条件とは、ゲームに勝つための目標で、各プレイヤーはこれを目指してプレイしていきます。よくある勝利条件には、
敵の生命点(HP)を0にすれば勝ち
勝利点が高いほうが勝ち
勝利点が規定の点数以上になれば勝ち
が考えられますが、このうち(バトルもの原作の)キャラクターゲームに向いているのは1と3、特に1が向いています。よくあるボードゲームでは2の勝利条件が使われますが、2は(バトルもの原作の)キャラクターゲームにはあまり向いていません。
なぜなら、バトルもの原作の多くは、直感的で暴力的だからです。何点とれば勝ちかわからない勝利点式より、明確にどうすれば勝ちかわかったほうが直感的ですし、何かして点数を稼ぐよりかは、相手にダメージをあたえて倒すほうがわかりやすいのです。
まあ、これはわりと一般論ですが、キャラクターゲームは、可能な限り原作にあった勝利条件が好ましいでしょう。
カードのデータを作る
基本ルールが決まったら、各々のカードのデータを作っていきます。
キャラクターゲームをキャラクターゲームっぽくするのは、基本ルールよりも、各々のカードの効果と言っても過言ではありません。なんなら、既存のゲームに、キャラクターカードだけ追加、差し替えするだけで、キャラクターゲームは作れます(あの会社やあの会社がやってるアレとかアレです)。
自分の原作へのファン心を全開にし、そしてファンの人の気持を考えながら、カードのデータを作ります。
●カードが持つ数値
キャラクターのカードにどんなデータ(特に数値)をもたせるのか、これがまず最初に考えることです。
原作で触れられている数値は、できるだけ持たせます(「ドラゴンボール」の戦闘力や、「キン肉マン」の超人パワーなど)。
原作で具体的な強さの指標が示されていない場合、前述の「リスト」をながめながら、キャラクターのバトル上の「優劣」がどこから来ているのかを考えます。「強さ」とは何なのか? ちょっと哲学的な問いになってしまいますが、たいていの原作はそれに答えを出しています。
●数値の個数
原作のキャラクターには様々な個性があります。「力が強い」「タフ」「スピードが速い」など。
こうした個性を出すために、キャラクターカードの数値の種類も多くしてしまいがちです。TRPGのキャラクターシートなどを見ると、数値を書く欄が2桁にのぼることも少なくありません。
しかし、私はカードゲームにおいては、数値の数は可能な限り少なくしていますし、TCGの業界ではわりとその流れです。いくつもの数字を使っても、所詮数字は数字、個性をあらわすのには限界があります。それよりは効果のテキストで個性を出すほうが、はるかにわかりやすいのです。
できれば、キャラクターが持つ数値は3個以下にしたいところです。
●数値の基準を作る
数値を決める前に、最初に数値の基準を作ります。原作に具体的な数値があればいいのですが、そうでないときには、ゲームデザイナーがその数値を設定します。
まずは原作の主人公(1巻時)の数値を決め、それを基準に他のキャラクターの数値を決めます。また、当面の最大値も決めておくとよいでしょう。当面の最大値は、当面のボスキャラの数値をイメージします。
私の経験則ですが、1~10の10段階で、初期の主人公を4、ボスを10くらいに設定しておくと、将来の成長など込みでうまくいくことが多いです。
●エピソードから数値を決める
数値を決めるときには、原作のエピソードを参考にします。バトルで勝った/負けたの勝敗は参考になりますが、同時に「どうして勝ったのか」のかもチェックします。
キャラAとキャラBのバトルで、最終的にAが勝っていたとします。でも、単純にAの数値をBより高くするとは限りません。バトルの序盤で、キャラBのほうが優勢だったのなら、基本的な数値はBのほうを高くします。そして「最終的にどうして勝てたのか」という要素を入れていきます。例えば、手に入れた武器のおかげで勝てたのなら、その武器の効果(数値プラス)を使えば、数値が逆転して勝てるよう設定します。
このように、エピソードでは具体的な数値がなくても、大小の比較で数値を予想し、設定していきます。
●キャラクターの効果テキスト
キャラクターカードには、強さを表す数値と効果テキストが書かれていますが、この効果テキストが、キャラクターゲームにおける最大の華だと思っています。効果テキストは、そのキャラクターを表現する一番大事なデータであり、そのキャラクターを「原作っぽく」機能させるためのメカニクスです。
ファンは、カードの効果テキストを読んで、そのカードが原作っぽいかどうか評価します。一番の力の入れどころです。
●原作のエピソードを選定
キャラクターの効果テキストを作るときには、まず、その効果テキストの元となる原作のエピソードを選びます。
ファンが大好きな名シーン、名セリフ
キャラクター性がよく出ているエピソード
ゲーム的に使えそうなシーン
一番優先されるのは「名シーン」。ファンの人が見て「あ、このシーンの再現か!」と思えるようなシーンを選びます。
シーンを選んだら、そのシーンがゲームで再現されるように効果テキストを書いていきます。そのシーンで起きたことを、ルールで再現するよう「翻訳」する作業です。
強さが上がった、仲間の強さを上げた、というのはわかりやすいです。仲間を回復させるエピソードも、効果テキストに翻訳するのは簡単です。中には、「エピソードとしては面白いけど、ルールとしてはそれ意味ないよね」みたいな場合もありますが、そこは頭をひねって考えます。こじつけになることもあります。大喜利のようなところもあります。キャラクターゲームを作っていて一番楽しい時間です。
●フレーバー大事、超大事
カードデータの中には「フレーバーテキスト」というものがあります。ゲームの効果には影響をあたえない説明文のようなものです。
最初のころは、このフレーバーテキストは自分では書かず、原作に詳しい専門のライターさんに書いてもらったこともありますが、途中から可能な限り自分で書くようになりました。なぜなら、フレーバーテキストはゲームデザインの上で重要だからです。
前述したとおり、効果テキストは、原作のエピソードをイメージして作っていますが、いざ効果テキストになってしまうと、元ネタがわからなくなってしまうこともあります。
しかし、フレーバーテキストがあれば、「ああ、あのシーンのことだ!」とわかります。フレーバーテキストは効果テキストと一心同体少女隊、効果テキストのおもしろさを一層もりあげてくれるのです。
●さすがに困るキャラクター
たまにですが、原作にほとんど記述がないキャラクターがいます。例えば、新約聖書の十二使徒、十二使徒というからには12人いるわけですが、その半分以上はほとんど記述がありません。なんなら、名前しか出てきてないキャラクターもいます。このようなキャラクターの効果テキストを考えるときには一苦労です。
無難な効果をつけてお茶を濁すのもありですが、よくやるのは「シナジー」に逃げる、という方法です。シナジーとは、カード単体ではなく、複数のカードがあって働く効果です。「コンボ」と近い意味です。同じように効果テキストを考えつかないキャラクターとまとめて効果をつけたり、他のキャラクターとキャラクターをつなげるための「のり」の役割にします。
基本ルールができ、キャラクターカードやその他のデータができれば、いちおうキャラクターゲームとしては形になります。
これらのデータからテストプレイ用のサンプルを作り、テストプレイを重ねていきます。最初から完璧なバランスで作ろうとはしません。まずはキャラクターゲームとしてキャラクターのイメージを再現できるデータを作り、テストプレイの中で強さの修正をしていきます。ゲームデザインはまだまだ始まったばかりです。
キャラクターゲームデザインのあれこれ
その他、キャラクターゲームならではのゲームデザインのあれこれを書いていきます。
●原作再現とシナジー
キャラクターゲームでは個々のキャラクターのテキスト効果も重要ですが、キャラクターどうしの関係も重要です。キャラクター1体ではそれほどでもない強さでも、2体のキャラクターの効果があわさればその効果は「1+1は2じゃないよ!」となる、これはカードゲームの魅力ですし、また原作の魅力でもあります。
このようなキャラクターのシナジー(コンボと言ってもいいです)には2種類があります。
まずは、効果にシナジーが明確に書かれているもの。例えば、キャラクターAの効果テキストに「自分の場にキャラクターBがいれば、このキャラクターの強さ+100」などと書かれている場合です。これは、明確にキャラクターAとBを組み合わせれば強くなるということがわかります。
直接的にシナジーを書くのは、わかりやすいというメリットがある反面、シナジーが限定的になりすぎるため、効果対象が広がりません(夢が広がらない、と言ってもいいでしょう)。
もうひとつは、効果どうしが互いにつながり、シナジーとなる方法です。例えば「攻撃後にマヒする」というマイナスの効果と、「自分の場のマヒしているキャラクター1体につき強さ+100、その後、マヒしているキャラクターは回復」という効果は、シナジーによりより強力な効果になります。この2つは、明確には相手のキャラクターを指定していませんが、実はつながっています。
この「明確に書かれていないが、実はつながっている」というのは、ファン心理をくすぐります。また、他のキャラクターともつながる可能性を持っています。「夢が広がる」というやつですね。
●原作にどれだけ忠実であるべきか
原作を再現できることは、キャラクターゲームでは大事です。しかし、ゲームでは「原作にはないこと」が起きることがあります。原作では起きないことをどれだけ容認するのか、これは重要な問題です。
例えば、あるキャラクターがいて、その専用の必殺技カードがあったとします。その必殺技カードを他のキャラクターを使えるかどうか。「金色のガッシュベル!! THE CARD BATTLE」では「ガッシュ・ベル」というキャラクターがいて、「ザケル」という呪文カードを使いますが、「ザケル」という呪文を他のキャラクターが使えるかどうか、ということです。「ガッシュ・ベル」しか「ザケル」が使えないなら原作に忠実、ということになりますし、他のキャラクターも「ザケル」が使えるなら、原作には忠実ではありません。しかし、ifの展開が可能になり、ゲームが広がるかもしれません。
この例の場合、「ザケル」は「ガッシュ・ベル」と「ゼオン」というキャラクターのみが使える、という原作に忠実なルールにしました。そこは、原作として譲れないラインであり、ファンが望むものではないという判断でした。
ですが、他のものなら原作にはないifの組み合わせも許していくべきでしょう。例えば、部隊やチームなどは、ファンがすきな組み合わせでプレイしたいでしょうし、そこに思いもしない新しい展開が生まれるかもしれません。ルールにはある程度の「隙」をつくり、原作にはない展開が楽しめるようにします。それもゲームの魅力です。
ただ、ゲームデザイナーが妄想するのではありません。プレイヤーが妄想できるようにするのがゲームデザイナーの役割です。
●主人公強い問題
たいていの原作の主人公は強いです。そのままカードデータを作ると主人公のキャタクターデータは最強になってしまうでしょう。これについては、2つの考え方をしています。
まずは、主人公は強くて構わない、という考え方。特にTCGではそうです。TCGでは自販機やパックからランダムでカードをゲットしますが、主人公のカードは「当たり」であってしかるべきです。ですので、主人公はバランスを大きく崩さない程度に強くしています。
もうひとつは、効果テキストでバランスを取るという方法です。主人公キャラクターの効果テキストは、どちらかというと単純にわかりやすくします。これは、ゲームに詳しくないユーザーほど、主人公を使いたがるためです。「効果はわかりやすく、そこそこ強い」、これが主人公キャラクターの理想だと思っています。逆に、主人公ではない「強い」キャラクターの場合、使いこなすのは難しいが、うまく使えば主人公よりも強くなる(こともある)という効果テキストにしています。
ひとつ気をつけていることですが、「主人公は強いけど、その強さにあわせてコストを高くする」という手法はできるだけ使わないようにしています。やはりファンだと主人公のキャラクターは最初から使いたいと思うものです。ですので、「主人公キャラクターが出したいけど、なかなか召喚(?)できないよー」とはならないようにしています。どうしても強い主人公キャラクターを出したい場合は、初期のキャラクターからレベルアップや進化のような形で出すようにします。
キャラクターゲームを作ろう
さて、最後に。この記事は「Board Game Design Advent Calendar 2015」の一記事ということで、ゲーム製作者さん、特にアマチュアのゲーム製作者さんにも読まれていると思います。そこで、アマチュアのゲーム製作者さん向けに、ちょっと問題提起をします。
現在、ゲームマーケット(国内のアナログゲームイベント)では、版権物のゲームは多くありません。コミックマーケットでは、版権物の同人誌や同人ゲームが多く見られるのと比べると、オリジナルのゲームが多く、ある意味コミケとの差別化が見られます。
それでも、中には他者の版権を無断で使用したゲームがいくつか見受けられます。中には原作のタイトルまで使っているものまであります。このような海賊版のキャラクター商品の是非については、ここではとやかく言いません。
難しいことと承知の上で、「版元の許可を得たキャラクター商品」を作ることを選択肢に入れることを提案します。版元の許可を得ることは、様々なメリットがあります。まずはコンプライアンスの立場から。そして商品の価値を高め、売上も上がります。また、公認の商品となれば、比較的安い費用で公式の絵素材を使えることも多いです。版元からさまざまなアドバイスなどをもらえることもあります。
実際に、さまざまな団体に働きかけ、公認をえたり、合法的に絵素材を利用している国産ゲームも見かけます(個人製作のゲームでも)。このように、ちゃんと版元の許可を得た版権ものゲームが増えることを願っています。
もちろん、版元から断られることもありますし、そもそも相手をしてもらえないことも多いでしょう。許可が出たとしても、さまざまな制限や使用料の請求があるかもしれません。しかし、様々な制限の中で、できるものを作っていくことも、ゲームデザインでは大切なことです。
そうやって苦労してできるものは、社会とのつながりです。ゲームと社会がつながっていくのは素晴らしいことだと思います。