⁑お知らせ⁑ 宝塚の本箱「パルムの僧院」が配信されました。
Book Bangの連載「宝塚の本箱」。
「情熱のバルセロナ」の原作である小説「パルムの僧院」について書きました!
宝塚歌劇団で1982年、大地真央さん主演で上演された「情熱のバルセロナ」。2009年には雪組の全国ツアー公演として再演されました。
原作の小説はなかなか手強い作品で、読み進めるのがひと苦労。
1796年頃からの、ヨーロッパの歴史や文化をよく理解して冷静に読まないと、主人公の躍動に追いつけないのです。
待ってくれ、ファブリス!!
いつの時代もどこの国でも、突っ走る若者の勢いは誰にも止められません。
そんな主人公が恋を知り、過去も立場も棄てて人を愛する。
脚本・演出をされた柴田侑宏先生が描いたのは、フランシスコと名を変えた主人公の、情熱の行きつく先でした。
熱い舞台を思い起こさせる、はるな檸檬さんのイラストも必見です。
ぜひお楽しみくださいませ!
先日のハリネズミラジオで、山之口獏さんの「相子」という詩を読ませて頂きました。
汽車で金入を盗まれて、そんな自分が可笑しくなってしまう。
だって、その金入の中身は他人の名刺ばかり。
お金の少ない金入を見た盗人は、今頃腹を立てているだろうなあ。
そう思うと、ますます愉快な気持ちになってくる。
そういうお話なのです。
獏さんの語りが聞こえてくるような言葉が連なる、素朴さの中にきりりとした道筋が見える詩です。
不幸に見舞われてしまったり、誰かの言動に怒ったり。
そんな時、憤慨する自分を笑い飛ばせるのが獏さんです。
怒りを覚えても仕方のないことなら、笑ってしまおう。
そうして「よくよく考えれば、お相子だね」、そんなこともあるのです。
獏さんの詩は、静かな言葉に可笑しみを乗っけて、人生を楽しむコツを伝授してくれました。
もうすぐ春がやってきます。
少し難しい小説を手にとったり、くすりと笑い声が漏れる優しい詩に出会ったり。
そんなひとときを楽しめる、あたたかみある1日となりますように。
読んでくださり、本当に有難うございました。 あなたとの、この出会いを大切に思います。 これからも宜しくお願いします!