【一級建築士 製図試験】本試験当日、何が起きたのか?
こんにちは、macoです。
去る10月11日の日曜日、令和2年一級建築士製図試験を受験してきました。
令和2年に学科試験に初めて合格し、製図試験は今回が初受験でした。
現在は12月の合格発表を控え、祈りながら結果を待っているところです。
※結果が出ましたので、一番下に追記しました。
令和2年の製図課題は「高齢者介護施設」でした。
当日はエスキス1時間55分(読み取り21分)、中間チェック7分、記述41分、トイレ3分(猛ダッシュ)、作図3時間44分で試験を終えました。
そして試験終了30分後につぶやいたツイートがこちらです↓
もうこのツイートを見ただけで大爆死だったことは想像つくと思いますが、本試験当日に何が起こったのかを、この記事で綴りたいと思います。
いつもの文章とは少し感じが違いますが、その時起きたこと、感じたこと、思ったことを出来るだけ正確に書きました。
これから一級建築士を目指す方に、製図試験の雰囲気が少しでも伝われば良いなと思います。
長いですが、是非読んでもらえると嬉しいです。
ではどうぞ。
本試験当日
朝起きて、朝食を食べる。
体調も悪くないし、よく寝れた。
持ち物の最終確認をして、子供に行かないで!と号泣されつつ出発。
台風も逸れて雨も降っていなかったが、もともと予約していたタクシーで会場に向かう。
電車でも良かったが体力温存。
タクシーの移動中に、資格学校で仲良くしていた2人に、お互い頑張ろうとLINEを送る。
開場20分前に会場に着く。
もうすでに人がたくさん。
入口で自分の受験番号を確認し、教室を確認する。
資格学校が配っているまくらを持っている受験生が目に入る。
もらっておいた方がいいか?
まくらをもらうために、少し道を戻る(結局もらったまくらは使わず、持参したまくらで対応できた)。
会場の方に戻ると、入場の列ができ始めていて、列に並ぶ。
後に並んでいた男性2人組、会話の内容からおそらく学生か新卒かな。
周りの受験者を眺めると若い人が圧倒的に多い気がした。
資格学校で仲良くなった子も同じ会場だと聞いていたので、ざっと見渡したが見つけられなかった(結局、知り合いには誰にも会わず終わった)。
いよいよ開場。
入り口で検温を受け階段を登る。5分前に教室前へ。しばし待機。
教室内には入らずに入口から教室を覗くと、どうやら広い講義室。階段状だ。
これは製図しにくいパターンか、、、
10時過ぎに教室に入る。席はちょうど真ん中あたり。
机が狭い。椅子も固定式。
椅子は固定式だけど、跳ね上げではなく前後にスライドするタイプ。
席にクッションも付いている。
(後から調べたところコトブキシーティングの独立脚立というタイプに近かったように思う。)
コロナの影響なのか、一人で使えるスペースが広い。
前後の人とも互い違いに座るようになっていた。
使えるスペースが広いのは助かる。
製図板、飲み物、軽食のセッティングをする。
机の奥行きが狭い。
製図板に付いている角度調整の足が落ちる。
製図板はいつもと同じ角度では設置できなかったが、用意しておいたまくらでうまく設置できた。
セッティングが終わったところでトイレの位置を確認。
教室を出て、階段を数段降りたところにトイレがある。
個室は4つか5つ。和式が2つでちょっとびっくりした。
トイレを済ませて席に戻り、用意しておいた用紙に断面図を書く。
普段より上手く線が書けない。
緊張で手が震えていた。
試験開始25分前に断面図を描き終わり、片付け。
この時書いた断面図が、たまたまだが本試験で書いた断面図に似ていた。
ランチパックで腹ごしらえをしつつ、チェックリストを確認。
説明開始直前にもう一度トイレに行く。
早目に着いて時間を持て余すかと思ったら、あっという間だった。
むしろもっと時間が欲しいくらいだった。
席に戻ると直ぐに説明が始まった。
用紙を配られながら、説明を聞く。
開始前に作図用紙を製図板に貼れると思っていたが、そうではないらしい。
用紙はすべて裏返しで配られた。
この説明中にもトイレに立つ人がいた。
近くの人がドラフティングテープを4枚切って、机の端に貼っていたのが目に入る。
直ぐに製図板に貼れる様に準備してるのか。
真似して、自分のマスキングテープを4枚切って、机の端にスタンバイ。
携帯の電源を切って、封筒にしまう。
開始まであと5分ほど。
周りを見ると、私の斜め後ろの受験生の前には製図板がなかった。
まさかのオールフリーハンド!?
私もフリーハンドだけど、さすがに一部製図板を使う。
斜め前の受験生が耳栓を付けている。耳栓は違反だよ、、、
いやいや他人のことはあまり気にせず集中しなければ。
試験官が見やすい位置に受験票を置き直したり、道具の位置を再度確認しながら開始時間を待つ。
あと1分。深呼吸する。
いよいよ始まる。
もちろん緊張感はあった。でも、少し楽しみだった。
試験官の「それでは始めてください」のかけ声で用紙をめくる。
1番初めに答案用紙1と2にそれぞれ名前と受験番号を記入。
面積表が小数点第二位までと書いてあるのに気付く(気付いて課題文にメモまでしたのに、面積表を書くときに第一位までしか書かなかった気がする、、、)。
課題文のレイアウトがいつもと違うことにはそこまで動揺はしなかった。
課題文を読んでいく。
学校でさんざんやったユニット型だ。
記述で耐震ルート、ウィルス対策と書いてあり、どちらも新出問題。
耐震ルートについては深く考えずささっと済まそう。
ウィルス対策は換気について書くと決める。
課題文を読みながらマーキングをしていく中で、敷地の条件が今までの試験より厳しいなと思った。
公園などが隣接していないし、接道している道路の幅員が狭い。
道路斜線は気をつけた方が良さそう。
読み進める中で、採光についてハッキリ書いてあって、正直びっくりした。
採光は窓の大きさが図面から完全には読み取れないだろうから、そこまで厳密に求められないだろうと思っていたからだ。
とはいえ、学校の課題では勉強していたし、自分で法令集を読んで理解はしていたので慌てなかった。
課題文の読み取りにいつもより時間がかかった(普段は15〜17分ほど。この日は21分くらい)。
読み取りが終わっていよいよエスキス。
階振りまで順調に進む。
道路斜線も気になるし、バルコニーを持ち出しで設計すると建築面積を間違いやすいので、インナーバルコニーで計画したいと考えていたがうまくいかず。
こだわり過ぎずに持ち出しのバルコニーにする。
ユニット型だったのでまずは3階のゾーニング。
コアの位置をだいたい決めて、二階、一階に下ろす。
ここで一階がうまく入らないからと言って、コアを大きく動かすと私の場合はろくなことにならない。模試で経験済み。
ユニットのゾーニングが崩れないように意識しながら進めていく。
いつもよりエスキスが30分以上早く終わる。
エスキス中に西側に地域交流スペースを持って行った方が良いか?とも思うが、私の力量ではそれを考えるのは難しいと判断(エスキスが苦手なので部屋の位置にこだわると全体が崩れてしまうため)。
中間チェック。部屋を落としては無さそう。
ここまでで1時間55分。
記述に入る。記述は早い。私の唯一の武器。
どんどん書いていく。記述は41分で終えた。
記述でいつもより消しゴムを使う回数が多かった気がする。
まだ緊張してるのだろうか?
記述の後に猛ダッシュでトイレに行く。約3分。
トイレに行くついでに他の受験生の様子を横目で見ると、まだ記述中の人が多い。
トイレから戻ってきてウィダーインゼリーとスポーツ羊羮一口。
カフェオレを飲んで、ブドウ糖のタブレットを口に含む。水を一口。
いよいよ作図。普段よりかなり早いペースでここまで来た。
いつも通り3時間で作図すれば、40分近くチェック時間が取れる計算。
よし、いける。
まずは面積表。
続いて
寸法線。
寸法線を書くときに、すごく書きにくいと感じる。
書けるところに書こうと思い、二階、三階は枠内に。
断面図の高さ方向の寸法線は西側に書く。
延焼ライン。
4方向全部に延焼ラインは学校でもやらなかったなと思いながら書き進める。
次に柱。
柱まで順調に書き終わる。
柱を描き終わったところで、1階の利用者用階段の前が狭いことに気付く。
利用者階段の向きを変えると廊下が通らないし、法的アウトではないからと思いつつ進める。
ここで利用者コアのスパンを6m→7mに変えた方が良いかと一瞬考えた。
ただ、柱を描き直す必要があるし、面積を計算し直す必要があったため、その時間はない、と、このときは思った。
作図の終盤で、やっぱりスパンを変えた方が良かったか?という思いが何度もよぎった。
柱に続いてコア。
コアを書き終わったときに、ふと人荷用EVの最小サイズは2×3でいいのか?と思う。
不安になり、EVの場所を移動させ、3×3で書き直す。
次に吹抜け。
3層の吹抜けにしたので、1階の〇特を忘れずに書く。
外壁→内壁と進む。
途中で、廊下は管理側も有効1.8mなのか?と頭をよぎるが深く考えられなかった。
この違和感に従わなかったことを一ヶ月経った今でも後悔している。
細かい部屋の位置(3階ユニット玄関周りとスタッフルームのカウンター位置など)を詰めていなかったので思った以上に作図に時間がかかる。
断面図を書く。20分くらいか。
断面図の埋立部分は表層地盤改良。
斜線で示し、補足も書いておく。
平面図に戻り、外構、室名、面積、什器を書いていく。
時間がたくさんあったはずなのに、いつもより作図に時間がかかっている。焦る。
作図中にピッという音が聞こえてくる。
どうやら斜め前の耳栓受験生が使用しているストップウォッチの操作音のようだ。
試験官は音の出どころが分からず、注意できない模様。
注意してくださいとお願いする余裕もなく、ストップウォッチの音は試験終了まで何度も鳴っていた。
作図3時間経過。室名などが半分残っている。
何故こんなに時間がかかってしまうんだろう。
いつも通りに手が動かない。ツライ。しんどい。書き終わるんだろうか。
時間がどんどん過ぎていく。とにかく書いていく。
終了時間が近づいてくる。試験官から後5分と声がかかる。
チェックしながらほぼ描き切って、なんとか行けそうか。
残り時間を確認。あと2分。
その時、ふと断面図を見る。
断面図の室名が真っ白なことに気付き、血の気がひく。
断面図の主要な部屋から殴り書きで部屋名を書く。手が震える。
試験官の「やめ!」が会場に響く。
廊下、トイレなどの細かい部屋の名称を書けないまま、試験終了。
今まで、断面図の室名を書き忘れるなんてことは起こったことが無かった。
本当に呆然とした。
試験官に答案用紙を回収され、「お疲れ様でした、解散してください」と言われた瞬間から涙が止まらなくなってしまう。
断面図を完成出来なかったので、未完扱いになってしまうかもしれない恐怖。
管理側の廊下を有効1.8m取らなかったことに対する後悔。
作図にいつもより40分以上かかってしまい、チェックがほとんどできなかった。
応援やサポートしてくれた旦那、子供たちへの申し訳なさ。
来年は受験自体が厳しいかもしれないから、今年絶対受かりたかった。
エスキスが苦手だった。
直前にようやくコツを掴めてような気がして、なんとかできそうだと思っていた。
順調に進んでいたのに、何が悪かったんだろうか。
どうしていつも通り作図ができなかったんだろう。
いろんな気持ちがぐちゃぐちゃになって、涙が止まらない。
一旦トイレに行き、荷物をまとめる。
教室を後にする。もう教室にはほとんど人は残っていなかった。
駅に向かう。辺りは暗くなっていた。
朝は降ってなかったのに小雨が降っていた。
駅に着いて電車に乗る。
電車は空いていて、一番後ろの車両に乗る。一番後ろのドアの近くに立ち、なるべく静かに泣いていた。
でかい製図板を持ったいい大人が、目を真っ赤にして涙を流しながら立っていたのは異様な光景だったでしょう。
あのとき周りにいた人ごめんなさい。
電車を降り、バスに乗る。家が近づくとますます涙が出てきた。
バスを降りると人もまばらで、いよいよ我慢出来なくなり、嗚咽を漏らしながら歩くこと数分。
自宅の玄関を開けたときにはもう大号泣。
あまりの泣き具合に子供に心配され、頭をよしよしされる始末。
子供たちの優しさに、涙が止まらない。
資格学校に通うために払ったお金は大金だったから、旦那からは絶対に今年受かるようにと強く言われていた。
そりゃそーだ、そんなに安い支払いじゃなかった。
私が旦那の立場でも、絶対受かるようにと言っていたと思う。
でも、失敗したと泣いている私を見て、旦那は責めるようなことは何一つ言わなかった。
いつも以上に優しくて、また涙がでた。
家族みんなでご飯を食べて、8時頃から復元に取り掛かる。
まずは記述の復元から。パソコンを使い、約30分で完了。
続いて復元図を書き始めるが、手が進まない。
試験中のことが思い出されて、書き進めるたびに落ち込んでいく。
ノロノロと進めていると、元上司(製図受験生、角落ち経験者)から電話がかかってきて、いろいろ試験について話した。
この電話でだいぶ気分が回復した。
電話をくれた方は満足のいく内容だったそうで、良かったなと思う。
親しい人の成功を素直に喜ぶ気持ちが残っていて、正直ホッとした。
結局、復元図はこの日は終わらず、次の日に持ち越し。
ようやく終わったのは、次の日の夜だった。
試験を終えて思ったこと
いつも出来ないことは本番でもやっぱり出来ない。
いつも出来ていることも本番では出来なくなる。
試験中に感じた違和感に向き合わなかったことを後悔しています。
本試験を甘く見ていたわけではないですが、プレッシャーに勝てず、かなり緊張しました。
緊張からか、作図にいつも以上に時間が掛かってしまいました。
力を出しきれず、悔いの残る図面となってしまったことが心残りです。
試験後にTwitterで、冒頭の大爆死報告ツイートをしたのですが、多くの方に良いねを付けて頂き、大変励まされました。
リプでも労いの言葉をかけて頂いて、とても救われました。
皆さま、ありがとうございました。
後日、再現図を見てもらった講師の先生には「macoちゃんなら、もっと出来たでしょう。力あるんだから。」と言われました(ちゃん付けw)。
いい報告をしたかったな。先生、ごめんね。
最後に
令和2年10月11日に起きたことをなるべく忠実に書きましたが、いかがでしたでしょうか?
実はこの文章はかなり早い段階で書き起こしていたんですが、なかなか記事にする踏ん切りがつきませんでした。
なるべく早く記事にしようとは思っていたんです。
でも、自分の不甲斐なさと向き合うのが苦しくて、今まで先延ばしにしていました。
試験から1ヶ月が経過し、少しずつ気持ちの整理がついてきたので、ようやく記事として公開できました。
製図試験の結果がでましたら、こちらの記事でも結果をお知らせしたいと思います。
また、図面や記述の内容、失敗点などの分析は結果が出てからするつもりです。
この体験記が、今後、受験する誰かのためになると嬉しいです。
あの日、全国各地で同じ時間にそれぞれの戦いをしていた受験生の皆さん、本当におつかれさまでした。
受験生を支えてくれた方々もお疲れさまでした。
そして何より、お疲れ、私。
※追記
12月25日に結果がでました。
合格していました!
応援してくださった皆様、ありがとうございました。
私の経験を次の方に繋げるために、これからも一級建築士関連の記事を書いていこうと思っています。
今後もどうぞよろしくお願いします。
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