⁑お知らせ⁑宝塚の本箱「ポーの一族」が配信されました。
Book Bangの連載、「宝塚の本箱」。
「ポーの一族」のブックレビューが配信されました!
多くの読者さんに愛されている漫画、「ポーの一族」。
名作のブックレビューを書かせていただけるなんて緊張する、そして大変嬉しい経験をさせていただきました。
高校生の時に初めて読んだこの作品を、大人になってから改めて読み直した時。
あの頃よりいくらか物事を知った私の目に、エドガーの孤独を通して様々な風景が見えてきました。
はるな檸檬さんの素晴らしいイラストとともに、ぜひお楽しみくださいませ!
https://www.bookbang.jp/takarabako/article/513#
「ポーの一族」を読むと、「忘れる」ということについて思いを巡らせたくなります。
写真や映像で記録された、昔の出来事。
しかしそれらは膨大な時間のごく一部分である上に、小さな点でしかない、とある地点の記録に過ぎません。
今、この瞬間も、映像にも書面にも記録されない1分1秒の景色はどんどん流れ去っています。
そういう景色を焼き付けているのは、誰かの瞳です。
思い出の中だけに残る人物やその言葉、数々の物語があります。
でも、人はだんだんと忘れていきます。
そういうものなのだ、人は、みんな同じように。
だが、バンパネラであるエドガーは違うのです。
忘れていくのも、忘れられるのも、寂しいもの。
「楽しかったことや、心揺さぶられた大切な出来事を忘れるのが怖い」、私はそんな子供でした。
だからこそ日記を書いたり、ささやかなメモをとるようになりました。
感動的なことや人生の教訓を書き留めている、と言いたいところですが、一番忘れたくないのは「面白かった出来事」です。
大笑いしたことも、少し時間が経てば案外すっかり忘れてしまい、「なんであんなに爆笑したんだっけ」と悩むことが多いのです。
我ながらくだらない記録だと苦笑いしつつも、笑った思い出をいつでも取り出せるよう、書き留めていたいなあ。
春風が吹く街。
いつのまにか、桜の季節も過ぎようとしています。
夢か現かわからない幻影の春日に、エドガーに会う旅へ、「ポーの一族」のページをめくってみませんか。