ここは問題児のクラスか?

 学生、と言うからには。
当たり前だけど、朝から夕方まで学校生活を送る事になる。
美容学校は基本的に白衣なので、登校したら即着替え。季節は夏。一瞬薄着になる。
「tattoo入ってるんスね」
隣のギャル男に一瞬でバレたー!!
しかし美容学校。誰もそれを咎めない。ありがてぇ(そもそも、高齢者の姑すらtattoo否定しないからね……)
 朝礼とか懐かしー。とほっこりも束の間。
「あのさぁ。お前、白衣のボタンくらいきちんと閉めろよ」
うっわ怖。担任やっぱヤンキーじゃん。
しかも目付けられたの隣のギャル男じゃん。
多分だけど、ギャル男は怒られ耐性強い。先生の言葉が荒くても全然ビビってない。
その隣で自分が悪い訳でもないのにビビり散らす陰キャ眼鏡(私)

 あからさまに相性最悪。地獄の学園生活スタート。
……辞めてもいいかな?

 担任が全体指導と実技指導。公衆衛生の担当は本業が獣医さん(優しい)、保健の先生は担任とはベクトルが違う怖さがあるドS先生、物理化学は高校の教員免許持ちの真っ当すぎるザ・先生(なので授業はめちゃくちゃ眠くなる不思議)、確かそんな感じだった記憶がある。

 とにかく担任がナチュラルボーンサディスト。
授業が中盤になると「宿題」と称して、自宅でウィッグ(首だけのマネキン)をカットしてくる、なんて状況が始まる。朝、提出して、実技の授業前に返される。実技は返されたウィッグで課題を克服する。ウィッグには各自名前が書いてあるのだけ、ど。
「那須野さーん。……コレ名前見なくてもわかる」
歩み出た足がビタッ!と見事なまでに止まった。つまりそれって名前見なくても分かるくらい下手って事だろう?って。

……辞めてもいいかな?

 陰キャ大爆発で理由も聞けないままウィッグを受け取る私とただただニヤつく担任。劣等生の自覚があるから諦めてただただ授業に食らいついて行く(こう言うとこは陰キャなくせに脳筋なんだよね)

 授業後。多分、何も聞かない私に何か思ったのか、担任が話しかけてきた(やめて)
「ねぇ、何で名前見ないで分かったか、わかる?」
下手だから……ですよね。
「那須野さんだけ一年違うから、ウィッグの品番自体が違うんだよ⭐︎」
(やってくれたな……)
   楽しそうにネタバラシされた時、ああこの人はナチュラルボーンサディストなんだと確信した。

そしてクラス一、学校耐性の低い私はこの、ドSヤンクミモドキに結局最後まで泣かされ続ける事になる事が決定した瞬間でもある。

つーか他のみんな学校耐性高すぎるでしょ。
……辞めてもいいかな?

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