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ケープタウン在住のパトロン

 何とかヒッチハイクしてウィンドフック(ナミビアの首都)まで向かおうとしていた自分たちはガソリンスタンドで砂漠から首都まで向かう車を探していた。残念ながら話しかけた人のほとんどは予定がまだ残っていて帰れない人や車のスペースに余裕がない人などだった。その中で1人、乗せることはできないが、自分たちのことを心配して、話に付き合ってくれ、ナミビアに詳しくコネが多くある人を紹介してくれた人がいた。ハンサムなパパって感じで、とても余裕のある感じの優しいナイスガイだった。その人は今まで色んな国を旅した経験があり、AT車の牽引がダメなことや車での旅のことなど色々なことを教えてくれた。その人に友人を紹介してもらい、その人の連絡先も貰い、お別れをした。それから1時間後、彼から来た連絡に私たちは度肝を抜かれる。その文面は以下のようなものだった。

「数日後にケープタウンの家に戻るんだけど、そこにある僕の車を無料で貸してもいいよ。ランドクルーザー80という車なんだけど、車はいくつか持っているし、その車はしばらく使わないから無料で自由に使ってくれていいよ。」

「やばー!!!!!」みんなで叫んだ。新手の詐欺じゃないかと疑った。だって相手には何のメリットもないじゃないか。しかもガソスタ(自分も認知症になってしまう。。)で数分間会って話したぐらいの日本人のクソガキ3人に自分の車を無償で貸すなんて有り得ない。いくら世の中全てが損得勘定じゃないとは言え、これは流石におかしい。

 だが結局、その人の好意み甘えて彼のランクルを借りることにした。ランドクルーザーなんて自分たちにとっては喉から手が出るほど欲しかったものだ。(もちろんご存知の通り高すぎて手が出せなかった代物だ。)トヨタでオフロードと言えばランクルというほど有名な車だ。マジでかっこいい。自分も将来、お金持ちになったら欲しいなと思っていた車のひとつだ。いずれにせよ車が壊れに壊れ、出費もたくさんして、なおこの先この車で大丈夫なのかと不安と絶望に襲われていた自分たちにとっては希望の兆しであった。絶望から一変、この上ない程の喜びと希望を感じた1日だった。そして私たちのジープはどうなるかというと、それはまた次のお話。

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