お茶マーケティングやってみた⑤
さあ、4大お茶メーカーのマーケティングリサーチ最終記事!
前回の記事はこれ↓
今回は各社のターゲットを考えたり、今後の動向を探ってみるよ。
ー記事の流れー
記事2①製品の分析 前半戦:お〜いお茶、生茶編
記事3①製品の分析 後半戦:綾鷹、伊右衛門編
記事4②プロモーションの分析
・CMにおけるメッセージ性や、
・起用モデルの変化、選定理由をまとめてみた
記事5③ターゲットの分析←イマココ!!
④各メーカーの成果と、2020年現在の注力状況は??
③ターゲット分析
ⅰお〜いお茶
お〜いお茶のメインターゲットは、公式いわく60代男性!意外と高年齢!!。このように老舗メーカーならではの課題が、顧客の高齢化なんだって。でも、お~いお茶が巨大ブランド過ぎて、いまさら大胆に商品を変えることはできないという声もある。
そこで、お~いお茶は派生商品である「絶品ほうじ茶」を若めの層向けにして売り出しを開始。なんとそこで20~40代の女性のユーザーを取り込むことに成功!!このように、派生商品で新規獲得を狙う姿勢を見せているのだ。
ⅱ生茶
公式としては、具体的な年代をターゲットにしているという記述は見つからなかった。。広く、「緑茶好きな人」、「こだわりのある人」や「日常を丁寧に暮らしている人」だとしているそう。考察として、生茶のCM起用モデルの年齢が年々低下していて、若者にターゲットをしぼっているのでは?と考えられる。
また、2017年からデカフェ生茶も発売!こだわりが増し、妊婦さんなどへの配慮も見られる。
ⅲ綾鷹
公式としては、働く30~40代の男性だとしている。実はこの層、緑茶飲料市場では、なんと最も大きな市場層らしい。綾鷹が行った市場調査によると、20 代から30 代の男性は週に 7 本以上緑茶を飲むという。つまり、他の層に比べて一人当たりの飲む量が多い。
売上の拡大を狙うには、論理的に考えると彼らに刺さるマーケティングにすることが一番の近道なのだ。なるほど!戦略的。
ⅳ伊右衛門
綾鷹と同じく、 20 代~30 代の働き盛りの男性にターゲットを置いている。伊右衛門の課題は、いかに普段飲むお茶を他のメーカーから伊右衛門にスイッチングさせるか。つまり、たくさん飲む割に緑茶に特にこだわりがなく、一度手に取ったお茶をなんとなく飲み続けている、そんなお客さんをどう振り向かせるか、というのが一番の課題なんだって。
伊右衛門はCMモデルが初期から変わっておらず、本木さんと宮沢さん演じるキャラクターの関係性である、『働きに出る夫を支える妻』像も長年変わっていない。そこが他のメーカーCMに比べて若干古いな、と感じさせてしまう。一方、2020年に新たにスタートしたCMでは、メインターゲットに近い加藤浩次さんを主体とし、黒柳徹子さんや芦田愛菜さんなど、大きく振り幅を持った展開にしていて、割と大胆に出たな、と感じる。
また、派生商品の特茶は女性獲得にも意欲的で、ダイエットアプリとのコラボも行なっている。
ダイエットアプリFINCとのコラボキャンペーン
最後に、まとめとして実際の各メーカーの売上を比べて、マーケティングの成果が見られるのか確認してみる。また、今後どういう展開をするのか、それぞれの方向性を見てみる。
④各メーカーの成果の比較と2020年現在の注力状況
ちょっと古いデータだが、ダイヤモンド記事によると、2017年の全体としては、お〜いお茶が4割強のシェアを誇っていて、その次に伊右衛門と綾鷹が拮抗する形となっている。
一方、お〜いお茶は大容量のものがスーパーで売れているが、個人消費の500ml商品だと、なんと伊右衛門とお〜いお茶がいい勝負だという。
太い顧客層を狙った綾鷹と伊右衛門では、伊右衛門の方が成果が出ていると言えそうだ。。個別にみてみよう。
ⅰお〜いお茶
緑茶飲料市場で40%前後のシェアを保持していて、2018年の販売実績は過去最高の9,000万ケースを突破し、なんと世界一売れた緑茶飲料としてギネスにも認定されちゃったらしい。 認定された年間売上は推定19億6,680万ドルとされている(第三者のグローバル調査データに基づく値。 ほうじ茶製品を除く)。
また現在、30か国以上で販売!最初に進出したのはアメリカのニューヨークで、近年注目されているのはシリコンバレーなんだって。いつの間にか世界のお〜いお茶に。
今後も世界展開を増やしていくとみられる。
ⅱ生茶
2016年のリニューアル直後発売2カ月で500万箱を発売し、前年同期比190%を記録!よっデザインを愛し、デザインに愛された生茶!!リニューアル後の1年間も2620万箱、前年比144%の出荷数を誇ったという。
このような好調を受けて、キリンビバレッジは2020年1月23日に開いた新年度事業方針説明会で、2020年は好調の「午後の紅茶」と20周年の「生茶」の2ブランドに資源を集中すると明らかにしている。そのままキリンを引っ張るメイン商品に!頑張れ生茶!
ⅲ綾鷹
「急須で淹れたお茶」にメッセージを変えた直後は、39カ月連続で販売数量が2ケタ成長。また緑茶市場でのシェアも、32カ月連続で伸ばしている。しかし、その後伊右衛門との戦いに一歩遅れを取っているのが現状であろう。
2019年からはオリンピックキャンペーンを強くおしだし、世界に名を広めていこうとの意気込みが感じられる。悔しくもオリンピックは延期になってしまったが、第二のコカコーラのようなブランド力を目指してこのまま頑張れ!!
多様に展開する、綾鷹オリンピック記念グッズ
ⅳ伊右衛門
現在、6年連続トクホ茶No.1である特茶の市場獲得が進んでいて、伊右衛門よりも特茶に注力していくと考えられる。サントリーのIRによると、高価格で付加価値の高い特茶の売上を伸ばしたいとの思いが見える。
現在「100年ライフプロジェクト」を企画していて、特茶を通じ、気軽に、楽しく続けられる、“健康生活提案ブランド”を目指すとされている。
健康寿命を延ばす特茶プログラムの企画
まとめと感想
いかがだっただろうか。ペットボトルのパッケージデザインをしっかり見つめてみると、意外とマーケターの考えが見えてきたりするもので、とても面白い作業だった。
でも改めて調べ直すことで、それぞれのこだわりをもっと知り、個性がさらに際立って分かるようになって、とても理解が深まった。例えばお〜いお茶のペットボトルに細工されたドレス状になった入れ込みが、鮮度を保つための構造だったなんて思いもしなかった。デザインにも、”鮮度を大切にしたい”との思いが入っているなんて、そのメッセージの一貫性に感動を覚えた。
あれもこれもと入れ込むのではなく、CMとデザインでも同じメッセージを感じ取れるような、そんな一貫性がこだわりとなりブランド力を作り上げるのだな、と強く感じた。
今回は緑茶メーカーを取り上げたが、また機会があれば他の飲料にも挑戦してみたい。
参考記事
https://diamond.jp/articles/-/139853
https://president.jp/articles/-/3001?page=2
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1210/31/news010_5.html
https://www.suntory.co.jp/softdrink/news/pr/article/SBF0934.html?rss=0000000029
https://www.ssnp.co.jp/news/beverage/2020/03/2020-0317-1556-14.html
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