見ているうちに見られてる【アートエッセイ】400文字
今日は田端のWishLessギャラリーに
ソニースズキの個展に行ってきた。
一見、
ペラペラでスキマだらけの人物画が
並んでいるのだけれど、
決して見過ごす事ができなくて、
見たこともないトリッキーな洋服着てて、
立ち止まって見ているうちに、
いつのまにか
彼らから見られている感覚に落ちていく。
そしてスキマの中に
奥行きが浮かんできて、
物語り始める。
決して見たこともない人達なのに、
いつか見た人達が立ち上がってくる。
彼らは誰なんだろう。
彼らは、
あの時の僕だったり、
あの時の友人だったり、
あの時の気持ちだったり、
あの時の景色だったり、
ペラペラの絵だったのに、
立体となって、
時を超えて語り始める。
僕はその話に耳を傾けながら、
ケラケラ笑ったりしている。
どこかノスタルジーが
漂っている人物画なのだけれど、
ソニーのスパイスの効いた
ユーモアもあって、
過去の自分の心象風景を見せられても、
笑っちゃうのです。
(おしまい)