無限なる可能性の闇
今年も残すところわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
私は、今年の目標といたしまして、「Outputベースのinputを行う」というものを個人的に立てておりました。しかし、Outputの機会をしっかりととらないまま年の瀬を迎えてしまい、また読み残した本も多々あります。そこで、せめて残りの時間だけでもOutputやOutputベースのinputができればと思い、とりあえず書いてみることにしました。
ざっくばらんに自分の好きな本、読んでいてなるほどと思った思想などを紹介できればと思います。
どこまで続くかわかりませんが、第一弾は森見登美彦の『四畳半神話体系』です。
「可能性という言葉を無制限に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である」-森見登美彦「四畳半神話大系」
これは、森見登美彦の「四畳半神話大系」に登場する樋口氏による台詞です。この台詞は主人公である「私」が、大学入学時に理想としていた「バラ色のキャンパスライフ」が訪れないまま2年間を過ごしてしまったことを嘆き、もっと違う選択をしていれば良かったのではと様々な可能性に思いを馳せている中、「私」の「師匠」である樋口が放った一言です。
就活をしている中、「君たちには色々な選択肢がある」「可能性がまだまだある」と言われることが多々あります。
確かに我々には可能性があり、それゆえにあまりに多くの選択肢が用意されています。それ自体幸せなことであり、そのような恵まれた環境に感謝すべきことでもあります。しかし、自分の可能性を無限定に肯定してしまうことでかえって自分が何者であるかを永遠に探し続け、闇に飲み込まれてしまうのではないかと危惧しています。
自分の存在を規定するのは、自分ではなく他者との比較においてであるという意見と同様に、自分の可能性ではなく不可能性に注目してみることも、一種の自己理解に繋がるのかもしれません。
このような考えに現在の私は納得感を覚えます。
また、自分の可能性を信じ、環境を変え新しいことに挑戦することで自分の力を伸ばそうとする人がいます。確かに環境を変えることで今までにない能力を発揮できるようになるかもしれません。しかし、環境を変えずに自分で選択したものを自ら正解にする力も求められていると思います。
今与えられた環境下で、自らの出来る事に誠意を尽くし、出来ないことを出来るように幅を広げていけたらと思います。
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