|父と自転車
父の話。
ここまでの記事でも少し書いてきたが、私の父はなかなかクセが強い。クセしかない。
いや、クセモノ(曲者)?
インテリ男からの…
「あの人お父さん?かっこいいね!」
父は、幼い私の自慢だった。
自営業でデザインの仕事をして、スラッと背が高く、30年前の時代に既にパソコンをバリバリ使いこなすインテリ男。
それが紆余曲折を経て、いつしかあの"デューク更家"を連想させるファンキーオヤジと化していった。(デュークさんすみません、似てるんです)
人混みではぐれても、即見つかる。
地元のショッピングモールで、こんな黄緑色あるかってくらい原色のTシャツ、袖から出る腕はムキムキで日焼けを重ねすぎて焦げつき、まるで木。俺様が通る、と言わんばかりに大股でノシノシ歩いてくる。語弊を恐れず言うなら、ここ数年、ある意味で日本人離れしてきている気がする。(本人も言っている)
父、自転車と出会う
…と言ってもなぜ自転車にハマったのか、きっかけを詳しく聞いたことはない。一回なんとなく聞いたことがあったか…
「ん?俺が最初に始めた」とかなんとか言われてもう聞くのをやめたっけ。
いつからだっただろうか。
気付けば、インテリ男がタバコを燻らす姿は見なくなり、カラダを鍛え始め、急勾配の岩場や崖を自転車で降るダウンヒルにのめり込んでいるようだった。まぁまぁな負傷も多数。
その辺からだんだんと、前述した"稀有な風貌"に変わっていった。
↓駅で自転車をたたむ父(先週のライドにて)
手脚が木の色。
父と私
考え方が極端で、偉そうなことばかり言う。
自分の話ばかりで人の話をちゃんと聞いてない。おそらく初耳であろう事も、まるで自分が既に知っていたかのような反応をする。すぐ人を趣味に引き込む。目立ちたがり。見栄っ張り。負けず嫌い。俺様キングス。
私が結婚して実家を出て約7年。
ここに来て、そんなところも含めて、父らしいな、かわいいなと笑えるようになってきた。
不思議なことに。
煙たさと愛らしさの間のよくわからない感情。
今思い返せば…
私たちは昔から、よく喧嘩をしていた。
本気の言い合いの喧嘩もあった。
でも今思えば、ほとんどはふざけ合ってた。
お互いを罵り合って、じゃんけんデコピンで、おでこが紫色になって2人ともうずくまって終わるという謎の勝負。
母と弟は自由に動く中、気がつくと父が一人になっていて、私はいつも駆けて行ってその腕にしがみついた。
父が運転する車の中、母と弟は即行で寝る。でも私は、どんなに眠くても必死に自分をつねって父に話しかけていた。
今でも父は言う。
「お前は昔から目が固かったよな〜」
あれは目が固かったんじゃない。
結局、私は父を放っておけなかったのだ。
今年で65になる今でも、
友達がたくさんいて、寂しそうなわけでもないし、体格もガッチリしていて、料理も何でも一人でこなせる父。
だけど、なぜか、気になってしまう。
仕方ない、私がその自慢話を聞いてやるか。
そして、それは今も。
父のマイペースさに毎度呆れた感じであしらっている私は、大人になって父への反抗期が来てるのかとすら思っていた。
でもそういう風に、昔のように、父とは言い合ってふざけ合いたいのかもしれない。
お互いをけなし合って笑い合う。
父とは、そういう方が私にとって居心地がいいのかもしれない。
…父もそうだといいな。
今度またお昼でも誘ってみよう。