【電気知識集vol.2】送電系統への発電機並列失敗の原因(逆電力継電器動作)
「発電機と送電系統の繋がりを勉強するために、まとまった資料が欲しい」
電験3種を勉強していた高校時代から思っていた。今回、教科書、電験過去問、論文(海外論文含む)を0から調べた。
今回の記事では、関連知識もまとめて学ぶことができる。「この分野のまとめ、完成版」と言ってもいい資料である。
こういう知識集を自分が欲しかった。多くの電気技術者、電験学習者に役立つことができることを願っている。
送電系統の勉強は行いづらい
「発電機から電気が生まれる」仕組みは、分かり易くて理解しやすい。勉強資料もたくさんある。
(漏れ磁束等を考慮した計算については、やってみると実感するが難しい。しかも資料が少ない。一般の方にとっては、正確に計算する必要もないため、そこまで支障はないが。)
一方、送電系統というのは理論的に説明すること自体、難しい。電力会社が運用しているので、企業秘の情報が含まれることもあって、なかなか詳細を知ることが難しい。
また、送電系統の事故には多くの種類、対応方法が存在することも難易度を高めている。整理された資料が少ないことも相まって、勉強しにくい。
昨年、北海道での大地震による大停電が発生したが、大停電の要因、ブラックアウトからの復旧失敗、完全復旧までを説明できる人というのは少ない。発電機の特性だけではなく、送電系統の仕組みと運用まで理解しなくては説明できないためである。
今回の知識集では、電気技術者として特に重要な「送電系統への発電機並列」について解説する。この知識を押さえておくことで、幅広く応用も利くようになる。
※理解しやすいように、基礎知識が最初に含まれることをご了承下さい。
○送電系統について
1.送電系統の概要
送電系統とは送電網とも呼ばれ、発電機で発生した電気を網のように地域に張り巡らせた電線を通して、電気の使用者まで届ける役割を担う。
送電系統を運用するにあたって、どういったパラメータを管理していなくてはならないのかというと
送電系統内における
①電圧
②電流
③位相
④周波数
⑤有効電力
⑥無効電力
⑦予備率
⑧設備の稼働状況
⑨負荷の状況
品質の良い電気(一定の電圧、周波数)を維持するためには、少なくとも上記のパラメータを管理しなくてはいけない。
2.送電系統の運用について
送電系統の運用に重要なことは、「負荷の状況に応じて、発電機で作り出す電気(有効電力、無効電力)の量をコントロールする必要がある」ということである。
電気を作りすぎると、電気は保存しておくことが難しいため、大量の燃料が無駄になってしまうためだ。
さらに、それだけではなく別の問題も生じる。
「周波数変動」である。周波数が許容範囲を超えて変化すると、設備が正常に動作しなくなったり、破損したりする。
周波数を理解するにあたり、分かり易い事例が「自転車のペダル」である。平坦な道では、ペダルをこぐ力はそこまで必要ではないが、坂道を登る時、ペダルは急に重くなり、平坦な道を走行していた時以上にペダルをこぐ必要がある。一方で、坂道を下る時は、ペダルは軽くなり、僅かな力でペダルは回り続ける。発電機、送電系統においても同じことが起こるのである。
しかし、発電機と発電機を廻すタービンは、自転車と規模が違う。何トンという重さの設備に付属する羽根を蒸気等によって、1秒間に50回転、60回転の速度で駆動させるのである。
「80回転、100回転ぐらいで回転させても大丈夫っしょ」という人もいるが、実物を見て、温度と駆動音を実感すると、管理が必要だなと理解する。
ここまでの記事で、送電系統というのは規定の質を持った電気を供給するために、パラメータを管理しているということを理解して頂けたと思う。
それでは、本題の「発電機の並列失敗原因」を解説していく。
○発電機並列失敗の原因
通常は、下記の条件を満たした上で系統に発電機を並列する。
【発電機の並列条件】
①発電機電圧が系統電圧と等しいこと
②発電機周波数が系統周波数と等しいこと
③発電機電圧の位相と系統電圧の位相と等しいこと
電験のテキストには必ず上記の内容が記載されている。電験2種を受験していた時期の自分は、並列条件の意味までは完全に理解していなかった。しかし、故障事故の説明する場面や電気知識を後輩に教えるにあたり、条件の意味を完全に理解していなかったため、論理立てた説明ができないといったことを経験した。
並列条件だけ見ると、簡単にも思える。
しかし、「なぜこの条件なのか」を考えたことがあるだろうか。これが非常に重要であり、本記事のメインテーマである。
ここを理解することで、電気技術者として一目を置かれることになる。また、上位の電験資格の合格にも近づくことができる。
メインテーマ:発電機の並列条件を満足せず、発電機を並列した場合を考えてみる
①並列条件を満たさずに発電機を並列した場合、どうなるかご存知だろうか。発電機から生み出される電気(電圧、電流、有効電力、無効電力)はどのような挙動を示すのか。
【ケース1】 発電機側の電圧が低い場合
【ケース2】 位相がずれている場合
【ケース3】 周波数が低い場合
※条件が満足しない場合、発電機が並列しないように保護継電器による保護が通常かかるが、その保護が働かないことも設備不良等で稀に起こる。
②並列条件が満足している場合の発電機並列時の負荷分担について、垂下特性(ドループ特性)との関係性はどうなのか。
有料記事では上記を解説していく。
本有料記事では「送電系統への発電機並列に関連する知識」の中でも、特に難しい部分を簡単に学ぶことができる。かなりの知識を凝縮した。こういうものが自分は欲しかった。
上記の内容を0から調べると、時間がかなりかかる。調べる時間の短縮にして頂きたい。
※お金持ちであれば、無料公開したいのですが、今後の活動していくために必要な参考書、論文の購入費とさせて下さい。その分、役立てるように頑張ります。
わからない部分がありましたら、twitterでメッセージ頂けると回答いたします。
有料記事の詳細を記載すると、下記の内容を学べる。
・それぞれのケースが、どういう状態なのか学ぶことができる。
・それぞれのケースからどんな問題が発生するのか学ぶことができる。
・勘違いしやすい有効電力、無効電力はどう変動するか学ぶことができる。
・発電機のパラメータについても合わせて学ぶことができる。発電機の可能出力曲線における界磁電圧の調整が、どのように影響するかについても記載しています。
・発電機の垂下特性(ドループ特性)が、負荷分担にどう影響し、どのように調整するのか学ぶことができる。
【電験学習者へのメリットまとめ】
電験学習者のメリットについても、整理しておくと、電験1種2種の一次二次試験に役立ちます。
メリット①
各事象に対する説明ができるようになる。発電機の有効電力、無効電力と各事象との関係性を理解することができるので、スコアアップに直結する。
メリット②
各事象の説明だけではなく、発生する問題(機器に対する影響)までも説明できるようになるので、二次試験の記述だけではなく、一次試験の穴埋め問題にも幅広く対応できるようになる。
メリット③
複数の発電機の並列問題(速度変動率)のイメージを掴むことができる。速度特性に加え、垂下特性(ドループ特性)、負荷分担についても理解することができる。調速機との関連についても理解することができる。
一次試験の穴埋め問題、二次試験の計算、記述に対応できるようになる。
メリット④
発電機の可能出力曲線を理解した上で、発電機電圧を高めることが系統にどのような影響を持つのか説明できるようになる。教科書、参考書を見ても詳細は載っていない。授業等ではきちんと解説してくれる先生は少ない。(わかっていない人が大半という問題もあるが)
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